1.道路交通センサスとは

 道路交通センサスは、全国の道路と道路利用の実態を捉え、将来の道路整備の方向を明らかにするため、全国の道路状況、交通量、旅行速度、自動車運行の出発地・目的地、運行目的等を調査するもので、道路に関する国勢調査ともいうべきものです。


道路の計画立案のためには、道路及び道路利用の現況調査をはじめとし、各種の調査を実施する必要があります。このため、国土交通省では道路交通センサス(全国道路・街路交通情勢調査)などの各種調査を5年毎に実施しています。
 
道路交通センサスは、昭和3年度に道路改良会が実施した「全国交通調査」に端を発し、昭和55年度以降は概ね5年に1回(昭和55年度、60年度、平成2年度、6年度、11年度)の割合で実施しています。今回の調査は平成11年度以来6年ぶりの調査となります。
 
道路交通センサスの調査内容は、交通量・旅行速度などの実測を行う「一般交通量調査」、アンケート調査等により地域間の自動車の動きを把握する「自動車起終点調査」に大別されます。
 
「一般交通量調査」は、高速道路、一般国道、都道府県道、一部の指定市の一般市道を対象として、道路の幅員構成や整備状況を調査する「道路状況調査」と、自動車・二輪車・歩行者の交通量を観測する「交通量調査」、自動車で実走して速度を測定する「旅行速度調査」の3つの調査をします。 また、このうち「交通量調査」と「旅行速度調査」については、平日は全箇所を対象に1日ずつ調査を行いますが、休日は全箇所を対象とせず、休日交通量が卓越した区間を道路管理者が選定し、調査を実施します。
 
「自動車起終点調査」は、路上やフェリーで行き来する自動車の運転者の方にご協力をいただくアンケート調査(路側OD調査)と、自動車をお持ちの方の中から無作為に選定された方にご協力をいただくアンケート調査(オーナーインタビューOD調査)を実施します。路側OD調査については平日の1日、オーナーインタビューOD調査については平日・休日のそれぞれ1日を対象に車の使われ方(いつ・どこからどこへ、など)をアンケートで調査します。

※ODとは、Origin(起点・出発点)とDestination(終点・目的地)の略




2.道路交通センサスの調査内容

(1)一般交通量調査:道路状況調査、交通量調査、旅行速度調査
@ 道路状況調査
・車道や歩道の幅員やその幅員構成、交差点、バス停、歩道の設置状況等を把握する調査
A 交通量調査
・平日及び休日における自動車(4車種)、二輪車、歩行者の交通量を1時間毎に計測する調査
B 旅行速度調査
・朝または夕方のピーク時における実走行により区間の旅行速度を計測する調査

(2)自動車起終点調査:路側OD調査、オーナーインタビューOD調査
@ 路側OD調査:路上路側OD調査、フェリーOD調査
ア) 路上路側OD調査
一部の県境等を横切る道路で、自動車を道路脇に停車して頂き、聞き取り方式により出発地・目的地等の運行状況を把握する調査
イ) フェリーOD調査
フェリー乗船時に聞き取り方式により出発地・目的地等の運行状況を把握する調査
A オーナーインタビューOD調査
車の使用者や所有者に対して、車の1日の動き(利用目的、目的地、駐車場所等)についてアンケート方式で調査
自家用乗用車(個人使用車)について、世帯単位での保有状況・利用状況を調査
貨物車について、車の1日の動きに加えて、荷物の積載状況(品目、重量)を調査




3.平成17年度道路交通センサスの特徴

(1)実施時期
 過年度との整合を考慮し、平成17年度秋季に実施。但し、従来の全国統一日調査から、調査期間に幅を持たせた調査へ変更(→調査機器の使い回しや調査負担軽減が目的)

(2)一般交通量調査の効率化
@ 休日調査の調査地点数を削減
 休日調査は都道府県管理区間を中心に全区間を対象とせず、休日交通量が卓越した区間を道路管理者が選定し実施。
A 機械計測の導入
 コスト縮減、データ精度向上等の観点から、簡易トラフィックカウンターや公安委員会が保有する交通量のデータ、およびGPS機器を搭載した自動車により走行経路の位置情報を取得するプローブカーデータの活用など、機械計測の導入を実施。

(3)自動車起終点調査の効率化
@ 路側OD調査の休日調査を廃止
 休日路上路側OD調査で把握されるトリップのうち、4割強が通勤・通学や家事・買い物等の日常生活圏内の利用であり、オーナーインタビューOD調査で代替することとして廃止。
A コードンラインの見直し・廃止
 路上路側OD調査は、オーナーインタビューOD調査では充分把握しきれない長距離トリップを捉えることが目的であり、本州内のコードンラインの距離的バランスを考え、コードンラインの位置を見直し・廃止。
B 路側OD調査の平日調査の調査地点数を削減
 平日路上路側OD調査のうち、交通量の少ない調査地点(平日交通量が概ね1,000台/24h未満)は調査対象から除外。
コードンラインとは、地域ブロックを超えるような比較的少数の自動車の動きを精度よく補足するために地方整備局際や都道府県際に設定した調査ライン




4.道路交通センサスに関する検討会

(1)検討会委員 (敬称略)
委員長石田 東生筑波大学教授
委 員根本 敏則一橋大学大学院教授
委 員原田 昇東京大学大学院教授
委 員兵藤 哲朗東京海洋大学助教授
(2)検討経緯
第1回 平成16年4月30日(金)
 ・ 設立趣旨、運営方針、検討内容、スケジュール等
 ・ 平成17年度道路交通センサス全体の実施方針(案) 他
第2回 平成16年6月25日(金)
 ・ 民間物流プローブの実態、衛星データの活用等
 ・ 調査項目削減に関する検討、新たな調査ニーズ等 他
第3回 平成16年9月29日(水)
 ・ 交通量調査における休日調査の合理化等
 ・ 将来OD表推計のためのゾーン体系見直し等 他
第4回 平成16年12月16日(木)
 ・ プローブ調査の積極的導入、既存調査の活用等
 ・ 路側OD調査の効率性向上、ETC車の交通特性の把握等 他
第5回 平成17年3月11日(金)
 ・ 幅を持たせた調査日の設定等
 ・ ETC車の交通特性の把握、調査票の体裁等 他




5.スケジュール

調査の種類調  査  日備  考
平  日休  日
交通量調査 9月〜11月9月〜11月平日・休日それぞれ1日
路側OD調査 10月19日(水)実施せず全国統一日
オーナーインタビューOD調査調査 9月〜11月9月〜11月平日・休日それぞれ1日




6.調査結果の活用例

(1)渋滞状況の把握
 道路交通センサスで明らかになったセンサス区間別の交通量データを利用した、渋滞3Dマップ(下図参照)の作成などにより、渋滞状況の把握に活用されます。
東京23区の渋滞3Dマップ
出典:国土交通省資料
(2)将来交通量推計
 道路交通センサスで明らかになった地域別車種別の自動車交通需要は、将来の交通需要推計(下図参照)を行う際の基礎資料として利用されます。
将来の交通需要推計
出典:「交通需要推計検討資料(平成14年11月)」(国土交通省 道路局)
(3)その他
 この他、道路計画の立案や環境影響評価などへの活用、NOxやSPM等の車種別排出原単位や排出量の算定等の基礎資料としても活用されます。



国土交通省トップページ
国土交通省トップページ
道路局トップページ
道路局トップページ