サービス目標7:(環境の保全・向上)
持続可能な発展と質の高い社会の実現を図るため、地球・自然環境の保全・回復や沿道環境の保全・向上に努める


1.現状と課題

(1)地球温暖化など地球規模の環境悪化が一層深刻な問題となることが予想され、持続可
 能な発展を実現するためにはこれまで以上に環境を保全する努力が必要である。このた
 め、自動車交通の円滑化を図るとともに、環境に配慮した適切なライフスタイルを選択し
 ていくことなどが必要になっている。
(2)大都市圏では依然として大気汚染や騒音などの深刻な環境状況が続いている。こうし
 た沿道環境の向上を図るためには、基盤整備に加え、沿道環境と調和したまちづくりを行
 うなど、総合的な取り組みが必要である。
(3)自然環境や、生物多様性の保全を図ることが必要である。このため、道路整備に際し
 ても、自然環境への影響を極力少なくするように最大限の努力を注がなければならない。
(4)まちづくりにおいても地域特性を活用した美しさやゆとりのある環境の整備が求めら
 れており、このため、地域固有の自然、歴史・文化等に配慮した社会資本の整備が重要で
 ある。

2.施策の方向

(1)基本的方向
1)積極的に環境保全・向上を進める施策への転換
  渋滞緩和、時間短縮、安全性の向上などの道路整備効果や建設工事費などの経済性
 に環境の効果と費用を加え、積極的に環境保全・向上を進める道路施策へ転換することが
 必要である。例えば、早期段階で十分調査し、当該道路整備を行わないことも選択肢に含
 めて検討する。
2)地域社会や国民と連携をとった環境施策へ転換
  厳しい環境の現状を解決していくためには、排ガス対策、騒音対策、二酸化炭素排
 出抑制等を、国、地方公共団体、関係機関、地域社会、道路利用者、自動車メーカー等の
 それぞれが努力し、また、連携して効率的に取り組むことが必要であり、そのような取り
 組みを支援していく道路施策への転換が必要である。
  さらに、国民が省エネルギー型のライフスタイルや環境と調和のとれたライフスタイル
 を選択できるように、様々な環境情報を提供していくことが必要である。

(2)具体的施策
1)自然環境の保全・回復
1.生態系やそれを支える森林、水辺空間などの自然環境を保全するための基本的な指針を
 策定する。
2.緑化のされていない既存法面について再緑化を進めるなど、道路の法面の緑化を効率的
 に進める。
3.道路の空間を活用し、公園・河川とビオトープネットワーク(注24)づくりを進める。
4.バイパス整備後の廃道などについては、植栽などにより自然を回復するほか、ネイ
 チャートレイル(注25)としての活用を工夫する。
2)美しく親しみやすい社会文化環境の創出
1.景観に配慮した計画・設計・施工・管理が行われるような取り組みを促進する。
2.地区計画の制度を活用し、道路整備と併せ、街並みや沿道景観の整備を行う。
3.広幅員歩道や地域にふさわしい並木づくりなど風格ある道路の整備を行う。
4.賑わいのある界隈や安らぎをもった路地の復活など、沿道の生活と適合した道づくりを
進める。
3)二酸化炭素排出を抑制するなど地球環境への負荷の低減
1.電気自動車などの省エネルギー車の普及促進を図るため、駐車場の優先利用や経済的手
 法などによる支援措置を検討する。
2.環状道路などの道路網整備や交差点改良などにより交通の円滑化を進める。
3.路上工事による渋滞を削減するため、占用工事の共同施工や集中工事の実施、年度末等
 の工事抑制期間の設定などを進める
4.路上駐車による渋滞を削減するため、違法駐車の指導・取り締まりと連携した駐車場の
 整備を推進する。
5.大都市周辺や地方都市において公共交通機関の利用促進を図るため、駅、バスターミナ
 ル等への連絡道路や交通結節点の整備を推進する。また、バスレーンの設置や路面電車の整備
 を支援する。
6.環状道路などの道路網整備や公共交通機関の利用促進のための整備、交通の集中する拠
 点の分散や職住近接など都市のつくり方において「都市マネジメント」の考え方を導入す
 る。
7.経済的手法や、一定エリア内の流入規制、共同集配システムなどのTDM施策を都市の使
 い方における「都市マネジメント」として検討する。
8.歩きやすくバリアフリー化した歩道の整備やゆとりある広幅員歩道の整備、走りやすい
 自転車道のネットワークづくりなどを推進する。
9.二酸化炭素固定化のため、高木と低木を組み合わせるなど、質の高い植樹・植栽を進め
 る。また、二酸化炭素を十分固定した木材を転落防止柵、防雪柵等の道路施設において積
 極的に活用する。
10.建設・維持管理に伴って発生する土砂、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート
 塊、剪定材・間伐材等を、原則として道路区域内でリサイクルするとともに他分野で発生
 する副産物や廃棄物を積極的に活用するなど、資源循環型の道づくりを進める。 
4)良好な生活環境の確保
1.低騒音舗装、遮音壁、環境施設帯等の道路構造対策を推進する。
2.自動車メーカーで開発が進められている低公害車の普及促進を図るため、駐車場の
 優先利用や経済的手法などによる支援措置を検討する。
3.環状道路等の道路網整備や交差点改良などにより交通の円滑化を図る。
4.路上工事や路上駐車を削減させる等の渋滞対策を徹底する。
5.公共交通機関の利用促進や交通の集中する拠点の分散などを支援する道路整備を行う。
6.経済的手法や、一定エリア内の流入規制、共同集配システムなどのTDM施策を検討する。
7.沿道における非住居化を促進するとともに、建物の防音化措置を充実する。
8.沿道の環境にふさわしいまちづくりの誘導ができるよう、騒音や大気などの環境情報を
 広く公表する。

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