TEC-FORCE

TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)全国大会

 TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)は、平成20年4月に発足して以降、東日本大震災など58の大規模自然災害に対してのべ約4万人以上の隊員を被災地に派遣し、被災状況の早期把握をはじめ、被害の拡大や二次災害の防止、早期復旧のための技術的助言、応急対策の実施など被災地を支援するための活動を実施しています。
 苛酷な災害現場において発災直後から応急活動に全力を尽くし、被災地の早期復旧に貢献してきたTEC-FORCE隊員の功績を称えるとともに、TEC-FORCE活動の重要性や果たすべき役割等についての理解を深めることを目的として、12月2日、国土交通大臣出席のもと「TEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)全国大会」を開催しました。

■開催日時:平成27年12月2日(水)15:00~
■開催場所:国土交通省
■参 加 者:石井国土交通大臣、山本副大臣、土井副大臣、宮内大臣政務官、江島大臣政務官をはじめとする本省等幹部
      各地方整備局、北海道開発局、沖縄総合事務局、国土技術政策総合研究所、国土地理院のTEC-FORCE等 約190人

○第1部(国土交通大臣表彰式)

表彰状を授与する石井国土交通大臣 表彰されたTEC-FORCE各隊 TEC-FORCE活動を激励する石井国土交通大臣
表彰状を授与する
石井国土交通大臣
表彰されたTEC-FORCE各隊 TEC-FORCE活動を激励する
石井国土交通大臣

 表彰式では、石井国土交通大臣が、広島土砂災害でTEC-FORCE活動に従事し被災地の早期復旧に大きく貢献した中国をはじめとする北陸・中部・近畿・四国・九州の各地方整備局、国土技術政策総合研究所、国土地理院のTEC-FORCE各隊に表彰状を授与しました。

 TEC-FORCE各隊を代表して、中国地方整備局より謝辞と広島土砂災害におけるTEC-FORCE活動の報告を行いました。

 最後に、石井国土交通大臣よりTEC-FORCE活動への激励がありました。

○第2部(TEC-FORCE活動報告会)

各地方整備局等からの報告 TEC-FORCEが果たした役割や活動上の課題等について共有 池内技監からのTEC-FORCE活動報告に対する総評
各地方整備局等からの報告 TEC-FORCEが果たした役割や
活動上の課題等について共有
池内技監からのTEC-FORCE活動報告に対する総評

 活動報告会では、各地方整備局等より近年の災害におけるTEC-FORCEの活動及びTEC-FORCEに関する新たな取り組みについて報告を行いました。各被災地での活動内容をはじめ、活動を通じて得られた教訓、課題や、地域に貢献できたこと等について共有するとともに、TEC-FORCE活動の重要性や果たすべき役割等について理解を深めました。

 最後に、池内技監より各地方整備局等からの全ての報告を踏まえて総評がありました。

○TEC-FORCE活動報告の概要

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1 平成26年8月広島土砂災害 TEC-FORCE活動報告【中国地方整備局】

広島市長に渓流緊急調査結果を報告 災害協定を締結している建設会社と連携した市街地の土砂撤去 自衛隊等捜索活動機関への技術的助言
広島市長に渓流緊急調査結果を報告 災害協定を締結している建設会社と連携した市街地の土砂撤去 自衛隊等捜索活動機関への技術的助言
  • 発災当日から、中国・北陸・中部・近畿・四国・九州地方整備局、国土技術政策総合研究所、国土地理院のTEC-FORCEが広島市に結集しました。
  • 324箇所もの土石流危険渓流調査をわずか2週間で完了させ、調査結果を広島市長に報告しました。
  • 迅速な活動により広島市の早期の避難勧告の解除を支援したほか、捜索現場における安全点検の実施や降雨時の捜索中止・再開に関する技術的助言により自衛隊等の捜索活動を支援しました。
  • 市街地に流出し生活再建の障害となっていた土砂の撤去は、管理者の枠を越えてTEC-FORCEが主導し、短期間で撤去作業を完了。TEC-FORCEの機動力が広島市の早期復旧に貢献できました。
  • これらの活動は、国土交通省の職員はもとより、建設業界の高い技術力と責任感により成し遂げることができました。

2 平成26年8月豪雨災害(礼文島) TEC-FORCE活動報告【北海道開発局】

冠水した住宅地での被災状況調査 礼文町に被災状況調査結果を報告 港湾業務艇による孤立地域への物資等の輸送
冠水した住宅地での被災状況調査 礼文町に被災状況調査結果を報告 港湾業務艇による孤立地域への物資等の輸送
  • 礼文島(離島)への交通手段はフェリーしかない中、砂防職員のいる遠方の開発建設部で迅速に砂防班を編制し、発災翌日早朝のフェリー(第一便)に間に合わせるよう派遣を実施しました。
  • 短期間で実施した住宅地等の被災状況調査や、孤立地域への物資等の輸送などの迅速な活動により礼文町を支援。礼文町長より感謝の言葉をいただきました。
  • 今回の活動を通じて、全道各地から離島へTEC-FORCEを派遣するための備えが必要と痛感。この教訓を機に、7月に離島派遣の実働訓練を実施。今後も訓練等の実施により備えを充実させていきます。

3 平成27年9月関東・東北豪雨災害 TEC-FORCE活動報告【東北地方整備局】

昼夜を徹した緊急排水活動 町道の被災状況調査 大﨑市長にTEC-FORCE活動を報告
昼夜を徹した緊急排水活動 町道の被災状況調査 大﨑市長にTEC-FORCE活動を報告
  • 東北・北陸・中部地方整備局、北海道開発局のTEC-FORCEが宮城県大崎市等に結集しました。
  • 堤防決壊により大規模な被害が発生した大崎市の渋井川(宮城県管理)では、昼夜を徹した緊急排水活動によりわずか3日間で浸水を解消。TEC-FORCEの機動力が大崎市の早期復旧に貢献できました。
  • 福島県南会津町では、短期間で実施した町道の被災状況調査などの迅速な活動により南会津町を支援。大崎市長及び南会津町長より感謝の言葉をいただきました。
  • 地域からの支援要請は国土交通省に対する期待の表れ。今後も地域の期待に応えられるよう備えを図っていくことが必要と再認識しました。

4 平成27年9月関東・東北豪雨災害 TEC-FORCE活動報告【関東地方整備局】

昼夜を徹した緊急排水活動 渓流の被災状況調査 日光市長に被災状況調査結果を報告
昼夜を徹した緊急排水活動 渓流の被災状況調査 日光市長に被災状況調査結果を報告
  • 発災当日から、関東・北陸・中部・近畿・中国・四国・九州地方整備局のTEC-FORCEが茨城県常総市等に結集しました。
  • 堤防決壊により大規模な浸水が発生した常総市の鬼怒川では、昼夜を徹した緊急排水活動によりわずか10日間で浸水を解消。TEC-FORCEの機動力が常総市の早期復旧に貢献できました。
  • 栃木県日光市では、短期間で実施した渓流の被災状況調査などの迅速な活動により日光市を支援。日光市長より感謝の言葉をいただきました。
  • 今回の活動では、起こりうる事態を想定し、鬼怒川の堤防決壊が発生する前からTEC-FORCEが結集し活動を開始したこと、また、TEC-FORCEが有する高い技術力と豊かな経験を基に臨機に対応したことにより、早期に浸水を解消することができました。

5 平成27年9月関東・東北豪雨災害 緊急災害対策派遣官活動報告【北陸地方整備局】

排水ポンプ班による現地調査 緊急災害対策派遣官が中心となって排水計画を検討 排水ポンプ班と緊急災害対策派遣官との連携により排水場所を確保
排水ポンプ班による現地調査 緊急災害対策派遣官が中心となって排水計画を検討 排水ポンプ班と緊急災害対策派遣官との連携により排水場所を確保
  • 関東地方整備局TEC-FORCE総合司令部で、緊急災害対策派遣官として排水ポンプ班を指揮。小貝川堤防上に排水ポンプ班を派遣したが、住民の車両の駐車により排水ポンプ車が配置できなかったため、排水適地確保のための現地調査を指示しました。
  • 排水ポンプ班が主体となって詳細な現地調査を実施し、調査結果をもとにTEC-FORCE総合指令部の緊急災害対策派遣官が中心となって具体的な排水計画を検討。現地の排水ポンプ班と緊急災害対策派遣官との連携により、円滑に緊急排水活動を進めることができました。
  • 今回のような大規模災害が発生した場合、受援側のマンパワーには限界があるため、早い段階から、支援側の緊急災害対策派遣官が中心となって緊急排水計画の検討が行えるよう、TEC FORCE総合司令部内での役割分担と支援側からの十分な人員の派遣が必要です。

6 平成26年11月長野県北部を震源とする地震 TEC-FORCE活動報告【北陸地方整備局】

橋梁の被災状況調査 小谷村長に被災状況調査結果を報告 地元住民に橋梁の被災状況を説明
排水ポンプ班による現地調査 緊急災害対策派遣官が中心となって排水計画を検討 排水ポンプ班と緊急災害対策派遣官との連携により排水場所を確保
  • 地震発生直後の深夜、小谷村への唯一の国道が被災し、関東地方整備局からのリエゾン派遣が困難となったため、北陸地方整備局より直ちにリエゾンを派遣しました。
  • 44箇所もの村道被災状況調査をわずか4日間で、また、89箇所もの橋梁被災状況調査を3日間で完了。また、安全性を有していない橋梁については、地元住民に被災の状況を説明し通行禁止措置について助言するなどの迅速な活動により小谷村を支援。小谷村長より感謝の言葉をいただきました。
  • 北陸地方整備局では、平成16年の中越地震など過去に大きな地震を3回経験。今回の活動では、過去の大きな地震災害対応を経験した職員をTEC-FORCE隊長として派遣したことにより、円滑に被災状況調査を行うことができました。

7 平成26年8月豪雨災害(福知山・丹波)TEC-FORCE活動報告【近畿地方整備局】

昼夜を徹した緊急排水活動 流出した道路の被災状況調査 福知山市長に被災状況調査結果を報告
昼夜を徹した緊急排水活動 流出した道路の被災状況調査 福知山市長に被災状況調査結果を報告
  • 近畿・北陸・中部・九州地方整備局のTEC-FORCEが京都府福知山市等に結集しました。
  • 豪雨により大規模な浸水が発生した福知山市では、昼夜を徹した緊急排水活動により早期に浸水を解消。また、短期間で実施した河川・道路の被災状況調査などの迅速な活動により福知山市を支援。福知山市長より感謝の言葉をいただきました。
  • 今回の活動では降雨が継続したため、TEC-FORCE隊員の安全管理(降雨の状況等を踏まえた現地での活動中止・再開の判断)に気を配った。公式の気象警報や実績降雨だけではなく、雨雲の様子や雷などの現地の天候変化からも活動中止の判断が必要と感じました。

8 平成27年5月口永良部島噴火 TEC-FORCE活動報告【九州地方整備局】

防災ヘリコプターによる被災状況調査 屋久島町長に被災状況調査結果を報告 屋久島町役場に防災ヘリコプターからの映像を配信
防災ヘリコプターによる被災状況調査 屋久島町長に被災状況調査結果を報告 屋久島町役場に防災ヘリコプターからの映像を配信
  • 口永良部島の爆発的な噴火による全島住民避難の中、噴火当日より、防災ヘリコプターによる被災状況調査を継続して実施。上空から撮影した被災状況調査結果を屋久島町や避難住民に提供。一時入島時には、避難住民等が安全に入島出来るよう、防災ヘリコプターによる火口周辺監視を支援しました。
  • 臨時に設置した監視カメラや防災ヘリコプターからの映像を衛星通信設備を介して屋久島町へ配信するなど、国交省が備える設備等を最大限活用した活動により屋久島町を支援しました。
  • 今回の活動は、爆発的な噴火の6日前に発生した地震直後より、起こりうる事態を想定して防災体制を確立し備えたことにより、一定の災害対応能力を発揮することができました。

9 南海トラフ巨大地震TEC-FORCE活動計画(案)【中部地方整備局】

南海トラフ巨大地震の発生に備え具体的なTEC-FORCE活動計画を検討中 南海トラフ巨大地震の発生に備え具体的なTEC-FORCE活動計画を検討中
南海トラフ巨大地震の発生に備え具体的なTEC-FORCE活動計画を検討中

TEC-FORCEに関する新たな取り組みとして、今後発生が危惧される南海トラフ巨大地震の発生に備えたTEC-FORCE活動計画の検討状況について報告しました。

  • 強い揺れ、巨大な津波により、死者数は約17万5千人となるほか、日本の大動脈である重要交通網の寸断やゼロメートル地帯での広大な浸水など、甚大な被害が発生する恐れがあります。
  • これら起こりうる深刻な事態に備え、被災状況の早期把握をはじめ、救援・救護活動を支援するための道路啓開や緊急排水など、TEC-FORCEが実施すべき具体的な活動計画を検討中です。
  • リエゾンの派遣手順や現地活動拠点の確保、TEC-FORCE隊員等の活動の重点化などの課題検討を行いながら、今後も引続き、TEC--FORCE活動計画の具体化を進めていきます。

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