令和2年3月31日
3月30日、我が国と韓国は、韓国の自国造船業に対する大規模金融支援等の公的助成について、WTO協定の紛争解決手続に基づく二国間協議を開催しました。
我が国からは、韓国の公的支援措置が市場歪曲的であり、WTO補助金協定に違反すると考えられる理由を説明するとともに、本問題の解決に向けて措置の早期是正を求めました。
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1.概要
造船分野における世界的な供給能力過剰問題が長期化する中、近年、韓国政府は政府系金融機関を通じ、自国造船業の受注拡大のための大規模な公的助成(経営難に陥った大宇造船海洋の救済のための大規模な金融支援、赤字受注を容認するような前受金返還保証の発給等)を行っています。
我が国は、こうした公的助成は市場を歪曲し供給能力過剰問題の早期解決を阻害するおそれがあるものとして、累次にわたり問題を指摘してきましたが、措置の撤廃には至っておりません。このため、WTO紛争解決手続を通じた問題解決を図ることとし、平成30年12月、我が国は、韓国の自国造船業に対する公的助成について、WTO紛争解決手続に基づく二国間協議を開催しました。しかしながら、我が国として納得のいく結果は得られず、さらに、韓国は、当該協議後も、新たな自国造船業支援措置を継続的に発表しています。
こうした状況を踏まえ、本問題の友好的かつ早期の解決を図るため、本年1月、改めて二国間協議を要請し、3月30日、二国間協議を開催しました。本協議には、EUが第三国としてオブザーバー参加しました。
協議では、我が国より、韓国の自国造船業支援措置は市場歪曲的であり、WTO補助金協定に違反すると考えられる理由を説明するとともに、本問題の解決に向け、当該措置の事実関係に関する説明並びに措置の早期是正を求めました。
我が国としては、引き続き、WTO紛争解決手続に則り、本問題の早期解決が図られるよう取り組んでまいります。
2.開催日程及び場所
○日 程:令和2年3月30日(月)
○場 所:テレビ会議
○出席者(日本側):国土交通省及び外務省
○出席者(韓国側):産業通商資源部
○第三国:EU
【参考】
(1)WTO協定に基づく協議とは
WTO協定においては、問題となっている措置がWTO協定に違反するか否かについて、まずは合意により問題を解決することが奨励されており、具体的にはWTOの小委員会(パネル。第一審に相当します。)への付託に先立ち協議を行うことが義務付けられています。
(2)WTO補助金協定とは
WTO補助金協定では、政府又は公的機関が行う資金面での貢献(贈与、貸付け、出資等を含む)等について規律するため、以下の補助金を廃止勧告の対象として規定しています。
・輸出が行われることに基づいて交付されるもの
・輸入物品よりも国産物品を優先して使用することに基づいて交付されるもの
・他の加盟国の利益に対する著しい害等の悪影響を及ぼすもの
(3)韓国の自国造船業に対する公的支援措置に関する日韓協議(局長級)について
造船業における供給能力過剰問題の早期解決を目的として、市場を歪曲するおそれのある公的助成の問題について議論するため、平成30年10月24日、韓国産業通商資源部(MOTIE)との局長級協議を実施しました。
結果の概要については、以下のURLでご確認いただけます。
・韓国の自国造船業に対する公的支援措置の早期撤廃を要求―日韓協議(局長級)を実施―
http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000162.html
(4)韓国による自国造船業に対する公的助成に関するWTO協定に基づく二国間協議要請について
平成30年11月6日、WTO協定に基づく紛争解決手続を用いて、問題の早期解決を図るため、韓国に対し同協定に基づく二国間協議を要請しました。
概要については、以下のURLでご確認いただけます。
・韓国による自国造船業に対する公的助成についてWTO協定に基づく協議を要請しました
http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000163.html
(5)韓国による自国造船業に対する公的助成に関するWTO協定に基づく二国間協議開催について
平成30年12月19日、韓国・ソウルにおいて、WTO協定に基づき、韓国との二国間協議を実施しました。
概要については、以下のURLでご確認いただけます。
・韓国の自国造船業に対する公的助成についてWTO協定に基づく協議を開催しました
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000166.html