報道・広報

観光地域づくり人材育成シンポジウムの開催について(結果概要)

平成20年7月7日

1.趣旨
 国土交通省は、去る6月11日、「観光地域づくり人材育成シンポジウム」を開催し、各地で観光地域づくりの人材育成やボランティアガイドに取り組んでいる団体や個人、地方自治体、業界関係団体など多数の関係者が参加した。シンポジウムには、各地域における自主的な観光地域づくりの人材育成が、それぞれ自主的に発展していくことが可能となるような環境整備を行うための活発な意見交換が行われた。
 今回の会議では、冒頭に国土交通省から最近の観光政策の状況報告を行い、その後各地で観光地域づくりの人材育成やボランティアガイドに取り組んでいる関係者による取組の紹介や、パネルディスカッションを行い成功事例の紹介や共通の課題の抽出などの情報発信と意見交換が行われた。
 
2.日時場所
 平成20年6月11日(水)13:00~18:00 (於:三田共用会議所)
 
3.参加者
 ・出席総数:269名
 (内訳:自治体・観光協会80名、企業・産業団体62名、NPO・財団・社団43名、教育関係26名、その他58名)
 

4.会議概要
(1)挨拶(国土交通省総合観光政策審議官 本保芳明)(抜粋)
 ・人材育成はとても大事なテーマである。3月には「産学官連携検討会議」を開催し、高等教育の場面での人材育成にスポットをあてた。今回はそのシリーズとして、地域における人材育成と、子供たちを観光地域づくりの担い手としてどのように育てていくかという観点でご議論をいただきたい。
 ・人づくりは大変重要であるが、どのようにやる気を出させるか、そのきっかけを与えるかが難しい。今回のシンポジウムを通じて、「とにかくやってみることが大事だ」「誰でもできる」という思いを持って帰っていただくことが本日の成果になる。
   
(2)主催者趣旨説明(国土交通省観光資源課長 水嶋智)(抜粋)
 ・観光立国の推進にあたり人材育成は避けられない課題である。インバウンドは平成19年度に835万人と順調に伸びているが、国内旅行は必ずしも伸びていない。こうした状況下、若い人たちを将来の地域づくりの担い手としてどう育てるかがシンポジウムのテーマとなっている。
 ・観光に関する状況が変化する中で、官主導の地域づくりでは上手くいかない問題も出てきた、一方で民間の方々を中心とする観光地づくりの成功事例が見られるようになった。地域が独自に人材育成に取り組む事例も増え、国としてこうした動きを側面支援できないかというのが本日の問題意識である。情報を共有する場の提供、各地域の関係者のネットワークづくり、それらを通して学びあうことなどから観光地域づくりが進むのではないかと考えている。
 ・今後は、地域、教育機関、観光産業が連携して、新しい時代の観光を担っていただくことになるだろう。本日第1部のパネルディスカッションでは各地の取り組みをご紹介いただき、観光地域づくりに求められる人材像や、その育成に必要な取り組みについてご議論いただく。
 ・第2部のパネルディスカッションでは、次代を担う子供たちの観光地域づくりへの取り組みにスポットをあてる。先進的な事例をご紹介いただき、生徒・児童が観光地域づくりに参加するため、あるいは取り組みを継続させるために必要なことについて議論を深めたい。
 
(3)パネルディスカッション[1]
 「観光地域づくり人材育成の促進に関するパネルディスカッション」
○講演者
 ▼パネリスト
 ・後藤靖子氏(山形県副知事)
 ・花岡利幸氏(山梨県富士河口湖町観光地域プロデューサー、NPO法人CCCMまちづくり会長、山梨大学名誉教授)
 ・藏根敏文氏(NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構 専務理事)
 ・井手修身氏(イデアパートナーズ株式会社 代表取締役社長)
 ・柴野裕美子氏(鳥取県米子市皆生温泉 皆生菊乃家 若女将)
 ▼コーディネーター
 ・梅川智也氏(財団法人日本交通公社 研究調査部長)
○主な議事
 ・観光地は、観光地域づくりにおける人材育成の取組みの効果を観光客数の増加に求めがちである。しかしながら、人材育成の取組みは、その効果が直ちに現れるものではないことに加え、地域を愛する心の涵養や地域の人々のつながりの深耕など様々な視点から評価すべきであることから、長期的な視野で取り組む必要がある。
 ・そういった観点からも、観光客数の量的拡大のみをめざすのではなく、観光地の質的向上をめざして観光地域づくりに取り組まなければならない。そのためには、観光地では人々の意識をはじめとして既存の構造を大きく変える必要があり、そうした意識改革を含めたイノベーションを実現できる人材の育成が課題となっている。
 
(4)パネルディスカッション[2]
 「児童・生徒による観光地域づくり参加に関するパネルディスカッション」
○講演者
 ▼パネリスト
 ・桒田慎也氏(株式会社ピッキオ 代表取締役)
 ・江崎貴久氏(有限会社オズ海島遊民くらぶ 代表取締役、鳥羽若女将うめの蕾会会長、鳥羽市観光協会青年部副会長、旅館海月女将)
 ・松本正光氏(北条まちづくり協議会 代表)
 ・岡本純一郎氏(広島県廿日市宮島学園(宮島小中学校)教諭
 ▼コーディネーター
 ・山田桂一郎氏(JTIC.SWISS代表、観光カリスマ)
○主な議事
 ・これまでは観光、学校教育、地域づくりの3者関係は希薄なものであったが、ここに「児童・子供による観光地域づくり」という考え方を持ってくると3者の関係性が強くなる。子供たちの豊かな感性が地域の多様な可能性を引き出し、将来性ある観光地域づくりや継続的な人材育成など、地域における永続可能な「感幸・かんこう」のあり方が見えてくる。
 ・子供を中心とした取り組みを通じて親や地域の大人たちが変わっていく。そして、子供たちは10年後、20年後に地域づくりの中心人物となる。その結果、地域も必然的に変わっていく。将来を担う子供達が地域に対して愛着と誇りを持ち、観光地域づくりへ積極的に参加することが出来る環境整備と仕組みを地域主体で構築することが必要である
 
(5)総括(国土交通省観光資源課長 水嶋智)
 ・本日のパネルディスカッションを通して、具体的な検討テーマをいただいたことにより、各地域と国との間で、双方向に情報の格差があることが分かった。地域には支援制度等に関する情報が届きにくく、国には各地域の取組状況や本当の悩みが届きにくい。「観光なんでも相談員」という仕組みもあるので、双方向のコミュニケーションをより密にしていきたい。
 ・今回のシンポジウムを一過性のもので終わらせないため、地域の皆さんと議論する場を設けるなど、次のステップにつなげることを考えていきたい。
 

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局観光資源課 
TEL:(03)5253-8111 (内線27616、27621)

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