II.道路政策の課題 (1)道路の役割の再確認
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道路は自動車や歩行者、自転車等の基本的な通行機能をはじめ、沿道施設への出入り、自動車や歩行者の滞留等の交通機能の他に、市街地の形成、防災、環境、収容空間等の空間機能を持っている。 前回の建議では、交通基盤としての道路の重要性とともに、国民生活や経済活動等あらゆる社会活動と深い関わりを持つ「社会空間」としての役割が重要であると指摘した。 また、「新時代の“道の姿”を求めて−21世紀に向けた新たな道路構造のあり方」においては、渋滞の緩和や物流の高度化などのモビリティ確保をはじめ、高齢者や障害者への配慮、良好な生活環境の創造などに対応して、道路構造の視点から新しい機能を明らかにした。 |
道路は国土、地域、都市を支えるとともに、土地利用を誘導する総合的なインフラである。このため、道路は国土計画、都市計画等の下で、国土、地域、都市の各々のレベルにおける機能を総合的に勘案し、関連する土地利用との整合性の確保や様々な国土基盤、都市基盤との緊密な連携を確保しつつ、整備、管理されることが必要である。 特に本格的な高齢社会を迎えて、また阪神・淡路大震災などの大災害を契機に、生活や国土・地域の安全、安心の確保に対する国民の要請が高まっており、国民生活や経済活動の安全を保障するという側面からも道路の役割が増大している。また道路を地域、都市の重要な構成要素としてとらえ、身近な公共空間の豊かさやゆとりの確保、景観への配慮など、人の視点にたった整備が重要になってきている。
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2)効率的な交通体系を支える道路の役割 |
自動車交通、鉄道、内航海運、航空等の交通機関は、受益者負担に基づいて、利用者の自由な選択と競争の下で運営されている。その結果、人流・物流それぞれについて都市内・都市間で各交通機関の特性に応じた役割分担がなされている。その中で道路は、自動車交通のためのインフラとしての役割以外に、どのような交通機関を利用しても必ず端末において必要となるものであり、様々な交通機関を支え、総合的な体系へと統合化する基盤としての役割を担っている。
我が国の交通体系にとって重要なことは、複数の交通機関を組み合わせた輸送が効率よく行われるよう相互の連携を確保・改善することであり、鉄道駅や港湾などの交通拠点との連絡道路や交通結節点の整備などを推進する必要がある。 近年では、CO2抑制のための渋滞緩和や、世界的な大競争下における物流の効率化など、道路に求められる役割はさらに拡大しており、環境対策や省資源なども考慮した効率的な輸送に貢献するため、公共交通機関の利便性向上や利用促進を実現する道路政策が求められている。
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3)新しいライフスタイル実現の鍵となる分野への貢献 |
環境問題やエネルギー問題が地球規模の課題として顕在化しつつあり、環境保全と経済発展の両立が求められている。このため、環境保全やリサイクルなどの資源の有効活用も道路政策の重要な要素として位置づけるべきである。 また今後は、交通・情報通信ネットワークが、地域間の人・モノ・情報の交流、連携を促し、人々の生活や産業に活力を与える社会資本として、一層重要な役割を担うものと考えられる。特に、高度情報化は生活、産業等の新しい可能性を拓くための重要な要素であり、道路政策は高度情報通信社会の構築に貢献すべきである。
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