報道・広報

平成28年度 B-DASHプロジェクト実施技術を決定
~中小処理場向けの下水汚泥肥料化・燃料化技術など~

平成28年4月5日

 国土交通省は、平成28年度、中小規模の下水処理場向けの下水汚泥肥料化・燃料化技術や、 人口減少等による下水処理量の変化に柔軟に対応できる、ダウンサイジング可能な水処理技術について、実規模レベルの施設を用いた技術実証を行います。
 また、下水汚泥や下水処理水から水素を製造する様々な技術や、下水の熱を利用した車道融雪技術等について、実規模実証の前段階として導入効果などを含めた普及可能性の検討や技術性能の確認等を行います。


1.B-DASHプロジェクト
 国土交通省では、新技術の研究開発及び実用化を加速することにより、下水道事業における低炭素・循環型社会の構築やライフサイクルコスト縮減、浸水対策等を実現し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援するため、平成23年度より下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト※)を実施しております。
※ B-DASHプロジェクト:Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Project
 
2.平成28年度実施技術
 この度、学識経験者からなる「下水道革新的技術実証事業評価委員会」による厳正な採択審査を行い、平成28年度の実施技術を決定しました。
 具体的には、下記5つのテーマに関する技術であり、テーマ[1]、[2]については実規模実証、テーマ[3]~[5]については予備調査として実施します。
 
(1) 実施技術の概要
  [1] 中小規模処理場を対象とした下水汚泥の有効利用技術
  [2] ダウンサイジング可能な水処理技術
  [3] 下水熱を利用した車道融雪技術
  [4] 災害時に適した処理・消毒技術
  [5] 消化工程なしで下水道資源から水素を製造する技術
 
(2) 実施技術の具体的内容
  今回実施する技術は以下の12件です。
【実規模実証4件】
[1] 中小規模処理場を対象とした下水汚泥の有効利用技術
(ア) 肥料化、燃料化技術(脱水機の改築と合わせた導入に適した技術)
  「脱水乾燥システムによる下水汚泥の肥料化、燃料化技術実証事業」
   実施者:月島機械(株)、サンエコサーマル(株)、日本下水道事業団、鹿沼市農業公社、鹿沼市 共同研究体
   実証フィールド:鹿沼市黒川終末処理場
   事業概要:脱水機と乾燥機の一体型システムを用い、乾燥汚泥を製造し、肥料化、燃料化などの多様な有効利用への適応性や、設備の性
         能、ライフサイクルコスト縮減等を実証する。
 
(イ) 肥料化、燃料化技術(上記(ア)以外の技術)
  「自己熱再生型ヒートポンプ式高効率下水汚泥乾燥技術実証事業」
   実施者:(株)大川原製作所、関西電力(株)、秦野市 共同研究体
   実証フィールド:秦野市浄水管理センター
   事業概要:ヒートポンプ技術を応用したエネルギー効率の高い高性能乾燥システムを導入し、省エネ低コスト型の汚泥乾燥を実証する。
         また、製造される乾燥汚泥の性状を調査し具体的な有効利用方法を検討する。

[2] ダウンサイジング可能な水処理技術
(ア) 標準活性汚泥法代替技術
  「DHSシステムを用いた水量変動追従型水処理技術実証事業」
   実施者:三機工業(株)、東北大学、香川高等専門学校、高知工業高等専門学校、日本下水道事業団、須崎市 共同研究体
   実証フィールド:須崎市終末処理場
   事業概要:「スポンジ状担体を充填した散水ろ床」と「生物膜ろ過槽」を組み合わせることにより、効率的にダウンサイジングが可能な水処理
         技術について、コスト縮減効果や流入水量に応じた電力使用量削減効果等を実証する。
 
(イ) OD法代替技術
  「特殊繊維担体を用いた余剰汚泥削減型水処理技術実証事業」
   実施者:(株)IHI環境エンジニアリング、帝人(株)、日本下水道事業団、辰野町 共同研究体
   実証フィールド:辰野水処理センター
   事業概要:反応タンクの多段化と特殊繊維担体の利用により、余剰汚泥発生量を大幅に削減することで、汚泥処理設備のダウンサイジン
         グが可能な水処理技術について、汚泥削減効果やライフサイクルコスト縮減効果等を実証する。
 
【予備調査8件】
[3] 下水熱を利用した車道融雪技術
  「下水熱を利用した車道融雪技術の実用化に関する調査事業」
   実施者:東亜グラウト工業(株)、十日町市 共同研究体
   事業概要:下水熱を利用した車道融雪技術の実用化に向けて、十日町市の既設実証施設を活用し、従来技術(電気融雪式、灯油融雪式)
         との比較検討を行う。
 
  「下水熱および車道融雪の特性を考慮した下水熱利用融雪技術に関する調査事業」
   実施者:(株)興和、積水化学工業(株)、新潟市 共同研究体
   事業概要:下水熱で温められた循環水をポンプで融雪パネルに送るシステムを用い、新素材による高採熱管を使用した場合の車道融雪へ
         の適用条件をシミュレーションで確認する。
 
  「下水熱蓄熱融雪システムの開発に関する調査事業」
   実施者:(株)総合設備コンサルタント、大日本プラスチックス(株)、中央復建コンサルタンツ(株)、(株)ディンプレックスジャパン、北海道大
        学、大阪市立大学、旭川市 共同研究体
   事業概要:熱の消費と生産を時間的にずらして平準化させる「下水熱蓄熱システム」と高効率な「金属製熱交換器」を用いた融雪技術の確
         認を行うとともに、事業採算性等の導入における課題点を整理する。
 
[4] 災害時に適した処理・消毒技術
  「不織布フィルターと限外ろ過膜による未処理下水の除菌システムの開発に関する調査事業」
   実施者:王子ホールディングス(株)、王子エンジニアリング(株)、クラレアクア(株) 共同研究体
   事業概要:下水中の菌を安全に除去する省エネ技術として、不織布(プレフィルター)による前処理とUF膜処理を組み合せた方法について、
         ランニングコストや技術性能の確認を行う。使用済み不織布は燃料として再資源化を試みる。
 
[5] 消化工程なしで下水道資源から水素を製造する技術
  「下水汚泥の熱分解高純度水素製造プロセス技術研究開発に関する調査事業」
   実施者:(株)オストランド、(株)iPL、成蹊大学、産業技術総合研究所 共同研究体
   事業概要:下水汚泥に鉄イオンと消石灰を混ぜたものを加熱し純度の高い水素を得るプロセスについての実験を行い、パイロットプラントで
         確認する。
 
  「下水処理水と海水の塩分濃度差を利用した水素製造システムの実用化に関する調査事業」
   実施者:山口大学、(株)正興電機製作所、日本下水道事業団 共同研究体
   事業概要:下水処理水と海水の塩分濃度差、下水処理水のポテンシャルや下水処理場の立地条件を活かした新たな水素製造技術につい
         て、水素発生量、水素純度等の技術的な性能について、福岡市のフィールドを活用し確認する。
 
  「下水汚泥から水素を直接製造する技術に関する調査事業」
   実施者:東北大学、カーボンフリーネットワーク(株)、(株)大和三光製作所、弘前市 共同研究体
   事業概要:水酸化ニッケルおよび水酸化カルシウムを用い、下水汚泥から水素を連続的に製造する技術について、事業採算性や技術性
         能の確認を行う。
 
  「下水処理水を利用した水素発電による下水道維持管理コスト低減に関する調査事業」
   実施者:清水建設(株)、積水化学工業(株)、(株)パワーユナイテッド、大阪狭山市、軽井沢町、小林市 共同研究体
   事業概要:下水処理水とマグネシウムから水素及び酸化マグネシウムを製造する技術について、事業採算性や技術性能の確認を行う。

添付資料

報道発表資料(PDF形式:240KB)PDF形式

お問い合わせ先

【下水道革新的技術実証事業の全般及びテーマ[1][2][5]について】国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部 下水道企画課 課長補佐 安田 将広、環境技術係長 中島 智彦
TEL:03-5253-8111 (内線34172、34134) 直通 03-5253-8427 FAX:03-5253-1596
【テーマ[2][4]について】国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部 流域管理官付 流域下水道計画調整官 小川 文章 [2]調整係長 川島 弘靖 [4]計画係長 江口 義樹
TEL:(03)5253-8111

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