報道・広報

「日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ」の結果概要について

平成23年12月2日

 この度、国土交通省では、ミャンマー連邦共和国ネピドーにおいて、ミャンマー連邦社会福祉救済復興省とともに、「日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ」を開催しました。
 本ワークショップにおいては、ミャンマー政府の高い関心のもと、我が国の防災・水資源管理に係る技術や政策を紹介するとともに、これらに関するミャンマーの取り組みについて情報交換を行いました。また活発な議論が行われ、これらの分野に係る我が国の技術や経験に対するミャンマー側の理解を深めるとともに、両国の協力関係を一層強化することができました。
 この成果を踏まえ、今後ともミャンマー連邦共和国との一層の協力関係を推進してまいります。

日ミャンマー防災・水資源管理ワークショップ

(1)日程  平成23年11月28日(月)


(2)会場  ティンガハ・ホテル(ミャンマー連邦共和国・ネピドー)


(3)主催  国土交通省、ミャンマー連邦共和国社会福祉救済復興省


(4)出席者 52名
   [日本側]
     国土交通省 総合政策局海外プロジェクト推進課 国際建設管理官 安田吾郎
     独立行政法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター
                       水災害研究グループ 上席研究員 深見 和彦
     独立行政法人水資源機構 利根川下流総合管理所 玉造管理所長 谷 剛
     在ミャンマー日本国大使館 ほか
   [ミャンマー側]
     社会福祉救済復興省 救済復興局長 ウー・ソー・アウン氏ほか13名
     (社会福祉救済復興省、農業灌漑省、運輸省、建設省、ミャンマー工学会ほか)


(5)結果概要

   1)冒頭および終了時挨拶
・冒頭、ミャンマー社会福祉救済復興省ウー・ソー・アウン救済復興局長より近年ミャンマーで発生した災害やそれに対するミャンマー政府の取組について言及があるとともに、本ワークショップ開催への感謝の意が示された。続いて在ミャンマー日本大使館中矢二等書記官より、本ワークショップ開催への関係者への謝意が表された。国土交通省安田国際建設管理官より、ミャンマーの今後の発展への期待に言及し、本ワークショップをきっかけに防災分野での協力関係が深まり、国の安定的な発展のために不可欠な災害対策が進展することを希望する旨の発言があった。
・閉会にあたり、国土交通省安田国際建設管理官より、今回のワークショップにより相互の取組や課題に関する情報を共有できたこと、また、今回のワークショップは両国間の防災分野での協力関係の発展の重要な一歩であり、本日の成果をそれぞれの参加者が活用されることを期待する旨の発言があった。またミャンマー連邦農業灌漑省灌漑局ゾー・ルイン・トゥン課長より、本日の有益なプレゼンテーションや議論を今後の災害管理に役立てていきたい旨の発言があった。

   2)ミャンマー側の発表
<社会福祉救済復興省>(災害発生後の応急対応や防災総括を担当)
・今年国内各地で洪水被害が発生しており、気候変動の影響が疑われるといったことが報告された。
・今年4月に災害救助及び住民移転を担当する部署が設けられる等の組織改編が行われたことをはじめとする防災関連機関の紹介が行われた。
・ミャンマーの治水分野におけるハード・ソフト両面の対策のメニューの紹介があり、さらにサイクロン・ナルギスによる大被害を受けたエーヤワディー川デルタをはじめとした各地における、地域的な課題解決の取組について紹介があった。
<農業灌漑省>(治水工事を担当)
・ミャンマーにおける治水事業、堤防管理、関連法令等について紹介があるとともに、河川における土砂管理、都市部における治水水準の向上、安価な洪水予警報システム整備等の課題があることが説明された。
<運輸省水資源河川系開発局>(河川航路維持、河岸維持を担当)
・上流部の開発に伴う土砂流出変化等に伴う河床変動や河川管理に関するトレーニングの不足等に伴う河道管理上の課題についての説明があった。
・同局の取り組みとして、水制や木工沈床などの河岸浸食対策、捷水路工事が紹介されるとともに、航路確保のみならず洪水対策、渇水対策のため河川改修が重要であるとの話があった。
<運輸省気象局>(気象・水位・水文観測を担当)
・ミャンマーの主要河川における流量、降雨量などの観測状況、避難や警報の仕組みが紹介された。
・ミャンマーの主要河川の地形的な特徴、近年の降雨の傾向、過去の主要な洪水などがデータにより示され、特に近年の集中豪雨の被害事例について降雨の状況や被害状況が説明された。
・運輸省気象局で取り組んでいる他の機関と連携したワークショップ開催や住民への啓発活動などが紹介された。

   3)日本側の発表
<国土交通省>
・東日本大震災による被害状況と構造物が果たした機能について紹介し、今回の災害からの教訓として、低頻度・大規模災害に対する対処のために、発生し得る最大規模の外力を想定した「レベル2津波」という概念を設定し、施設だけでは全てを防げなくても破局的事象の発生を回避する考え方を導入したことを紹介した。
・2004年および2011年に発生した新潟豪雨について、2004年の洪水後にとられた対策と、それらにより2011年の豪雨時に発揮された減災効果を示した。
・木工沈床や粗朶沈床を含めた日本の伝統的な治水工法の概要と、ラオスにおけるそれら工法の適用例などを紹介した。
・災害の初動対応として、水防活動、TEC-FORCEの派遣を紹介するとともに、防災面での国際的な協力の必要性について言及した。
・治水事業は上下流や左右岸の間で利害が異なるという特性を持つことから、部分的な工事単位で事業を実施しようとすると利害相反を招きやすく、長期的な治水計画についてコンセンサスを得て事業を実施することが重要であることを述べた。
<独立行政法人水資源機構>
・水資源機構について組織や取組、管理している施設の例とともに紹介した。
・自然湖沼を利用した利水・治水の取組として、琵琶湖を利用した淀川水系の水資源開発および洪水被害防止の取組とその効果を紹介した。
・ダム連携操作による洪水防御の例として、2009年台風18号に対し、木津川において3ダム連携操作により浸水被害を軽減した事例が紹介した。
・河口堰による利水・治水として、河床掘削と長良川河口堰の設置による流下能力向上、都市用水開発の事例を紹介した。
・アジア地域で総合的水資源管理を推進するための情報共有、人材育成のためのネットワークである「アジア河川流域機関ネットワーク(NRRBO)」の活動を紹介した。

<独立行政法人土木研究所 水災害・リスクマネジメント国際センター>
・衛星技術を活用した洪水予測、流出解析の技術、特にIFAS(Integrated Flood Analysis System)について、その概要と適用などについて、ミャンマーの河川における適用事例も含めて説明された。
・あわせて、衛星による降雨観測技術の現状や重要性、これに関する今後のプロジェクトやIFASに近年新たに追加された機能などが紹介された。

   4)総括
・ミャンマー側の発表によって、防災・水資源管理に関係するそれぞれの省庁の役割やそれぞれが認識している課題が具体的に示された。
・日本側の発表によって、防災・水資源管理に係る政策的取組や技術についてミャンマー側の理解を深めることができた。
・議論においてもミャンマー側から日本の発表に関する活発な質問があるとともに日本の支援に関する期待が示され、日本側からもミャンマー側からの発表に対して、今後留意すべき点等に関するコメントなどがあった。

  • ウー・ソー・アウン局長の挨拶

  • 安田国際建設管理官の挨拶

  • ワークショップの様子

  • ワークショップの様子

  • ワークショップ参加者集合写真

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局海外プロジェクト推進課  森、吉井
TEL:(03)5253-8111 (内線25804、25815) 直通 (03)5253-8315

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