平成23年3月7日
この度、国土交通省では、サウジアラビア国リヤドにおいて、サウジアラビア国水電力省とともに、「日サウジアラビア下水道セミナー」を開催しました。
本セミナーにおいては、サウジアラビア政府の高い関心のもと、日本の下水道事業の経験や事業のスキームに加えて、膜処理技術や管路更生技術など日本企業の技術を活用した下水道事業の提案を行いました。さらに、今後のサウジアラビアにおける水事業の進め方について活発な議論が行われ、両国の協力関係が一層強化されるとともに、下水道に係る我が国の技術や経験に対するサウジアラビア国の理解を深めることができました。
これらの成果を踏まえ、今後とも、サウジアラビア国との一層の協力関係を推進するとともに、我が国企業等の海外展開を後押ししてまいります。
(1)日程 平成23年2月27日(日)
(2)会場 ホリデーイン・アルカスルホテル(サウジアラビア・リヤド)
(3)主催 国土交通省、サウジアラビア国水電力省
(4)出席者 60名
[日本側]
国土交通省技監 佐藤直良
国土交通省総合政策局国際建設管理官 名波義昭
国土交通省都市・地域整備局下水道部下水道事業調整官 加藤裕之
日本下水道事業団技術開発部長 中沢均
北九州市建設局下水道河川部水環境課係長 福永泰之
国際協力機構中東欧州部中東第一課主任調査役 星光孝
メタウォーター(株)国際事業推進センターマネージャ 寒川博之
積水化学工業(株)管路更生事業部課長 南洞誠
(株)日立プラントテクノロジー理事 中山易典
荏原エンジニアリングサービス(株)執行役員 松田一秀
住友商事(株) 風力・水インフラ事業部 部長付 植田博 ほか
[サウジアラビア側]
水電力省次官 ムハンマド・アル=サウード
水電力省水資源開発局長 ムハマド・アル=ドゥワイル
水公社商務開発部 ナサール・アル=アムリー ほか
(5)結果概要
1)冒頭挨拶
<アル=サウード次官>
・本セミナーは両国の水当局の対話を通じて両者の関係を深めるもの。
・サウジアラビアでは、水分野の予算が増え続けており、ビジネスの機会がある
・上下水道の整備に加え、下水処理水の再生利用を進めていきたい。
・今後、日本が実施する調査に対し、データ提供などにより協力していきたい。
<佐藤技監>
・昨年11月に水電力大臣が来日し、1月には水電力大臣と大畠経済産業大臣(当時)の会談を通じて水分野における協力関係を構築
・大畠大臣は現在国土交通大臣。経済産業省とサウジアラビアの水政策対話に国土交通省も参画していく。
・セミナーには、下水道整備を実施してきた北九州市、日本下水道事業団、下水道業務管理センターも参加。これらの経験がサウジアラビアに貢献できることを期待。
・JICAのほか、日本の民間企業が参加しており、これらの技術がお役に立てば幸い。
2)サウジアラビア側の発表
<水電力省>
・下水道の運営方法など各種ガイドラインの策定や技術水準の確保に取り組んでいる。
・人材育成が重要な課題。
<水公社>
・灌漑用水等への下水処理水の再利用を進めており、現在の再利用率は18%。
・今後、公的機関や再生水利用主体と協力して再利用率を100%に高めたい。
・再生水の処理、販売等を行うためのSSC(Sewerage Service Company)を、水公社と民間企業のジョイント・ベンチャーにより設立する予定。
3)日本側の発表
・日本では、様々な政策課題を解決するため、官民が連携し政策と技術を発展させており、サウジアラビアに対して政策と技術を組合せたパッケージで支援を行いたい。(国土交通省)
・日本下水道事業団による技術的な知見や、北九州市が公害を克服した政策的ノウハウを基に、研修受入や人材派遣など支援を行いたい。(日本下水道事業団、北九州市、JICA)
・民間企業からは、再生水や管路更生などに関する具体的な事業の提案や技術の紹介を行った。
4)総括
・両国で協力し、水分野での人材育成を含んだ中期的かつ具体的なロードマップを策定することとなった。
・サウジアラビア側の費用負担で、人材育成に関する研修を日本側で実施してほしいとの要請があり、調整に入ることとなった。
・サウジアラビア側から、プロジェクトは日本企業にも参入機会が開かれているとの発言があり、日本企業からも参入の意欲が示された。
・今後とも、両省が持続的な協力を行っていくことで一致した。
「日サウジアラビア下水道セミナー」の結果概要について(PDF形式)