令和7年12月24日
| 令和7年9月17日付けで西日本鉄道株式会社(以下「西日本鉄道」)より申請のあった、鉄道事業の旅客運賃の上限変更については、令和7年12月16日に運輸審議会より「認可することが適当である」旨、答申が出されましたので、本日、国土交通省として認可いたしました。 |
鉄道事業の旅客の運賃は、鉄道事業法第16条第1項に基づき、その上限を定め、国土交通大臣の認可を
受けなければならないこととされています。認可にあたっては、同法第16条第2項に基づき、能率的な経
営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査することとされ
ており、また、同法第64条の2に基づき、運輸審議会に諮らなければならないこととされています。
令和7年9月17日付けで西日本鉄道より申請のあった、旅客の運賃の上限変更について、運輸審議会に
諮問したところ、令和7年12月16日に「認可することが適当である」旨の答申が出されました。これを
受け、本日、国土交通省として申請どおり認可をいたしました。なお、今回の認可は、令和13年3月31
日までの期限を設け、運賃改定後の令和8年度から3年間(令和10年度まで)の総収入と総括原価の実績
を確認することとしています。
■運賃の改定概要
西日本鉄道は、少子高齢齢化の進展やマイカーへの移行などにより、利用者は平成4年度をピークに減少
傾向で、令和6年度の輸送人員はピーク時の約7割まで減少している。今後の見通しとして、通勤定期は、
増加が見込まれるものの、定期外は、コロナによる新たな生活様式の定着により、コロナ前まで回復してお
らず、定期外と定期の合計でコロナ前の令和元年度の水準までは戻らない見通しです。
一方で、今後、ATSシステムの更新や変電所の建替えなどの大型基盤施設の更新タイミングを迎えるとと
もに、耐震補強等の自然災害対策など、安全の確保のために必要な設備投資が増加する見通しです。あわせ
て、新造車両への代替や朝ラッシュ時間帯の輸送力増強、駅改良・改修、バリアフリー整備など、サービス
向上のための投資や、職場環境改善など、人材確保のための投資も継続して実施していく計画であります。
また、電気料金の値上げや物価高騰、人材確保のための待遇改善など、人件費・経費はこれまで以上に増
加することが見込まれ、営業費用は大きく増加する見通しであります。
以上のことから、今後も鉄道事業を安定的かつ継続的に運営し、公共交通機関としての使命を果たしてい
くためにも、引き続き、同社の経営努力の継続を前提として、今後増加する費用の一部を利用者に負担して
もらい、令和8年4月より運賃改定を実施する予定です。
【改定内容】
○改定率 12.4%(15.7%)
・普通旅客運賃:11.1%(14.6%)
・定期旅客運賃:通勤15
.6%(19.2%)、通学:
9.0%(9.0%)
※改定前収入に鉄道駅バリアフリー料金を含む改定率(カッコ内は鉄道駅バリアフリー料金を含まない改定率)
○初乗り運賃
・3キロまで170円(鉄道駅バリアフリー料金を含む)→180円
160円(鉄道駅バリアフリー料金は含まない)→180円
○定期運賃の割引率(1ヶ月)
通勤定期:37.2%(現行:39.3%)
通学定期:82.2%(現行:81.2%)
※現行は鉄道駅バリアフリー料金を含まない場合
○実施予定時期:令和8年4月
○収入原価
(単位:百万円)
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令和6年度
(実績) |
令和8年度~10年度推定(3年間平均) |
| 現 行 |
改 定 |
| 収 入 |
23,693 |
24,198 |
27,112 |
| 原 価 |
23,649 |
27,447 |
27,447 |
| 差引損益 |
44 |
▲3,248 |
▲335 |
| 収 支 率 |
100.2% |
88.2% |
98.8% |
<参考>
○鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
(旅客の運賃及び料金)
第十六条 鉄道運送事業者は、旅客の運賃及び国土交通省令で定める旅客の料金(以下「旅客運賃等」と
いう。)の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、
同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適正な
利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
3~9 (略)
(運輸審議会への諮問)
第六十四条の二 国土交通大臣は、次に掲げる処分等をしようとするときは、運輸審議会に諮らなければならない。
一 第十六条第一項の規定による旅客運賃等の上限の認可
二~五 (略)