5.移送サービスの広域展開−福井県勝山市−
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ポイント
■従来より無償の移送サービスを市内で提供していたが、新たに導入した有償の移送サービスでは、市外への通院ニーズ等に対応し、市外への移送も行うこととした。
■無償移送サービスでは、タクシー事業者に運行を委託しており、限られた財源の中で利用の公平性を確保するため、長時間の利用を伴う市外へのサービスは対象外であったが、有償移送サービスでは、利用者が実費相当分を負担し、協力会員を活用することで、協議会の費用負担を抑えながら市外への移送サービスを提供している。
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(1)地域交通の状況と施策のねらい
(※地域概況については、2.参照のこと)
【無償移送サービス】
- 昭和63年チャリティによる車両の寄贈を受け、勝山市社会福祉協議会が開始したサービスであり、診療やリハビリ等のための通院、社会参加を目的とした使用に対し、提供されるものである。
- 運行はタクシー事業者に委託、利用希望者は3,000円の年会費を負担し、36枚のチケットの配布を受け、移送サービス利用毎に1枚のチケットで精算する方式となっている。
- 1台の車両で、多く利用者が平等に利用できるように、利用時間は概ね1時間を目安にサービスを提供している。したがって、運行範囲は市内に限っている。
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【有償移送サービス】
- 勝山市社会福祉協議会では、無償移送サービスの利用者から市外への移送サービス提供の希望があったこと、新たにリフト付きバスが寄贈されることとなったこと、福井県が住民参加型在宅福祉サービス助成を実施することによって、平成11年より市外への移送サービスを行うこととした。
- 移送サービスは、住民参加型在宅福祉サービス助成の適用を受けた『ふれあいサービス和美(なごみ)さん』のサービス内容の一つとして実施されている。ふれあいサービス和美さんは、利用会員(利用者)と協力会員(運転ボランティア)(利用・協力会員ともに入会金は1,000円)とを社会福祉協議会がコーディネートし、必要なサービスを低廉な料金で提供するものである。
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図2-7 ふれあいサービス和美さんのしくみ
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(2)実施内容
【無償移送サービス】
- 利用目的は、通院や社会参加に限定される。
- 利用方法は、一般のタクシーと同様、利用時にタクシー事業者に直接申し込む。
- タクシー事業者は利用者からの申し込みに対して、通常の車庫待ちの場合と同様に出庫
する。
| 運営主体 |
勝山市社会福祉協議会 |
運行主体/タクシー事業者 |
| 実施場所 |
勝山市内 |
| 導入時期 |
昭和63年 |
| 施策内容 |
車両/低床型バス1台 |
路線数・延長 − |
| 利用者数/954人(平成10年実績) |
料金/無料 |
| 導入時 |
初期費用 |
なし |
負担者 (補助制度) |
チャリティによる寄贈車両を利用 |
| 運営時 |
運営費用 |
115 万円(内訳:タクシー事業者への委託料) |
負担者 (補助制度) |
社会福祉協議会自主財源(共同募金配分金による) |
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【有償移送サービス】
- 利用希望者は、予め電話で申し込み予約し、社会福祉協議会は、利用会員からのサービス申し込みに対して、協力会員の派遣をコーディネートする。現在の協力会員数は約40名である。なお、協力会員は、勝山市外の者も対象となる。
| 運営主体 |
勝山市社会福祉協議会 |
運行主体/協力会員 |
| 実施場所 |
勝山市内および市外 |
| 導入時期 |
平成11年 |
| 施策内容 |
車両/低床型バス1台 |
路線数・延長 − |
| 利用者数/不明(導入直後のため) |
料金/600円/1h、ガソリン代 |
| 導入時 |
初期費用 |
なし |
負担者 (補助制度) |
寄贈車両を利用 |
| 運営時 |
運営費用 |
不明 |
負担者 (補助制度) |
県(住民参加型在宅福祉サービス助成) |
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(3)工夫した点・苦労した点
- 無償移送サービスでは、社会福祉協議会の自主財源のみでは限界となったために、年間36枚(3,000円)の利用枚数の制限を行っている。
- 有償サービスでは、運転手を拘束する時間当たり経費とガソリン代を利用者から徴収すること、ボランティアを活用することによって、協議会経費負担を抑えながら市外へのサービス提供が可能となった。
- 有償サービスは、利用者の事前申し込み、社会福祉協議会のコーディネート業務が生じるが、複数人からの依頼に対して乗合で移送サービスを行うことも可能である。
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(4)施策の実施効果
- 家族の通勤時間に合わせて送迎してもらい通院していた高齢者は、病院や自分の時間に合わせた行動ができるようになった。
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(5)今後の展望と課題
- 有償移送サービスは、利用会員に対し、3倍の協力会員が必要とされているが、現状では両者がほぼ同数であることから、協力会員の確保は今後とも課題となる。
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