報道・広報

国際油濁補償基金6月会合の結果概要について

平成20年7月7日

 国際油濁補償基金会合(92年基金第13回臨時総会(運営評議会)、92年基金第41回理事会)が6月23日(月)から27日(金)までの間、ロンドンにおいて開催されましたので、その結果概要について、下記のとおりお知らせします。
 
 
■日程:平成20年6月23日(月)~27日(金)
■場所:国際海事機関(IMO)本部 ロンドン
■日本代表団:山下幸男(国土交通省海事局危機管理室長)
落合誠一(中央大学法科大学院教授)
中村秀之((財)日本海事センター特別研究員)ほか
■主な結果
1.92年基金第13回臨時総会(運営評議会)
   今次会合の開始時点で92年基金総会の定足数を満たしていなかったことから、2002年の総会決議に基づく運営評議会として開催されました。なお、この運営評議会は、総会と同等の権限を有するものとされています。
 
(1)HNS条約議定書案の検討
 昨年10月の92年基金第12回総会において設置が認められた第5作業部会(HNSフォーカス・グループ)の第1回会合(本年3月)及び第2回会合(今次会合)での議論を踏まえ、本年10月開催予定のIMO法律委員会においてHNS条約議定書案の検討を行うようIMO事務局長宛に議定書案を送付することが決定されました。この議定書案には、第5作業部会で大きく議論が分かれたLNG会計の拠出者に関する議論(第5作業部会の項を参照願います)等を法律委員会に情報提供するため、運営評議会の議事録も添付されることとなりました。
   
○第5作業部会での審議
 第5作業部会(HNSフォーカス・グループ)は、HNS条約の早期発効を目指すため、昨年10月の92年基金第12回総会において設置が承認されました。その後、本年3月に第1回会合を開催し、HNS条約議定書案を作成すべく議論が行なわれてきました。
 そのうちLNG会計の拠出者については、【案[1]】国際油濁補償基金(IOPC基金)と同様に「受取人」とする、【案[2]】現行HNS条約の規定を変更せず「権原者」(荷揚げ直前のLNG貨物の権原を有する者)のままとするという2案に議論が分かれました。
 今次会合において、日本は世界有数のLNG輸入国であり、日本のLNG輸入契約はEx-ship契約が多いという実態を踏まえ、案[2]を支持する立場で臨みました。日本と同様LNG輸入国であるイタリア、韓国等と協調して案[2]を強く主張し、スペイン、メキシコ、ギリシア等から支持が表明されましたが、最終的に英国、カナダ、アルジェリア等の多数の国々が支持した案[1]を盛り込んだ議定書案がIMO法律委員会に送られることとなりました。しかし、LNG会計の拠出者については何ら問題が解決していないことから、マレーシアから妥協案を模索するためのコレスポンデンスグループの設置が提案され、これが承認されました。日本もこのグループへの参加を表明し、今後10月のIMO法律委員会に向け各国と調整していくこととなりました。
 
(2)内部監査委員会委員の選出
本年10月で任期が切れる内部監査委員会委員の選出手続きにおいて、加盟国推挙委員の定足数6名に対し、日本が推挙した中央大学法科大学院の落合誠一教授を含む5名の推挙があった旨、事務局から報告がありました。今後の委員選出手続きについて議論し、既に推挙されている5名については本年10月に次期内部監査委員会委員として自動的に選出されることが決定されました。なお、残る1名については再び推挙による公募が行われることとなりました。
 
2.92年基金第41回理事会
 昨年12月に韓国で発生したHebei Spirit号による油流出事故など、92年基金の対象となる海難事故について、事務局等から状況報告等が行われました。
 
 
(参考)国際油濁補償基金(IOPCF)
 座礁したタンカーから流出した油により大規模な損害が発生したトリー・キャニオン号事故(1967年、英仏海峡)を契機として採択された、タンカーによる大規模な油濁損害に対し補償の充実を図るための国際条約に基づき、1978年にロンドンに設立された国際機関です。
 タンカーによる油濁損害が発生した場合、その損害は国際条約に基づき船舶所有者が賠償することとなっているが、一定限度額を超えた場合等に、国際油濁補償基金が被害者に補償を行う制度が整えられています。
 国際油濁補償基金からの補償金は、海上輸送された油の量に応じて石油会社等が負担することとされており、日本は最大の支払国(日本の支払額は全体の約18%)です。
 日本においては、ナホトカ号事故(平成9年1月、島根県沖)の際、国際油濁補償基金により、油の回収を行った自治体や被害を受けた漁業者、観光業者に対し、被害総額261億円のうち151億円の補償が支払われています。
 
 

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課危機管理室 大嶋、伊藤
TEL:(03)5253-8111 (内線43268) 直通 (03)5253-8616 FAX:(03)5253-1642

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