平成22年3月31日
公共工事の積算にあたっては、標準的な工事価格が算定できるよう実態調査を行い、その結果を反映した各種積算基準を整備しています。
今回、土木工事の積算基準について土木工事標準の改正、土木工事間接工事費率等の改正を行うこととしました。
設計積算基準等については、実態調査に基づき、現地測量を新たに策定し、設計業務等共通仕様書、測量業務、地質・土質調査業務等共通仕様書の一部改正を行うこととしました。
1.土木工事標準歩掛の改正
土木工事標準歩掛は、土木請負工事費の積算に用いる標準的な施工条件における単位施工量当たりの労務、材料、機械の運転時間等の所要量(歩掛)について各々の工種ごとに示したものです。
土木工事標準歩掛の改正は、「施工形態動向調査」の結果を踏まえ、既存制定工種の歩掛改正を行っています。
今回、「機械土工(土砂)」など6工種の歩掛見直し等を行いました。(別紙-1)
○施工形態動向調査とは: 土木工事の施工形態は、社会環境の変化、使用機械の多様化、新技術・新工法の開発など、施工を取り巻く状況の変化等に伴い常に変化している。 施工形態動向調査は、これら施工実態の変動量および変動理由を把握するため、土木工事における労務、材料、機械の所要量等の施工実態について、直轄工事及び補助事業工事を対象に、毎年度実施している調査。
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2.建設機械等損料の改正
「請負工事機械経費積算要領」の別表である「建設機械等損料算定表」は、土木請負工事の施工者が保有する建設機械等の基礎価格、標準使用年数、供用1日当たり損料等の諸数値について定めているものです。
建設機械等損料算定表の改正は、建設機械等を所有する工事請負者に対する実態調査の結果を踏まえ、既存制定機種の損料改正及び全国的に普及した機種の新規制定を行っています。
平成22年度は、調査結果を基に、建設機械等損料、ダム施工機械等損料及び除雪機械等損料の見直しを行いました。(別紙-2)
○建設機械等損料とは: 建設機械等損料とは、土木請負工事の施工者が自ら保有する建設機械等の償却費、維持修理費、管理費等、これらのライフサイクルコストを1時間当たり又は1日当たりの金額で示した経費であり、機械経費の積算に使用するもの。
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3.土木工事間接工事費率の改正
近年の不調・不落工事の増加を踏まえ、「共通仮設費(率計上分)」及び「現場管理費」の間接工事費率について、平成21年度より3大都市(東京特別区、横浜市、川崎市、名古屋市、大阪市の市街地)で行う鋼橋架設工事、舗装工事、電線共同溝工事、道路維持工事を対象に大都市補正を導入したところでありますが実態調査結果に基づき、適用地区の拡大を行うこととします。
適用地区は以下のとおりです。
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、市川市、船橋市、習志野市、浦安市、 東京都特別区、横浜市、川崎市、新潟市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、 神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、広島市、北九州市、福岡市のうち、施工地域の区分が市街地
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対象工事区分:鋼橋架設工事、舗装工事、電線共同溝工事、道路維持工事
補正係数は、共通仮設費で1.5、現場管理費で1.2を乗じるものとします。
○共通仮設費とは: 共通仮設費は、工事の施工において、共通的に必要な経費。具体的には、機械等の運搬費、準備や跡片付けに要する費用等の準備費、工事現場の安全対策に要する安全費、品質管理・出来形管理・工程管理に要する技術管理費現場事務所等の営繕費
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○現場管理費とは: 現場管理費は、工事施工において、品質管理、工程管理、原価管理、労務管理、安全管理などいわゆる工事監理を実施するために必要な経費。具体的には、工事現場で工事監理を行う従業員の給料手当、現場労働者の交通費、安全訓練費等、現場従業員の法定福利費、下請の一般管理費等など。
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4.日当たり作業量の補正の試行
大都市補正対象地域で実施中の工事について、現場条件等により作業効率が低下すると考えられることから、実態調査結果に基づき、大都市補正対象地域で行う工事については、特定の歩掛の日当たり作業量を補正することを試行として実施することとします。補正係数は0.8(別紙-3参照)
大都市補正適用地区(間接工事費率の補正と同じ)
札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、市川市、船橋市、習志野市、浦安市、 東京都特別区、横浜市、川崎市、新潟市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、 神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、広島市、北九州市、福岡市のうち、施工地域の区分が市街地
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特定歩掛:道路修繕工事、電線共同溝工事及び道路維持工事において別紙-3に記載する歩掛。
5.施工箇所が点在する工事の積算方法の試行
施工箇所が点在する工事については、建設機械を複数箇所に運搬する費用や複数箇所の交通規制等がそれぞれの箇所で発生するなど、積算額と実際にかかる費用に乖離が考えられるため、実態調査結果に基づき、「市町村をまたぎ施工箇所が複数ある工事については、工事箇所毎に共通仮設費、現場管理費の算出を可能とする。」ことを試行として実施することとします。(別紙-3参照)
6.土木工事共通仕様書(案)の改正
労働安全衛生規則の一部改正等に合わせた記載内容の変更等の改正を行うこととしました。
7.電気通信設備工事共通仕様書の改正
工種体系のスリム化による記載内容の一部変更及び環境・省エネルギー技術やJIS規格の追記等の改正を行います。
8.設計業務等の積算基準及び共通仕様書(案)の改正
設計業務等標準積算基準書について、実態調査結果に基づき「現地測量」の積算基準を策定します。また、設計業務等共通仕様書(案)、測量業務共通仕様書(案)、地質・土質調査業務共通仕様書(案)を一部見直します。