報道・広報

自動運航船の運航時の国際ルール策定に向けて議論が開始
~国際海事機関(IMO)第108回法律委員会(LEG 108)の開催結果概要~

令和3年8月6日

令和3 年7 月26 日から30 日まで、第108 回法律委員会(LEG 108)がWEB 会議形式で開催され、自動運航船の運航において現行の条約の規定を適用しようとした際、規定の枠組みがどの程度影響を受けるかの論点整理を実施しました。今後、自動運航船の運航時の国際ルール策定に向けて議論が開始されます。
第108 回法律委員会(LEG 108)の主な審議結果は以下のとおりです。

1.自動運航船運航時の既存条約枠組みへの影響に関する論点整理

法律委員会(LEG)においても海上安全委員会(MSC)と同様に、自動運航船がLEGで採択された既存条約枠組み(船主責任制限条約や民事責任条約など)に及ぼす影響を分析するための論点整理を、2019年から有志国・団体※1が分担して進めており、我が国は民事責任条約※2の論点整理を担当し、国際的に主導的な役割を担ってきました。
今次会合では、有志国より論点整理の結果報告があり、LEGで採択された条約に関しては、自動運航船の製造者や遠隔操船者の位置づけの整理等の用語や定義に関する検討が必要であるが、既存の条約枠組みで対応可能であることが合意されました。また、今後の具体的な作業計画や作業方針については、次回会合において引き続き検討していくこととなりました。
我が国は、引き続き、法律委員会の議論に積極的に加わり、自動運航船の実用化に向けた環境整備に貢献してまいります。
※1 日本、中国、韓国、米国、カナダ、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、オーストラリア、フランス、シンガポール、マーシャル諸島、英国、スイス、ルクセンブルク、オランダ、万国海法会(CMI)
※2 民事責任条約(CLC条約):油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約

2.船主責任制限条約の統一解釈

油濁事故を起こしたプレスティージ号の船主・保険者に対して責任制限を認めないというスペイン最高裁判決(2016年)を契機として、LEGでは「船主責任制限条約に規定された責任制限が行えないと判断する際の要件に関する統一解釈」の作成作業を実施してきました。今次会合においては、その統一解釈が承認され、責任制限が行えないと判断される場合は非常に限定的な場合であるとした上で、責任の制限が否定されるには故意に近い水準の過失や重過失より高い水準の過失が求められること、責任制限が行えないとされる「無謀な行為」については損害や損失が生じるであろうとの認識を伴う必要があることなどが明記されました。この統一解釈は、今冬のIMO総会での採択が予定されています。

添付資料

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お問い合わせ先

国土交通省海事局総務課国際企画調整室 古田、安田
TEL:03-5253-8111 (内線44-403、44-401) 直通 03-5253-8656 FAX:03-5253-1642

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