報道・広報

国際油濁補償基金(IOPCF)2011年3月会合の結果概要について

平成23年4月13日

国際油濁補償基金2011年3月会合(92年基金第15回臨時総会(92年基金15回臨時総会は、定足数に満たなかったため、第8回運営評議会として開催)、追加基金第4回臨時総会、71年基金第26回運営評議会、92年基金第51回理事会及び92年基金第2回第6作業部会)が下記のとおり開催され、芳鐘功・国土交通省海事局油濁保障対策官ほかが出席したところ、結果概要について、お知らせ致します。

                            記


1.日程:平成23年3月29日(火)~ 4月1日(金)
2.場所:マラケシュ(モロッコ)
3.主要議題の結果概要
1)事務局長代行の暫定的任命
 92年基金、追加基金及び71年基金共通の事務局で事務局長を務めるオスタフェン氏が病気療養のため、職務への復帰ができないことから、平成22年10月の総会において任命されたマウラ事務局長代行を、同事務局長の復帰、又は平成23年10月に予定されている次回の通常会期のいずれか早い方までを期限として、再度、事務局長代行に任命することが決定された。

2)監査機関メンバーの選挙に関する指名
 平成23年10月の通常会期に任期が切れる監査機関メンバーの選挙に係る指名の要請が事務局長より行われていたところ、期限内に4名(落合誠一東京大学名誉教授(日本)、エミール・ディ・サンザ氏(カナダ)、ジョン・ギリエス(オーストラリア)及びトマス・カヴェルガード(スウェーデン))の指名が行われた。今次会合では、これら4名については事実上選出されたものとして、残りの2名のメンバー選出のための第2回目の指名要請が行われることになった。

3)事故に関する対応
(1)Plate Princess号の事故
 この事故の処理については、1971年基金事務局がベネズエラの憲法裁判所において争っているのに対して、ベネズエラ政府は、同国内での裁判所のこれまでの判決に従って原告である特定の被害者に対して早期に補償を支払うよう今次会合において提案するなど、両者の立場に大きな隔たりがある。これについて、多くの国が、ベネズエラ国内の判決にはデュー・プロセスの観点から問題がある、同国の裁判所が71年基金に対して合理的な通知と防御の機会を与えておらず,基金が承認・執行を拒むことができる判決であるといった見解を述べ、事務局を支持したため、1971年基金は、補償の支払いを行うことなく、憲法裁判所の訴訟を追求することになった。

(2)Erika号の事故 
 船舶所有者の代表、船舶管理会社の代表、船級協会(RINA)及びTotalがフランスの刑事裁判所において有罪となり、同国の民事訴訟(高等裁判所)においてTotalを除く三者に対して賠償責任が認められたことを踏まえ、事務局長から、1992年基金、保険会社、RINA及びTotalの四者の間で包括的な和解案及びその条件の説明が行われた。1992年基金理事会は、事務局が、これら四者の間で包括的な示談の可能性を追求することを承認した。

(3)Volgoneft 139号の事故
 事務局から、保険会社が裁判所によって認められた責任限度額まで支払を行うこと、当該限度額と条約に定める限度額に差があることについて何らかの解決がなされること、及びロシア政府が提出していない油受取報告を提出することの3つを条件に補償の支払を開始することを承認するよう提案がなされていたが、1992年理事会は補償の支払の開始を承認しなかった。

(4)Hebei Spirit号の事故
 事務局及び韓国政府の提案を受け、1992年基金理事会は、[1]韓国政府が1992年基金の補償限度額を超える請求額をすべて支払うことを約束すること、[2]韓国の裁判所が1992年基金に補償限度額を超える支払を命じた場合に同国政府が基金に損害を与えないよう約束すること、[3]韓国政府が1300億ウォンの銀行保証を提供すること(銀行保証については、Standard Chartered First Bank of Koreaによる保証であれば受け入れ可能とされた。)を条件として、1992年基金が査定済み請求額の100%を支払うことを承認した。

4)第6作業部会
 基金による暫定的な補償支払に係る問題については議論が行われず、大量の少額請求のより迅速な処理の方法についてのみ議論が行われた。各国より様々な情報提供及び提案が行われ、次回会合では、基金の「内部規則」や「請求の手引」の改正等、より具体的な検討が行われることになった。

お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課危機管理室 芳鐘、岡村
TEL:03-5253-8111 (内線43-268) 直通 03-5253-8616

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