報道・広報

国際油濁補償基金10月会合の結果概要について

平成20年10月30日

 国際油濁補償基金会合(92年基金第13回総会、追加基金第4回総会、71年基金第23回運営評議会、92年基金第42回及び第43回理事会)が下記のとおり開催されましたので、その結果概要について、お知らせします。
 
 
■日程:平成20年10月13日(月)~17日(金)
■場所:国際海事機関(IMO)本部 ロンドン
■日本代表団:又野己知(国土交通省大臣官房審議官)
          山下幸男(国土交通省海事局危機管理室長)
          落合誠一(中央大学法科大学院教授)
          中村秀之((財)日本海事センター特別研究員)ほか
 
■主な結果
1.理事国の選挙(92年基金総会関連)
 92年基金理事国の任期は1年となっており、毎年通常総会時に選挙が行われ理事国が選出されます。今次会合では、規定に基づき、最大拠出国とされる11ヶ国の中から7ヶ国(カナダ、フランス、インド、イタリア、韓国、スペイン、英国)、その他の加盟国から8ヶ国(中国(香港)、キプロス、リベリア、フィリピン、カタール、スウェーデン、トリニダード・トバゴ、ウルグアイ)の合計15ヶ国が選出されました。
 なお、日本は今まで2期連続で理事国を務めており、今回は規定により立候補することができなかったため、今期はオブザーバーとして参加することとなります。
 
2.内部監査機関委員の選挙等(92年基金総会、追加基金総会、71年基金運営評議会関連)
今次会合で3年の任期が切れる内部監査機関委員の選挙が行われ、我が国が推挙した中央大学法科大学院の落合誠一教授を含む各締約国の推挙者6名及び92年基金総会議長が推挙する者1名の合計7名が選出されました。
  また、日本は、92年基金総会及び追加基金総会の副議長に選出されました。
 
3.予算の承認(92年基金総会、追加基金総会、71年基金運営評議会関連)
 92年基金、追加基金及び71年基金それぞれについて、事務局提案の2009年予算案が承認されました。
 
4.HNS条約改正議定書案の検討(92年基金第13回総会関連)
 昨年10月の92年基金第12回総会で設置が認められた第5作業部会(HNSフォーカス・グループ)の第1回会合(本年3月)及び第2回会合(本年6月)の審議結果について報告が行われました。また、この審議結果については、すでに国際海事機関(IMO)第94回法律委員会に提出されていること、さらに、本年6月会合時に設置が認められた非公式コレスポンデンスグループ(ICG)のLNG会計に関する修正提案についても同様に提出されていることなどが報告されました
 
5.92年基金関連の海難事故報告等(第42回及び第43回理事会関連)
 昨年12月に韓国で発生したHebei Spirit号による油流出事故など、92年基金の対象となる海難事故について、事務局等から状況報告が行われました。各事故の報告のうち、2000年ギリシャで発生したSlops号による油流出事故に関連して、事務局長が92年基金の対象とする「船舶」の定義について検討を行い、2009年10月総会にその結果を文書で提出することとなりました。
 また、上記1.で選出された新理事国による第43回理事会が開催され、スウェーデンが議長国として選出されました。
 

【参考】
■国際油濁補償基金(IOPCF:International Oil Pollution Compensation Funds)
 1978年にロンドンに設立された国際機関であって、座礁したタンカーから流出した油により大規模な損害が発生したトリー・キャニオン号事故(1967年、英仏海峡)を契機として採択された、タンカーによる大規模な油濁損害に対し補償の充実を図るための国際条約に基づくものです。 
 タンカーによる油濁損害が発生した場合、その損害は国際条約に基づき船舶所有者が賠償することとなっており、損害額が一定限度額を超えた場合等に、国際油濁補償基金が被害者に補償を行う制度が構築されています(92年基金、追加基金の2つの基金が存在。なお、過去に存在した71年基金は、2002年に廃止されたが、それ以前に発生した事故補償の処理が引き続き行われています)。
国際油濁補償基金からの補償金は、海上輸送された油の量に応じて石油会社等が負担することとされており、現在、日本は最大拠出国(92年基金:約17%、追加基金:約20%)となっています。
 
■HNS条約
 船舶による海上輸送中の有害物質及び危険物質(各種の化学物質、石油、LNG、LPG等)により発生した損害の補償について、被害者救済の充実を図るため、[1]船主責任について無過失責任(厳格責任)を課す一方、一定の責任限度額を設定するとともに、これを強制保険で担保し、[2]船主責任を超える部分については、有害物質及び危険物質の受取人等が拠出する国際基金(HNS Fund)が補償することを規定した国際条約です。1996年に採択されていますが、未発効となっています。そのため、早期発効の障害とされる課題を改善するための議定書策定について、これまでIOPCF会合やIMO法律委員会で議論されてきています。
 

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課危機管理室 大嶋、永井
TEL:(03)5253-8111 (内線43268) 直通 (03)5253-8616

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