サービス目標3:(渋滞の緩和)
渋滞を緩和し、環境問題への対応と高コスト構造の是正を図るため、都市内交通の効率化を図る


1.現状と課題
(1)都市の生活や経済活動の根幹を支える都市内道路の渋滞は、環境悪化、経済効率の低
 下等の様々な都市問題を引き起こしているが、都市内の道路整備は、時間的、コスト的、
 土地利用的に大きな制約があることから、交通需要の転換策と調整・抑制策を組み合わせ
 て実施しなければ、渋滞解消は困難な状況にある。
(2)また、休日交通が卓越する大都市周辺の放射路線や観光地周辺の道路についても著し
 いピーク交通による渋滞が発生している。
(3)物流に係るエネルギーの約6割が消費されている都市内物流は、交通負荷の増大、騒
 音問題やCO2問題の原因ともなっており、その効率化が課題となっている。

2.施策の方向
(1)基本的方向
1)都市圏交通円滑化総合計画の推進
  都市の生活や経済活動の根幹を支える都市内道路の渋滞を緩和するため、道路整備によ
 る対策に加えて、交通需要そのものの転換、調整・抑制を行うマルチモーダル施策(注
7)、TDM施策を本格的に導入する。これらの施策を、都市圏の規模、交通特性等に応
 じ、効果を定量的に評価した上で総合的に実施する「都市圏交通円滑化総合計画」を関係
 機関、自治体、企業、市民等と共同で策定し計画を推進する。計画の実施に当たっては効
 果測定を行い、計画の見直しを行う評価システムを導入する。また、TDM施策を推進す
 る民間組織(TMA:交通需要マネジメント協会)の設立、運営に対して支援を行う。
2)新たな渋滞対策プログラムの策定
  新たな「渋滞対策プログラム」を公安委員会等の関係機関と共同で策定し、交差点改良
 等の対策を緊急かつ重点的に実施する。
  平日に慢性的に渋滞する箇所に加え、休日交通、観光交通によって渋滞する箇所に関し
 て、緊急性の高い主要渋滞ポイントについては、新たな渋滞対策プログラムに基づいて、
 道路整備等の対策を重点的に実施する。
  また、既存道路ストックの有効活用の観点から路上工事の集中実施や違法路上駐車の徹
 底的な取り締まりによる交通の円滑化を公安委員会と協力して推進する。
3)都市内物流対策の推進
  都市内物流は、商流・物流一体の慣行や、運営組織の確立の困難性等から混雑の原
 因となっており、中小企業の集配送の共同化など民間の取り組みの支援により効率化を推
 進する。

(2)具体的施策
1)大都市の渋滞緩和
  大都市圏においては、都心部や都市高速道路において慢性的渋滞が発生しているととも
 に、周辺部では朝夕のピーク交通による著しい渋滞が発生している。このため、渋滞緩和
 に効果の高い環状道路等を重点整備するとともに、連続立体交差事業等を推進する。
  TDM施策としては、フレックスタイム(注20)などのピークカット施策やパークアン
 ドライド等の推進に加え、流入規制やロードプライシング(注14)の導入も課題であり、
 施策の合理性、利用者の受容性を十分勘案しつつ検討を行う。
  また、交通の転換策としてマルチモーダル施策(注7)の一環として都市周辺部の新交
 通システム等の公共交通機関の整備支援、駅前広場等の交通結節点整備、バスの利用促進
 策等を推進する。
  路上工事の縮減策としては、抜本対策としての共同溝整備及び集中工事の実施、非開削
 工法等による工事縮減を推進する。
  路上駐車対策としては、幹線道路における駐車禁止規制と厳格な取り締まり策である
 レッドルート規制の導入について公安委員会と協力して検討するとともに、受け皿となる
 路外駐車場の整備を推進する。
  さらに、幹線道路の交通に影響を及ぼす大規模開発においては、交通アセスメントを導
 入し、開発が道路交通に与える影響に対して予防的対策を講じる。
  また、VICS(注9)による渋滞情報、駐車場情報などのリアルタイムな道路交通情報の提供
 により渋滞緩和を図る。
2)中枢・中核都市の渋滞緩和
  地方の中枢・中核都市においては、自動車交通の分担率が比較的高いことから、朝夕の
 通勤通学時に渋滞が発生している。
  道路整備としては、渋滞緩和に効果の高いバイパス・環状道路の整備、鉄道の連続立体
 交差事業等を推進する。
  交通需要の抑制策としてTDM施策を大都市と同様に実施する。
  マルチモーダル施策(注7)の一環として新交通システム、路面電車等の公共交通機関
 の整備支援、駅前広場等の交通結節点整備、バス路線における道路整備、バスベイ整備等
 を推進する。
  路上工事の縮減、交通アセスメントの導入、リアルタイムな道路交通情報の提供を大都
 市と同様に実施する。
3)地方都市の交通円滑化
  地方都市においては、公共交通サービスが不十分であることから、自動車交通への依存
 度が高い。一方、幹線道路の整備の遅れにより円滑な交通が阻害されている。道路整備と
 して、バイパス・環状道路に加え、都市の骨格を形成する幹線道路の整備を推進する。
  また、マルチモーダル施策(注7)の一環として、バスの利用促進を図るためバス路線
 の道路整備、バスベイ整備、及びバス停留所における駐輪場整備等を進める。

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