サービス目標5:(交通安全の確保) 高齢社会において、誰もが安心して暮らせる生活環境を実現するため、安全で良好なバリアフリーの歩行環境・運転環境を確保する
|
1.現状と課題 (1)近年の交通事故死者数は1万人レベルで推移し、交通安全を取り巻く環境は極めて 厳しい状況となっている。 1)死者数で見ると、英・米の約1.5〜2倍の事故率であり、緊急に改善を図っていく必要が ある。 2)他の先進諸国に比較して高い歩行者、自転車の死亡事故、今後増加することが懸念され る高齢者事故など、 事故の状況を踏まえた上で、効率的・効果的に事故削減を図ることが課題となっている。 (2)21世紀初頭に向けて高齢者人口が大幅に増加するなかで、社会全体がともに生き、 ともに支えあうシステムを強化する方向で、社会保障、雇用、住宅・社会資本整備等に関 する枠組みを再構築していく必要がある。生活行動のなかでも、移動はあらゆる生活行動 に伴い発生し、また、就労、余暇を支える要素であるので、その障壁を取り除くことが重 要な課題となっている。 2.施策の方向 (1)基本的方向 1)幹線道路の安全確保は、事故データをはじめとする統計データを活用し、事故削減 効果の高い箇所から重点的に取り組む。 2)市街地の安全確保の基本は、車と歩行者、自転車が共存できる空間を面として確保 することであり、歩行者等を中心に据えた空間づくりを推進する。 3)歩行環境については、利用度の高い箇所におけるネットワークを関連施策と連携を 図りつつ、地域の参加のもとに構築する。運転環境は、運転時の判断・操作や疲労による 負荷の軽減や外出へのアクセシビリティを高める観点から、案内標識、駐車や休憩といっ た課題に取り組む。これらの基本方向に沿った良好な歩行、運転環境の確保により、誰も が社会参加できる環境づくりを目指す。 4)事故を未然に防ぎ、安全な交通の確保を図るために、最先端の情報通信技術を活用 してドライバーの安全運転等を支援する技術の研究開発、実用化を推進する。 (2)具体的施策 1)安全対策 1.幹線道路においては、事故データや交通量データなどに基づく統計的手法により、 重点的に対策を講じる事故多発区間を抽出し、歩道整備や交差点改良などハードの施策と 信号運用の見直しや交通規制の実施などソフトの施策を一体的に推進する。分析の結果 、沿道出入り等の改善を要するものについては、官民が連携して対策を講じる。 2.市街地で、歩行者等を中心に据えた空間を面として確保するため、既存ストックを有効 活用しつつ、歩行空間を再構築する。住居系地区内等において歩車共存道路化等によるコ ミュニティ・ゾーン(注10)の形成を図るとともに、近隣住区内の幹線道路やバイパス等 の整備に連動して役割が変化した道路について、歩車道バランスの見直しを行う。 3.多発事故類型である正面衝突事故、交差点出会い頭事故等について、対策の評価をおこ ない、その体系化を通じて、状況にあった効果的・効率的な施策を重点的に推進する。 4.踏切事故を防止するため、交通量、踏切遮断時間を勘案のうえ、立体化等の事業を効率 的に実施する。 5.事故率の高い都市においては、これらの施策を特に重点的に推進する。 6.前方の危険警告や衝突の自動的な回避などを図るAHS(注19)(自動運転道路システム) について、安全走行支援技術の早期実用化を図る。 7.より有効で適切な事故防止策を講じていくため、大学、民間研究機関と行政機関が連携 して、人間工学を含む幅広い観点からの研究を推進する。 2)歩行環境の充実 1.市街地の駅や商店街、病院周辺など利用度の高い箇所において、幅の広い歩道の整備や 段差・勾配・傾斜の改善、電線類地中化等による空間の確保を行うことにより、バリアフ リーの基本ネットワークを構築する。 2.高齢社会における新たなモビリティとしての電動三輪車等の普及や歩行者と自転車の分 離を視野に入れ、歩行空間の整備を進める。 3.利用者への連続性が保たれるよう駅構内や病院等公共的施設のバリアフリー化やノンス テップ・バス(注22)の導入といった関連する施策との連携を図り、交通結節点等にお いて整備を推進する。 4.様々な利用者の視点に立って歩行空間が整備され、利用されるよう歩行空間づくりに住 民参加システムを導入する。 5.整備が低コストで進むよう沿道敷地の活用や建物の立体的活用により歩行空間等の創出 を図る。 6.目的地へ的確かつ安心して移動できるよう歩行者案内標識や経路誘導情報の提供等支援 システムを構築する。 3)運転環境の充実 1.道路案内標識について、表示内容のチェックや、課題の抽出・ニーズの把握・改善計画 の作成・整備の実施と評価の一連の各作業が効率的に実施できるシステムを整備する。 2.市街地の交通結節点等において駐車場整備、案内システムの整備を推進する。 3.観光地等余暇利用の多い幹線道路沿線において、休憩施設の整備を推進する。 4.都市内における駐車場の満空案内や工事情報等地域の情報提供の充実を図る。 | |
| |||
![]() サービス目標コンテンツへ |
![]() 戻る |