平成12年度 河川局関係事業における事業評価について

I. 新規事業採択時評価について



4.評価の考え方及び評価結果
(1)河川事業



1)河川事業に関する評価の考え方

i) 河川改修事業及び河川構造物改築事業の優先度に係る評価の考え方【試行版】
下記の通り区分を設け、各項目ごとにA〜Cの評価を行う。

○災害発生時の影響
   想定氾濫区域内について
・浸水戸数
  A:1000戸以上 B:999 〜100戸 C:100戸未満
・軒下浸水(2m)以上の浸水戸数
  A:100戸以上 B:99 〜50戸 C:50戸未満
・農地浸水面積
  A:1000 ha以上 B:999 〜100 ha C:100 ha未満
・重要な公共施設等の有無
  A:5施設以上 B:4〜3施設 C:3施設未満
□主要道路、□鉄道、□上水施設(浄水場等)、□電話(中継所)、□電気(変電所)、□市役所等、□警察署、□消防署、□保健所,□学校、□その他公共施設
・災害弱者関連施設の有無
  B:有り  
□身障者施設、□老人ホーム、□幼稚園、□病院、□その他施設

○過去の災害実績
  過去10箇年の実績被害を対象として
・浸水頻度(原則として水害統計に記載された延べ回数)
  A:4回以上 B:3〜2回 C:2回未満
・最大浸水戸数
  A:1000戸以上 B:999 〜100戸 C:100戸未満
・軒下浸水(2m)以上の浸水戸数(最大)
  A:100戸以上 B:99 〜50戸 C:50戸未満
・孤立戸数*1(浸水家屋は除く)(最大)
  A:100戸以上 B:99 〜50戸 C:50戸未満
・最大農地浸水面積
  A:1000 ha以上 B:999 〜100 ha C:100 ha未満
・避難勧告の有無
  B:有り  
・重要な公共施設等の有無
  A:5施設以上 B:4〜3施設 C:3施設未満
□主要道路、□鉄道、□上水施設(浄水場等)、□電話(中継所)、□電気(変電所)、□市役所等、□警察署、□消防署、□保健所,□学校、□その他公共施設
・災害弱者関連施設の有無
  B:有り  
□身障者施設、□老人ホーム、□幼稚園、□病院、□その他施設
・重要交通網の遮断状況
  A:12時間以上 B:6時間以上12時間未満 C:6時間未満

○事業の緊急度
  過去近3箇年の実績被害を対象として
・被害実績の有無
  B:有り  
・水防活動回数[累計]
  A:10回以上 B:9〜5回 C:5回未満


○災害発生の危険度
・改修目標流量に対する現況流下能力の割合
  A:0.2以下 B:0.21〜0.49 C:0.5以上
・現況の治水安全度
  A:30年未満 B:30〜50年未満 C:50年以上(直轄河川:安全に流せる洪水規模の生起確率)
  A:5年未満 B:5〜10年未満 C:10年以上(補助河川川:安全に流せる洪水規模の生起確率)
  A:30mm/h未満 B:30〜50mm/h未満 C:50mm/h以上(補助河川:安全に流せる降雨量)
・災害危険区域等の指定の有無(洪水氾濫によるもの。急傾斜地・土砂災害は除く。)
  B:有り  
・高齢化率(代表市町村の65歳以上の人口構成比)
  A:40%以下 B:40〜30%以上 C:30〜20%以上
・構造物の老朽化の度合(経過年数:河川構造物改築事業のうち河川管理施設に限る)
  A:40年以上 B:30年以上40年未満 C:20年以上30年未満

○水系上の重要度
・上流改修区域における想定氾濫区域内の浸水戸数
  A:1000戸以上 B:999 〜100戸 C:100戸未満

○地域開発の程度(洪水・渇水の要因となる)
・想定氾濫区域内で開発予定のある宅地面積
  A:10 ha以上 B:9〜5 ha C:5 ha未満
・流域内の開発予定面積
  A:100 ha以上 B:99〜50 ha C:50 ha未満

○治水に対する情報提供の状況
・ハザードマップの整備・公表の有無
  B:有り  

 上記の評価項目について、「A=3」「B=2」「C=1」と評点付けを行い、総合点を算出した上で、費用対効果分析結果等と合わせ新規採択を総合的に判断

*1: 孤立戸数とは、当該家屋は浸水していないものの、主要道路や鉄道施設が浸水し、(車両等によって)高度医療機関や水防機関等への緊急の輸送等ができない状態が3時間以上継続した家屋の数。


ii) 消流雪用水導入事業の優先度に係る評価の考え方【試行版】

下記の通り区分を設け、各項目ごとにA〜Cの評価を行う。

○災害発生時の影響
  対象地域内について
・想定積雪深
  A:3.0m以上 B:2.0m以上3.0m未満 C:1.0m以上2.0m未満
・想定累加積雪量
  A:10.0m以上 B:5.0m以上10.0m未満 C:1.0m以上5.0m未満
・市街地の機能回復に要する時間
  A:72時間以上 B:48時間以上72時間未満 C:24時間以上48時間未満
・重要な公共施設等の有無
  A:5施設以上 B:4〜3施設 C:3施設未満
□主要道路、□鉄道、□上水施設(浄水場等)、□電話(中継所)、□電気(変電所)、□市役所等、□警察署、□消防署、□保健所,□学校、□その他公共施設
・災害弱者関連施設の有無
  B:有り □身障者施設、□老人ホーム、□幼稚園、□病院、□その他施設

○過去の災害実績
  過去10箇年の実績被害を対象として
・雪害の頻度(交通麻痺等の被害発生頻度)
  A:4回以上 B:3〜2回 C:2回未満
・最大積雪深
  A:3.0m以上 B:2.0m以上3.0m未満 C:1.0m以上2.0m未満
・最大累加積雪量
  A:10.0m以上 B:5.0m以上10.0m未満 C:1.0m以上5.0m未満
・市街地の機能回復に要した時間
  A:72時間以上 B:48時間以上72時間未満 C:24時間以上48時間未満
・人的雪害(転倒、転落、交通事故等の死傷者数)
  A:100人以上 B:99〜50人 C:50人未満

○災害発生の危険度
・内水被害実績の有無
  B:有り  
・冬季における過去10ヶ年間の最大地盤沈下量
  A:100mm以上 B:50〜99mm C:10〜49mm
・高齢化率(代表市町村の65歳以上の人口構成比)
  A:40%以下 B:40〜30%以上 C:30〜20%以上

○対象地域の状況
・市街化区域の有無
  B:有り  
・人口密度
  A:120人/ha以上 B:80〜119人/ha C:40〜799人/ha

 上記の評価項目について、「A=3」「B=2」「C=1」と評点付けを行い、総合点を算出した上で、費用対効果分析結果等と合わせ新規採択を総合的に判断


iii) 河川環境整備事業(水環境整備事業、河川浄化事業)の優先度にかかる評価の考え方【試行版】

下記の通り区分を設け、各項目毎にA〜Cの評価を行う。

○河川環境等の状況
(河川環境)
・水質汚濁の状況 [(ア),(イ)のいずれかで評価]
 (ア)BOD(COD) B:有り  
   A:BOD75%(COD75%)値が10(8)mg/l以上
   B:BOD(COD)の年最大値が10(8)mg/l以上
   C:BOD75%(COD75%)値が環境基準を超えている
 (イ)全窒素、全リン
   A:年平均値で1mg/l以上(全窒素)、0.1mg/l以上(全リン)
   B:年最大値で1mg/l以上(全窒素)、0.1mg/l以上(全リン)
   C:年平均値で環境基準値を超えている
・河川流量の状況(水環境整備事業のみ)
  A:平常時に流水なし B:渇水時に流水なし C:流水はあるが正常流量を満たさない
・河川及び周辺の生態系の状況
  B:希少種等が存在している  
(開発規制等)
  B:国が定める自然公園地域、自然環境保全地域等の区域内
  C:都道府県が定める自然公園地域、自然環境保全地域等の区域内
(障害の発生状況等)
・上水の取水障害の影響人口
  A:5万人以上 B:1万人以上5万人未満 C:1万人未満
・過去5年間の障害の発生状況、障害の発生頻度[過去5年間の延べ実績]
  A:上水道に異臭味被害等が発生している。
  B:その他障害が2項目以上発生している。
  C:その他障害が1項目発生している。
□上水取水障害、□利水障害(上水以外)、□アオコの発生、□水浴場閉鎖、□悪臭、□その他
  A:10回以上 B:5回以上10回未満 C:4回以下

○河川及び周辺の利用状況
・現在及び事業実施後に想定される利用形態、利用者数[年間延べ人数]
  A:3項目以上該当 B:2項目該当 C:1項目該当
□散策等健康増進の場、□歴史・伝統的行事、□イベント、□水浴場、□動植物等の観察地、□ カヌー・ボート等レクリエーション、□その他
  A:5万人以上 B:1万人以上5万人未満 C:1万人未満

○地域開発の状況等
・汚濁負荷の流入増となる河川周辺の地域開発計画
  A:地域開発が現在実施中 B:2年以内に具体化 C:具体化は3年以上先
・河川周辺の市街化の状況等
  A:3項目該当 B:2項目該当 C:1項目該当
□DID、□用途地域のうち、主に住居や商業の用に供する地域、□市街化区域内

 上記の評価項目について、「A=3」「B=2」「C=1」と評点付けを行い、総合点を算出した上で、費用対効果分析結果等と合わせ新規採択を総合的に判断


iv) 河川環境整備事業(河道整備事業)の優先度にかかる評価の考え方【試行版】

下記の通り区分を設け、各項目毎にA〜Cの評価を行う。

○河川環境等の状況
・植生等の河川環境の状況
  B:植生が殆どないなど河川環境が極めて劣悪
  C:周辺環境と比較して植生状況などの河川環境が劣悪
・史跡、名勝、文化財 等
  B:国等に指定されている史跡、名勝、文化財がある
  C:地域のシンボルとなっている史跡、名勝、文化財がある
・水辺への近づきやすさ
  B:水辺に近づけない
  C:河岸勾配がきつい等水辺に近づきにくい

○河川及び周辺の利用状況
・現在及び事業実施後に想定される利用形態、利用者数[年間延べ人数]
  A:3項目以上該当 B:2項目該当 C:1項目該当
□散策等健康増進の場、□歴史・伝統的行事、□イベント、□水浴場、□野生動植物の観察地、□ カヌー・ボート等レクリエーション、 □地域防災計画上の避難場所、□その他
  A:5万人以上 B:1万人以上5万人未満 C:1万人未満  

○地域開発の状況等
・関連する地域開発、他事業との連携等
  A:3項目以上該当 B:2項目該当 C:1項目該当
□国家的プロジェクトに関連、□河川法以外の法律に基づく計画に位置づけられている、□河川事業以外の他事業と連携、□民間活力の導入

 上記の評価項目について、「A=3」「B=2」「C=1」と評点付けを行い、総合点を算出した上で、費用対効果分析結果等と合わせ新規採択を総合的に判断


v) 河川環境整備事業(河川利用推進事業)の優先度に係る評価の考え方【試行版】
下記のとおり区分を設け、各項目ごとにA〜Cの評価を行う。

○不法係留の状況
  A:不法係留船を原因とする著しい問題(洪水流下の阻害等)が生じている。
  B:不法係留船を原因とする問題(景観悪化等)が生じている。

○不法係留船に関する条例の制定状況
  A:条例が制定されている。
  B:条例の制定が確実である。

○不法係留船対策に係る計画の策定状況等
  A:河川水面の利用調整に関する協議会等により不法係留船対策に係る計画が策定されている。
  B:河川水面の利用調整に関する協議会等により不法係留船対策に係る計画の検討が進んでいる。
  C:河川水面の利用調整に関する協議会等の設置が確実である。

○重点的撤去区域の設定状況
  A:重点的撤去区域が設定されている。
  B:河川マリーナ供用開始時に重点的撤去区域を設定する予定である。
  C:重点的撤去区域の設定について具体的検討が進んでいる。

○河川マリーナの管理・運営に係る第三セクター等の設立状況
  A:既に設立されている。
  B:設立が確実である。

 上記の評価項目について、「A=3」「B=2」「C=1」と評点付けを行い、総合点を算出した上で、費用対効果分析結果等と合わせ新規採択を総合的に判断