平成23年9月9日
これまで、大都市圏の鉄道においては、増大する輸送需要に対して、新線建設・複々線化等の輸送力増強や、相互直通運転による都市周辺から都心部への直通化が進められ、混雑の緩和や利便性の向上が図られてきました。
しかしながら、ラッシュ時間帯にはきわめて高頻度の列車運行が行われていることから、わずかな要因によりダイヤの乱れが容易に発生し、列車遅延が起こりやすい状況となっています。また、相互直通運転の拡大により、輸送トラブルが発生した場合の影響が広域化し、その回復に長時間を要するといった課題も指摘されています。
そこで、日常的な短時間の遅延に対する対策や、輸送障害発生時の影響を最小化するための対策について、調査・検討を行いました。
1.列車遅延(30分以内のもの)のボトルネック要因の把握と対策
(1)閉そく区間が長い箇所で列車の出発待ち
⇒・信号設備の改良による閉そく区間の細分化
などを通じたスムーズな列車運行の提案
(2)途中駅止まりの列車の降車確認等に時間を要し後続列車が遅れ
⇒・ホーム要員の増員による降車確認の迅速化
・途中駅折返しをやめるなどダイヤの工夫
などによる後続列車の遅れの解消の提案
(3)郊外の車両基地へ戻る多数の列車が集中し遅延が増幅(ラッシュ時間帯終了直後の下り線)
⇒・留置線の整備・活用により都心側での列車留置を増やし郊外への運行本数を減らす
・途中駅折返しをやめるなどダイヤの工夫で郊外への運行時間帯を分散
・一部を回送列車として駅停車時間を削減・縮小
などによるラッシュ後の遅延の解消の提案
2.輸送障害(運休又は30分以上の遅延を生じた輸送トラブル)発生時の影響最小化のための対策
・折返し施設の設置など必要な施設整備
・既存の複数の折返し施設を活用した運転整理の実施
などによる輸送障害の影響最小化の提案
3.遅延防止のための混雑緩和対策
・遅延防止に資する比較的短期かつ小規模なハード対策
・特定列車や特定車両への利用者の集中を防止するためのダイヤの工夫や情報提供
・時差通勤の拡大などオフピーク対策の一層の取り組み
などによる混雑緩和対策の提案
国土交通省としては、この調査結果を踏まえ、遅延防止や輸送障害発生時の影響の最小化に向けて、できることから順次対策を講じるよう鉄道事業者等に働きかけてまいります。
調査結果の概要(PDF形式)
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