令和3年1月29日
令和2年12月4日に発生した日本航空904便・ボーイング777型機の重大インシデントに関し、運輸安全委員会からエンジンのファンブレードに疲労破壊による損傷が確認された旨情報提供がありました。これを踏まえ、安全性に万全を期すべく、当該型式以外のエンジンのファンブレードのうち、一定の要件を満たすもの(※1)について、現行の非破壊検査(※2)を大幅に前倒しして3月末までに実施するよう指示しました。
※1 国内航空会社が使用し過去に重大事案の発生が確認されたファンブレードと同種の材料・構造を有するもののうち、飛行回数及び飛行時間の多いもの(経年ファンブレード)
※2 非破壊検査は、ファンブレードの疲労破壊の兆候となる微細な傷等を発見するために有効な検査
当該重大インシデントを受け、国土交通省としてはファンブレードの点検について以下のような指示を行っており、その結果損傷等の不具合は発見されておりません。
(1)当該重大インシデントと同型エンジンに対するこれまでの対応
[1] 事案発生当日、同型エンジンを搭載する航空機を運航する国内航空会社に対し、翌日初便までにファンブレードの緊急目視点検を指示(12月4日)
[2] エンジンメーカーからの技術的見解も踏まえ、国内航空会社に対し、従来の6500飛行回数毎の定期検査(非破壊検査)に加え、ファンブレードの点検頻度を引き上げた点検強化(500飛行回数毎の詳細目視検査及び1500飛行回数毎の非破壊検査)を指示(12月7日)※稼働中のエンジンは非破壊検査も含め検査を実施済
(2)他型式エンジンに対するこれまでの対応
他型式エンジンを搭載した航空機を運航する国内航空会社に対し、ファンブレードの詳細目視点検を指示(12月10日)
(1)安全性検証の内容
国内航空会社が使用する他型式エンジンのファンブレードに関しては、既に詳細目視点検で健全性を確認していますが(上記1(2))、昨年12月28日、運輸安全委員会から、当該重大インシデントの左側エンジンのファンブレードに疲労破壊による損傷が確認された旨情報提供があったことを受け、以下のような検証を行っています。
[1]ファンブレードの破断による重大事案の有無及びその対策状況や国内航空会社における点検等の実績等を確認しました。この結果、過去の重大事案に対する対策は実施済であり、また、重大事案につながりかねない不具合は確認されませんでした。
[2]さらに、安全確保に万全を期すための措置として、国内航空会社が使用し過去に重大事案の発生が確認されたファンブレードと同種の材料・構造を有するもののうち、飛行回数及び飛行時間の多いもの(経年ファンブレード)について、安全性を検証する観点から、現行の非破壊検査(通常では最大7年程度毎に実施)を大幅に前倒しし、3月末までに実施するよう国内航空会社に本日指示しました。
今後、当該検査結果等も踏まえ、安全性を確認し、必要により更なる措置を検討していくこととしています。
(2)安全性検証のための前倒し検査指示の対象
対象エンジン型式 (搭載航空機型式) |
経年ファンブレードを 搭載した対象エンジン数 |
CFMI社製CFM56-7B (ボーイング737NGシリーズ) |
計:12基 |
GE社製CF6-80C2 (ボーイング767シリーズ) |
計:5基 |
CFMI社製CFM56-5B (エアバスA320ceoシリーズ) |
計:2基 |
GE社製CF34-8E5 (エンブラエルERJ170) |
計:8基 |
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