報道・広報

第2回日印海運政策フォーラムの開催結果について

平成22年12月16日

急速に経済成長を遂げ、我が国にとって重要なパートナーであるインドと海運における政策課題について意見交換を行い、両国の海運当局・関係者間の連携を強化するため、約30名の参加を得て海運政策フォーラムを開催しました。会議の結果概要は以下のとおりです。

       記

1.日 時:平成22年12月15日(水)

2.場 所:デリー

3.出席者:
 海事当局
   日本側:国土交通省 福本海事局次長、西田海事局外航課海運渉外室長 他
   インド側:海運省 グプタ海運局長、ガルグ海運課長 他
 民間関係者
   日本側:外航海運事業者、㈶日本海事センター 他
   インド側:インド海運公社(インド最大の国有船社)、インド船主協会、インド造船工業会 他

4.主要議題の結果
(1)両国の海運政策に関する情報交換
 日本側から、急速な回復を示している昨今の海運市況と国土交通省の海洋分野における成長戦略の概要について紹介した。
 インド側からは、船腹量の不足によりインド内航貨物の約25%しか輸送できていない内航海運の振興を図りたいとして、我が国の内航海運政策について質問があり、我が国から、鉄道建設・運輸施設整備支援機構による船舶共有建造制度による良質な内航船舶の普及促進等の概要を説明したところ、インド側より、同制度について、強い関心が示された。
 また、外航海運の独占禁止法適用除外について、インド側より、海運省としての考えを法人省等関係省庁に伝達済みで、引き続き政府内で検討中である旨が示された。また、日本側民間事業者より、インド海運省がこれまで行ってきたインドにおける外航海運の独占禁止法適用除外のための関係省庁への働きかけに対して謝意を表明した。

(2)インドにおける港湾等のインフラ整備
 インドの経済成長を背景にインド発着の貨物量は今後も増加していくことが予想されるところ、日本側民間事業者より、インドにおいて事業を展開する日本の海運会社にとって、効率的かつ円滑な貨物の流れを確保するために重要となる各主要港湾や内陸輸送におけるインフラ整備の状況について情報提供を求めるとともに適時適切な整備を依頼した。

(3)安全・保安対策
 マラッカ・シンガポール海峡の航行安全対策に関し、我が国より、同海峡における沿岸国と利用国の協力のあり方を具体化した「協力メカニズム」(2007年9月創設)について、これまでの日印両国の貢献を評価するとともに、特に我が国が力を入れている航行援助施設のプロジェクトに関し、持続可能な枠組みとするよう、インド政府及び民間セクターからの資金協力を求めた。
 ソマリア沖海賊対策に関し、日本側より、海賊事案がインド洋等に広域化していることを踏まえ、同海域におけるインドによる監視及び哨戒活動の強化を期待している旨発言した。また、インド海運省と我が国海事局は共に護衛活動にかかる船社からの護衛申請の窓口を行っているところ、同海域の安全確保に向けて、引き続き連携協力を図っていくこととなった。

(4)シップリサイクル
 日本側より、昨年5月に採択されたシップリサイクル条約の早期発効のためには主要リサイクル国であるインドの締結が不可欠であること、我が国としてもインドの早期締結のための協力を惜しまない旨発言した。さらに、インド・グジャラート州における船舶リサイクル施設整備調査の説明を行い、インド側の関心及び謝意を得た。
 インド側からは、同国もシップリサイクル条約の重要性を認識しており、同条約締結の手続きを進めていること、また、伝統的なビーチング方式※のリサイクルを禁止するのではなく、環境に良い方向に改善する方針であり、日本政府への資金協力の要請に向けて、手続きを開始した旨発言があった。
※ビーチング方式・・・砂浜に船舶を乗り上げさせた状態で行う船舶解体の方式。一部の国においては、本方式の労働安全性及び本方式による廃油の海への流出等が問題となっている。

(5)造船産業
 インド側より、造船に関する日本の技術協力について、一般的な協力要請がなされるとともに、日本の造船産業のインドへの進出を期待している旨の発言がなされ、我が国より、具体的な案件があれば、個別に検討したい旨応答した。

(6)ILO海事労働条約
 我が国より、同条約は2012年2月迄に効力を発生すると考えており、この実行を担保するための国内法の整備等準備を発効までに行う予定である旨説明を行った。インド側よりは、発効に備え、法制の準備と共に関係機関への周知を図っている旨の説明が行われた。

お問い合わせ先

国土交通省海事局外航課海運渉外室 川村
TEL:03-5253-8111 (内線43-354) 直通 03-5253-8620

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