令和8年3月26日
国土交通省とOECD開発センターは、気候変動等による自然災害の頻発化・激甚化による影響の軽減を目指し、質の高いインフラによるレジリエント(強靱)な社会構築に関する調査研究を実施し、今般、『質の高いインフラ優良事例集2026』として取りまとめ、公開しました。
本事例集では、大熊町を含む世界7ヶ国※1の「Build Back Better(より良い復興)」※2の優良事例を採り上げ、それらから導き出される5つの原則が、あらゆる復興に対して幅広く適用可能であり、復興における成功のカギとなることを打ち出しました。
3月17日(火)、福島県大熊町において、本事例集の公開に併せて国際機関との意見交換を実施し、本事例集を活用した「より良い復興」の推進を世界に向けて発信しました。
※1 ホンジュラス、インドネシア、日本(福島県大熊町)、マラウィ、ネパール、ペルー、サモア 事例集の概要は別添1参照
※2 「Build Back Better(より良い復興)」は、「仙台防災枠組2015-2030」で示された考え方で、被災したインフラを単に災害前の状態に復旧させるのではなく、設計基準や制度の強化のほか、土地利用・ガバナンス・サービス提供の改善を
通じて、そのインフラが抱える脆弱性を軽減するよう求めるもの。
- 開催概要
主 催 :OECD開発センター、国土交通省、世界銀行
協 力 :福島県大熊町
日 時 :2026年3月17 日(火)9:30~16:30
会 場 :CREVAおおくま 1階ホール(福島県双葉郡大熊町大字下野上字大野116-5)ほか
https://okuma-creva-kumasun.jp/
プログラム・出席者:別添2参照
参加者数:約70名(オンライン参加を含む)
2. イベント結果概要
(1)大熊町長による基調講演「大熊町におけるより良い復興」
原発事故による長期にわたる全町避難を経て、町域の約半分まで徐々に避難指定が解除されてきた現状のほか、「元に戻す」の
ではなく「新しいまちづくりに挑戦する」という考えの下、産業拠点や教育施設の整備を進める中で、この町の復興状況や社会
課題をチャンスと捉え、新たな取り組みにチャレンジしようとする人が集まってきた状況について紹介がありました。その一方
で、復興には依然として多くの課題が残り、長い時間が必要であることも述べられました。
(2)『質の高いインフラ優良事例集2026』の発表
事例集では、自然災害の激甚化を背景として、世界7ヶ国における復興事例を基に「より良い復興」を実現するための実践策を
整理し、将来の強靱で持続可能なインフラ復興に向けた考え方を示しました。日本からは、大熊町の取組が優良事例として採用
されています。
発表の中で、「将来を見据えた計画立案の実現」「復興における事前防災の組込み」「ターゲットを絞った資金とパートナーシッ
プの活性化」「効果的なタイムマネジメントの確立」「人を中心とした復興の実現」という5つの原則が、あらゆる復興に対して幅
広く適用可能である旨の説明がありました。
質の高いインフラ優良事例集(英語)のダウンロードはこちら
(3)円卓会議「福島と世界の復興事例から学ぶ」
円卓会議では、『質の高いインフラ優良事例集2026』で採り上げられた各国や国際機関の担当者より、それぞれの復興事例の紹
介と意見交換が行われました。
「福島からの学び」セッションには、国土交通省のほか、東北大学、明治大学、国際協力機構(JICA)等の専門家が参加し、
「復興は人材育成・コミュニティ形成など人を中心に据えることが不可欠である」、「交通ネットワーク再構築などのインフラ整備
が地域の再生と外部とのつながり回復の基盤となる」、「福島・大熊町の取り組みは多様な主体の参画によるイノベーションと社会
的実験として世界的にも新たな復興モデルを示している」等、大熊町の取組が優れているポイントを専門的見地から指摘する意見
が出されました。
(4)大熊町の取組に関する現地視察
本事例集で採り上げられた大熊町の復興の取組は、住民の帰還を支援するために学校施設整備や人材育成、地域交通の再構築
といった「復興の取り組みの中心に人々を据えること」を重視し、効果的なタイムマネジメントを組み合わせ、住民帰還と地域
活力の再生につなげてきた点が、世界に誇るモデルであるとされています。
こうした優れた取組を行っている場所として、人材・産業育成のための「大熊インキュベーションセンター(OIC)」、およびこど
も園と義務教育学校の併設型教育施設である「大熊町立学び舎ゆめの森」を訪れ、人を中心に据えた復興の知見を参加者と共有
しました。