報道・広報

自転車通行環境整備モデル地区の調査結果について

平成23年7月21日

.概要

クリーンかつエネルギー効率の高い都市内交通体系を実現するために、乗用車から
自転車への転換を促進することが必要である一方、交通事故全体に占める自転車関連
の事故の割合は増大傾向にあり、自転車事故対策が喫緊の課題となっています。

このため、沿道状況や交通実態等を踏まえつつ、歩行者・自転車・自動車の適切な
分離を図るなど、自転車走行空間の整備を推進していく必要があることから、国土交
通省と警察庁は、平成20年1月に全国98地区を「自転車通行環境整備モデル地区」
(以下「モデル地区」という。)に指定し、自転車通行環境整備の課題の把握や対応
策の検討を行ってきました。

 今般、モデル地区における自転車走行空間の整備状況、整備効果、および整備上の
課題等について調査結果をとりまとめましたので、お知らせいたします。



.調査結果


(1)整備状況

 平成22年度末時点での整備状況は下記のとおりです

 整      備       手       法       計画      整備済      整備率
 自      転       車       道      
48.3km 30.7km 64%
 自  転  車  専  用  通  行  帯      
 (  自  転  車  レ  ー  ン  ) 36.7km 29.6km 81%
 自  転  車  歩  行  者  道      
 ( 普通自転車歩道通行可 ) 259.7km 213.4km 82%
    うち自転車通行位置の明示      
 (普通自転車の歩道通行部分) 130.8km 104.8km 80%
 合                          計 344.6km 273.6km 79%
 
 四捨五入の関係で、合計が合わない場合がある。

 

※ 各整備手法の概要と整備事例については別添1のとおり
※ 各地区における整備状況は別添2のとおり


(2)整備効果

[1]整備後の整備手法別の自転車の通行位置について

 

   自転車道、自転車専用通行帯、自転車歩行者道内の自転車の通行位置の明示のい
ずれの手法で整備した場合においても、過半数の自転車が自転車走行空間を通行して
おり、歩行者及び自動車と自転車との分離が図られ、一定の効果が得られました。

 しかし、自転車道を整備した路線において、歩道や車道を通行する自転車が16%、
自転車専用通行帯を整備した路線のうち普通自転車歩道通行可規制がなされていな
い路線において、歩道を通行する自転車が24※※、更に自転車歩行者道内の自転車
通行位置の明示を整備した路線において、歩行者通行部分を通行する自転車が29
いることから、整備された空間が適切に利用されるための方策が必要と考えられます。

 

自転車道を整備した場合 歩道 自転車道 車道
自転車通行位置の状況  14% 84% 2%
         
自転車専用通行帯         を整備した場合 歩道又は   自転車歩行者道 自転車専用
通行帯
車道
自転車通行位置の状況 46% 53% 1%
  うち普通自転車歩道通行 可規制がなされていない路線における自転車通行位置の状況     24%※※ 76% 0%
※普通自転車歩道通行可規制がなされていない場合であっても、道路交通法により児童、幼児、
70歳以上の高齢者及び障害者が運転する普通自転車は歩道通行が認められているほか、道路工事
等で歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合には、普通自転車が歩道通行すること
は可能です。

※※歩道通行が認められている者、認められていない者を区別せずに集計した数値です。

自転車歩行者道内の自転    車通行位置の明示(普通    自転車の歩道通行部分)     を整備した場合   自転車歩行者道     (歩行者通行部分) 自転車歩行者道   (自転車通行部分) 車道
自転車通行位置の状況  29% 69% 2%

  [2]自転車が関係する交通事故の発生状況について

 

   全ての整備手法について、自転車走行空間を整備した路線における1年間の自転
車関連事故の発生件数は、整備前よりも減少しました。

特に、自転車道や自転車専用通行帯を整備した路線における自転車関連事故の減
少幅は大きい状況でした。


整備手法 整備前 整備後 増減率
    (件/年・㎞) (件/年・㎞)  
自転車道(28路線) 3.8 2.8 -26%
自転車専用通行帯 3.7 2.4 -36%
(35路線)      
自転車歩行者道(普通自転     2.7 2.4 -11%
車歩道通行可)(54路線)      
自転車歩行者道内の自転車           3.5 3.0 -14%
通行位置の明示(普通自転      
車の歩行通行部分)(90路      
線)      

(3)整備上の課題等

 

・概ね2年間で自転車走行空間の整備を完了できなかった172路線を対象に、その
理由を挙げてもらったところ、課題を挙げた146路線のうち、50%の73路線
において、地域住民や関係機関との合意形成に時間を要したことが挙げられました。
一方、概ね2年間で整備を完了できた269路線を対象に、計画通りに整備を完了
させるために苦慮した点を挙げてもらったところ、苦慮した点を挙げた104路線
のうち、65%の68路線において、地域住民や関係機関との合意形成が挙げられ
ました。この結果から計画の早い段階から合意形成を進めていくことが重要と考え
られます。

自転車画像1

  ・整備上の課題とその対応について尋ねた結果、概ね「構造・設計上の観点」「幅員確
    保の観点」「案内誘導・ルールの周知の観点」「マナー向上の観点」からの課題を挙
    げている例が多く見られました。
   
それぞれに挙げられた課題と対応の具体例は、下表の通りです。
   
このように、様々な観点での課題があり、各地で様々な対応を検討していることが分
    かり、これらのノウハウを整理し、適切な対応方策を示すことが必要と考えられます。

  自転車画像2



.今後の方針

今回のモデル地区の調査結果から、「整備された空間が適切に利用されるための方
策が必要と考えられること」、「全ての整備手法において自転車関連事故が減少し、特
に自転車道や自転車レーンの整備は自転車関連事故の減少幅が大きいこと」、「計画の
早い段階から合意形成を進めていくことが重要であると考えられること」、及び「様々
な観点で整備上の課題があり、各地で様々な対応を検討していることが分かり、これ
らのノウハウを整理し、適切な対応方策を示すことが必要と考えられること」が分か
りました。

今後、警察庁と連携して、上記の調査結果等をとりまとめ、有識者の意見も踏まえ
モデル地区での取組の評価・検証を行い、その結果をガイドラインとしてとりまとめ、
地方公共団体等に周知する予定です。

その後、引き続き警察庁とも連携して自転車走行空間ネットワークの整備、自転車
利用の促進策、ルールの周知、マナーの啓発、駐車対策の推進等を実践し、実施状況
や実施効果及び課題の把握等を行うことでガイドラインの検証を行い、より円滑かつ
効果的な自転車通行環境の整備が可能となるように順次ガイドラインの見直しを図
るとともに、必要に応じ取組結果の公表を行いながら、更なる自転車通行環境整備を
推進してまいります。

お問い合わせ先

国土交通省 道路局 環境安全課 室永
TEL:(03)5253-8111 (内線38272) 直通 (03)5253-8498

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