令和6年9月17日
本日、日立造船株式会社とその子会社である日立造船マリンエンジン株式会社及び株式会社アイメックスより、両子会社が製造する舶用エンジンの試運転時に測定した燃料消費率のデータが改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
国土交通省からは、3社に対して、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
また、今後新たに製造される両社製のエンジンについて、測定現場の是正確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち合いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。 |
1.日立造船株式会社等からの中間報告概要
(1)不適切行為の概要
日立造船マリンエンジン(以下「日社」)及びアイメックス(以下「ア社」)の両社において、陸上試運転
※における燃料消費率等に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
※顧客及び各国の認証機関の立会いの下、エンジン性能を確認するための運転
【主な改ざん内容と改ざんを行った理由】
顧客の要求値への適合確保、過去に製造したエンジンとの計測値の整合確保といった理由から、以下の改ざんが行われていた。
[1] 予め設定した燃料消費量を燃料重量計表示部に表示させる等、燃料消費量の計測データを改ざん。日社で959台中959台、ア社で416台中412台。
[2] 排ガス成分濃度の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中343台、ア社で416台中57台。
[3] 顧客向け性能データ(排気温度等)の値を記録する際に、実際の計測値とは異なる値を記入。日社で959台中111台、ア社で416台中189台。
[4] 出力の計測誤差や精度を計測機器の校正等ではなく、理論計算や過去の実績等により数値を修正。日社で959台中569台、ア社で416台中52台。
【NOx放出量に係る規制への影響】
上記の改ざんにより、両社の全てのエンジンにおいてNOx放出量の数値に影響が生じる。今後、NOx放出量の再計算に用いるデータの評価方法について検討。
【計測現場での主な是正措置】
燃料消費量のデータ改ざん機の撤去、データ計測の管理体制の見直し(将来は自動化)、複数の方法による出力計測等の実施。
2.国土交通省の対応等
(1)同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
- 引き続き、NOx規制等への影響について調査を行うとともに、実測値が保存されていないエンジンについてNOx放出量の評価方法について検討を行い、速やかに国土交通省へ報告を行うこと。
- 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
- 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
(2)今回の中間報告書の内容は、これまで国土交通省で実施した立入調査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に不適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にならない。
- 3社の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、今後、新たに製造されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を、国及び認証機関による事前の計測現場の是正措置の確認、試験への立ち合いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
- 今後の調査により、NOx放出量規制に不適合となるものが確認される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。