7.町づくりと連携したタウンモビリティ−石川県輪島市−

ポイント
■石川県のバリアフリー施策と並行して、輪島市が電動スクーターなどの試乗実験を行うなど、タウンモビリティへの取り組みを進めた結果、商店街が電動スクーターを購入し、常設による貸し出しサービスを開始した。
■電動スクーターについてみれば、受付窓口の未整備、広報の不足等によって一般の利 用はまだ少ないものの、今後開設されるバリアフリーステーションや街路事業等と合わせ、タウンモビリティを展開することとしている。
■バリアフリーステーションは、高齢者や身障者等が買い物などを楽しむ際の拠点となる施設であり、休憩場所やトイレの整備の他、能登一円の観光等情報提供、電動スクーター等のレンタル機能等をもつ施設である。
 

(1)地域交通の状況と施策のねらい

@地域概況
  • 石川県輪島市は、人口28,827人(平成10年)の能登半島最北端に位置する都市であり、金沢市から約120km、自動車で約2時間の距離にある。鉄道はのと鉄道によって穴水方面へ接続され、さらにJR七尾線利用によって金沢へ連絡しているとはいえ、本数が少なく金沢との連絡は長距離バスが有効な手段となっている。
  • 輪島市は、珠洲市、穴水町等2市4町1村よりなる広域市町村の中心都市であり、『輪島の朝市』は従来からの観光資源であり、過去には250万人を越す観光客が訪れていた。対象地域は、この朝市が開催される本町商店街の延長上にある「わいち商店街」であり、商工会議所青年部メンバーが中心となって、平成5年に振興組合を設立した新しい商店街である。
 
A導入の経緯
  • 石川県が平成9年を『バリアフリー元年』としてバリアフリー化に取り組んでいることを受け、輪島市もバリアフリー関連イベントを開催し、その中で電動スクーターの試乗実験を行ってきた。
  • 平成10年1月に開催された石川県主催の「バリアフリータウンフェスタ'98デザインコンペ」のコンペ受賞賞金を活用して電動スクーターを購入し、常設による貸出サービスを開始した。
【電動スクーターによるタウンモビリティ実験】
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(2)施策内容

  • わいち商店街のタウンモビリティへの取り組みは、電動スクーターの貸出サービスの他、バリアフリーステーションの建設(市事業)と賑わいの道づくり事業(建設省)の両事業によって推進されている。
●バリアフリーステーション
  • 輪島の朝市は現在でも130万人の観光入込があるものの減少基調にあり、高齢者や身障者も取り込んだ観光入込客増加のために、だれもが利用できる拠点が必要であるとの考えから、能登一円のインフォメーション機能の他、一般および身障者用トイレ、休憩施設、電動スクーターおよび車いすを設置した施設整備を図ることとした。建設費用は市の単独事業で約2,800万円であり、建設後の担当は福祉課、運営は当面わいち商店街振興組合とすることになっている。
  • 現在商店街に設置されている電動スクーターは1台のみであるが、今後同施設が整備された後には、商店街の購入(1台)と市からの寄贈(1台)をあわせ、3台で貸出サービスを行う予定としている。
 
●にぎわいの道づくり
  • 中心市街地の活性化を図ることを目的とする建設省事業「賑わいの道づくり事業」により、ポケットパークや公衆トイレの整備、路面修景等を図り、高齢者等が気軽で安全に利用できる道づくりと施設整備を推進することとしている。
 

(3)工夫した点・苦労した点

  • 電動スクーターの導入については、試乗実験の結果、建物入り口の段差の問題、スロープの曲率が小さく曲がりきれないという問題、商店内部の通路の幅の問題等が明らかとなり、タウンモビリティを展開する上で改善していく必要が認められた。
  • こうしたことから、街路整備やバリアフリーステーションの建設、またそれらを複合的に考えたにぎわいの道事業等を進める必要性が認識され、実験事業として終わることなく、継続的・発展的なタウンモビリティの取り組みへと展開させている。
 

(4)施策の実施効果

  • 「バリアフリータウンフェスタ・イン・輪島」(平成9年8月)をはじめとしたバリアフリー関連イベントにおける電動スクーター導入実験においてスクーターに試乗したことで、電動スクーターの移動性能の良さ等を認識した人が多い。
  • 電動スクーターの導入実験以降、これらを自分で購入して利用している人を市内で見かけるようになった。
 

(5)今後の展望と課題

  • バリアフリーステーションの運営については、商店街が主体となる予定であるが、電動スクーターの貸出方法、そのための人的配置など未定な部分がある。
  • 電動スクーターは1回の充電で4時間くらいは使用可能であるが、商店街等における充電設備の設置についても検討する必要がある。
  • レンタルポイントを輪島市内の他の商店街にも設置し、市内中心部各地で貸出・返却ができるようなしくみも今後検討すべきと考えられている。
  • 商店街の駐車場とバリアフリーステーションとは位置が離れているため、利用者が駐車場に車を駐車し、すぐ電動スクーターを借りることを想定すると駐車場に常駐者を置く必要が生じることから、その対応策についても検討する必要がある。
  • わいち商店街におけるタウンモビリティは観光客をターゲットと考えており、輪島市街地での滞在時間を延長できるような施策が必要とされている。


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