報道・広報

飲酒に起因する不適切な事案等を受けた航空運送事業者及び運航乗務員に対する不利益処分等について

令和元年10月8日

 定期航空運送事業者において運航乗務員の飲酒に関する不適切な事案が連続して発生したことを踏まえ、国土交通省航空局は各事業者から各事案の調査及び再発防止策の報告を受け、航空法第134条に基づき各事業者に対する立入検査及び当事者からの聴取等を実施しました。その結果、航空法第104条第1項に基づき認可した運航規程への違反などの不適切な事項が確認されたことから、航空運送事業者及び運航乗務員に対し下記の措置をとることとしました。

1.日本航空株式会社

(1)事案の概要
 (ア)JAL44便に関する概要
 平成30年10月28日(現地時間)の当該便に乗務予定の副操縦士(当時)が、英国ロンドン・ヒースロー空港において通報を受けた現地警察による検査の結果、社内基準及び英国法令の基準を大幅に超過するアルコール濃度が検出され(運航規程違反)、同警察に拘束された。副操縦士(当時)拘束後、運航規程上認められていなかったにもかかわらず、三名乗務編成から二名乗務編成に変更のうえ同便を定刻より1時間9分遅れで出発させた。
 (イ)JAL876便に関する概要
 平成31年4月29日、当該便に乗務予定の機長(当時)と副操縦士が乗務前日から当日未明にかけて飲酒し、飛行勤務開始時に行った乗務前アルコール検査において当該機長から国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。
 (ウ)JAL650便に関する概要
 令和元年8月10日、当該便に乗務予定の副操縦士(当時)が、運航規程で飛行勤務開始前12時間以内の飲酒が禁止されていたにもかかわらず、これを超えて飲酒し、飛行勤務開始時に行った乗務前アルコール検査において国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。
 (エ)JAL3087便に関する概要
 令和元年9月12日、当該便に乗務予定の副操縦士(当時)が乗務前日に飲酒し、飛行勤務開始時に行った乗務前アルコール検査において当該副機長から国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。
(2)国土交通省航空局による対応
 (ア)1.(1)(ア)の事案への対応
 副操縦士(当時):航空従事者技能証明、航空英語能力証明及び計器飛行証明の取消し
            (航空法第30条(同法第33条第3項及び第34条第3項の規定により準用するものを含む。)の規定に基づく不利益処分)
(注)平成30年12月21日付けで、日本航空株式会社に対し事業改善命令(航空法第112条に基づく不利益処分)、機長(PIC)及び副機長(SIC)に対し文書警告(行政指導)を実施
 (イ)1.(1)(イ)~(エ)の事案への対応
  (a)航空運送事業者に対する措置
 日本航空株式会社に対し航空法第112条の規定に基づく事業改善命令を行うとともに、安全統括管理者の職務に関する警告を行い、令和元年10月23日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
  (b)運航乗務員に対する措置
   (i)1.(1)(イ)の事案
    機 長(当時):航空業務停止30日(航空法第30条の規定に基づく不利益処分)
    副操縦士   :文書注意(行政指導)
   (ii)1.(1)(ウ)の事案
    副操縦士(当時):航空業務停止100日(航空法第30条の規定に基づく不利益処分)
(注)1.(1)(エ)の事案の副機長(当時)については、今後、行政手続法に基づく手続き等が必要であり、措置の検討には時間を要する。

2.スカイマーク株式会社

(1)事案の概要
 令和元年5月30日、SKY549便に乗務予定の機長が、乗務前日に飲酒し、飛行勤務開始時に行った乗務前アルコール検査において国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。
(2)国土交通省航空局による対応
 (ア)航空運送事業者に対する措置
 スカイマーク株式会社に対し航空の安全に係る不利益処分等の実施要領(以下「要領」)に基づく文書による業務改善勧告を行い、令和元年10月23日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
 (イ)運航乗務員に対する措置
     機 長:文書注意(行政指導)

3.日本トランスオーシャン航空株式会社

(1)事案の概要
 令和元年6月8日、JTA021便に乗務予定の機長(当時)が、乗務前日に飲酒し、乗務当日の朝から飛行勤務開始時刻にかけて会社貸与の検知器を使った自主的なアルコール検査でアルコールが検知された。運航規程により、飛行勤務開始時に乗務前アルコール検査を実施することを義務付けるとともに、酒気を帯びて飛行勤務をすることを禁止していたにもかかわらず、当該機長は、乗務前アルコール検査に先立って、飛行勤務の一環であるブリーフィングを実施した。ブリーフィング後に行った乗務前アルコール検査において当該機長から国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。
 また、当該便に乗務予定の副操縦士は、当該機長が乗務前アルコール検査を行っていないことを認識しながら、これに先立って飛行勤務の一環であるブリーフィングを実施することを認めた。
(2)国土交通省航空局による対応
 (ア)航空運送事業者に対する措置
 日本トランスオーシャン航空株式会社に対し要領に基づく文書による厳重注意を行い、令和元年10月23日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
 (イ)運航乗務員に対する措置
    機長(当時):航空業務停止120日(航空法第30条の規定に基づく不利益処分)
    副操縦士  :文書注意(行政指導)

4.中日本航空株式会社

(1)事案の概要
平成31年4月4日、ドクターヘリに乗務予定の機長が、飛行勤務開始時に実施することが義務付けられているアルコール検知器によるアルコール検査を行わないまま、飛行前ブリーフィングや飛行前点検などの飛行勤務を実施した(運航規程違反)。
(2)国土交通省航空局による対応
 (ア)航空運送事業者に対する措置
 中日本航空株式会社に対し要領に基づく文書による厳重注意を行い、令和元年10月23日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
 (イ)運航乗務員に対する措置
     機 長:文書注意(行政指導)

5.朝日航洋株式会社

(1)事案の概要
 平成31年4月24日、ドクターヘリに乗務予定の機長が、乗務前日に飲酒し、飛行勤務開始時に行った乗務前アルコール検査において国の基準を超過するアルコールが検知された(運航規程違反)。その後、運航規程で酒気を帯びた状態での飛行勤務を禁止しているにもかかわらず、当該機長は医療関係者とのブリーフィングなどの飛行勤務を実施した。
(2)国土交通省航空局による対応
 (ア)航空運送事業者に対する措置
 朝日航洋株式会社に対し要領に基づく厳重注意を行い、令和元年10月23日までに必要な再発防止策について報告させることとした。
 (イ)運航乗務員に対する措置
     機 長:文書警告(行政指導)

以 上

お問い合わせ先

(1) 航空運送事業者に対する措置について 1.~ 3.については、航空局安全部航空事業安全室 柳澤、清水
TEL:03-5253-8111 (内線:50143、50163) FAX:03-5253-1661
  4.については、大阪航空局安全統括室航空事業安全監督官  平山
TEL:06-6949-0595  FAX:06-6949-1381
  5.については、東京航空局安全統括室航空事業安全監督官  吉田、青木
TEL:03-5275-9307  FAX:03-5216-5571
(2) 運航乗務員に対する措置について 航空局安全部運航安全課  小西、奈良
TEL:03-5253-8111 (内線:50104、50312) FAX:03-5253-1661

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