令和7年3月28日
国土交通省では、建設現場の働き方改革や働きやすい職場環境の整備等を推進するため、一般社団法人 日本建設業連合会(以下、「日建連」という。)と定期的に意見交換を実施しており、このたび、令和6年度に実施した意見交換の成果として、直轄土木工事の令和6年度における取組をまとめましたので、公表いたします。 |
地区ごとに地方整備局と日建連とで公共工事の諸課題を意見交換し、その結果を踏まえ、国土交通本省も加わり、公共工事の生産性向上や担い手の確保などを議論し、直轄土木工事の令和6年度における取組としてとりまとめました。
<地方整備局(公共工事の諸課題に関する意見交換会)>
開催日 |
地区 |
意見交換のテーマ |
令和6年5月13日 |
関東地整 |
1. 働き方改革の推進
(時間外労働上限規制遵守の課題と取組み)
(1)時間外労働上限規制遵守の課題と課題解決の方向性
(2)工事現場における完全週休2日の実現
(3)適正な工期設定と条件明示の徹底
(4)書類の削減と簡素化の徹底
2. 品確法の的確な運用(入札・契約に関する改善)
(1)予算確保と適切な発注の推進
(2)入札と契約制度に関する改善
(3)資材価格高騰への的確な対応
(4)地方公共団体発注の建築工事における設計図書の適正化等
3. 生産性向上(新技術・新工法の活用促進)
(1)新技術とDXの現場実装の推進
(2)プレキャスト工法の活用拡大
(3)ICT活用による施工監理の効率化
4.担い手の確保
(1)若手技術者の育成・定着
(2)技能者の処遇改善
(3)建設業全体の魅力発信 |
5月23日 |
中国地整 |
5月30日 |
四国地整 |
5月31日 |
近畿地整 |
6月 3日 |
東北地整 |
6月 5日 |
北陸地整 |
6月10日 |
九州地整 |
6月13日 |
北海道開発局 |
6月17日 |
中部地整 |
<国土交通本省(フォローアップ会議)>
開催日 |
会議 |
主な意見交換のテーマ |
令和6年6月21日 |
意見交換会報告会 |
意見交換会結果報告 |
7月26日 |
第1回フォローアップ会議 |
フォローアップ会議の実施方針 |
11月25日 |
第2回フォローアップ会議 |
・働き方改革の推進
・品確法の的確な運用
・生産性向上
・担い手の確保 |
令和7年3月13日 |
第3回フォローアップ会議 |
<意見交換の取組成果>
令和6年度の意見交換を踏まえ、令和7年度には、直轄土木工事の中で以下について取り組んでまいります。
1.働き方改革の推進 ~時間外労働上限規制遵守の課題と取組み~
(1)土日現場閉所による完全週休2日の実現
→ 令和7年度からは、地域の実情を踏まえ、完全週休2日(土日)の実現等の多様な働き方を支援する取組を実施。新たな取り組みとして週休2日(完全週休2日(土日))の補正係数を新設。
補正係数の適用に当たっては、天候等の受注者の責によらない場合は代替休日を設定するなど、建設現場の施工条件に留意して運用。【別紙1】
(2)時間外労働上限規制に伴う適正な工期と歩掛の設定
→ 令和6年4月から適用される時間外労働上限規制に対し、発注者は受注者からの協議に丁寧に応じるとともに、受注者の責に帰すことが出来ない施工条件変更の必要がある場合は、適切に工期延長を検討する旨通知。
→ 令和7年度には、資機材や運搬コストの上昇、工期の延長について、引き続き適切に対応するとともに、より一層の現場把握を実施。
(3)書類の削減と簡素化の徹底
→ 令和6年度には、各種説明会やアンケート等から得られた意見を踏まえ、各地方整備局で策定したスリム化ガイド等の改定を実施。
→ 令和7年度には、スリム化ガイド等のさらなる展開及び国土交通本省と日建連によるスリム化ガイド・ポスターの作成を検討。
2.品確法の的確な運用(入札・契約に関する改善)
(1)技術評価を重視した総合評価落札方式への改善
→ 令和7年度以降に発注する総合評価落札方式(技術提案評価型)の工事において、技術評価で差をつけることを基本とする。入札価格の段階的な価格評価点等の導入については、今後も引き続き協議・検討。
3.生産性向上(新技術・新工法の活用促進)
(1)新技術・新工法の現場実装の推進
●トンネル工事の自動化施工に向けた検討
→ 令和6年度には、トンネル工事の自動化施工に向けた課題、技術開発ステップの考え方について、国土交通省と日建連で共有するとともに、省人化を目的とした民間開発の新技術・新工法を直轄工事に導入する仕組みについて検討。
→ 令和7年度には、自動施工技術の適用が有用な直轄トンネル工事において、省人化施工試行工事を実施。
●受注者提案による新技術・新工法を導入する新たな仕組みの検討 → 国土交通省において「S1)型」の運用方法に関する検討を進め、令和7年3月の発注者懇談会 建設生産・管理システム部会にS1)型の実施要領案を報告。
→ 令和7年度に開始するS1)型の試行について、国土交通省においてフォローアップを実施。【別紙2】
(2)ICT活用による施工管理の効率化
→ 令和7年度には、「遠隔臨場による工事検査に関する実施要領(案)」の改定のため、遠隔臨場に関する好事例の事例集の作成及びフォローアップ調査を実施。
(3)協調領域の研究開発の促進
→ 令和6年度には、協調領域設定から標準化に至るまでの流れを整理するとともに、協調領域として取り組むべきテーマを設定。
→ 令和7年度には、協調領域として取り組むべきテーマの設定を継続するとともに、協調領域の技術開発等を進めるため、日建連「協調領域専門部会」に国土交通省も必要に応じて参加し、合同でモニタリングを行う体制を構築。
4.担い手の確保
(1)若手技術者の育成・定着
→ 令和7年度以降に発注する工事において、品質確保の観点も考慮しつつ、若手の監理技術者の参入・育成のため、以下の取り組みを実施。【別紙3】
・若手の監理技術者の参入を促す入札契約方式への改善(技術者の実績を 評価対象としないWTO工事を対象)
・企業による技術者個人のライフイベントを考慮した、柔軟な人事配置や交代に資する取組
(2)技能者の処遇改善(CCUSの普及等)
→ 令和6年度には、45の都道府県で直轄CクラスのCCUSモデル工事を実施するとともに、46の都道府県でモデル工事等企業評価が導入。さらに、地域での普及・促進に向け、元請・下請双方交えた意見交換会を6地域で開催。
→ 令和7年度には、地域レベルでのCCUS普及に向け、引き続き地域の理解を踏まえ直轄Cクラスのモデル工事を実施するとともに、都道府県や政令市、県庁所在地をはじめとした市町村発注工事における評価等の導入、
現場利用の推進に向けた働きかけを行う。併せて、国直轄工事でのCCUS義務化・活用推奨モデル工事も引き続き実施。