8.ショップモビリティの提供−英国・メイドンヘッド−
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ポイント
■英国では、都市中心部における歩行補助手段として、電動スクーターや車いすの貸し出しを行うショップモビリティが200ヶ所以上で導入されている。
■運営は、自治体、商店街、慈善団体等からの助成によって行われている場合が多い。
■都市中心部の道路・建物等を歩行者空間としてフラット化するとともに、ショップモビリティ施設に隣接して駐車場を確保したり、周辺地域からのアクセス手段として移送サービスを提供するなど、総合的な移動環境の整備が行われている。
■このようにアクセスに関する総合的な対策を推進するため、アクセスオフィサーと呼ばれる役職が自治体に置かれている。
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(1)ショップモビリティの概要
- 英国のショップモビリティは、都市中心部における移動困難者の歩行補助手段として、電動スクーターや車いすなどの移動用機器を事務所に備え、貸し出すシステムであり、1998年9月現在、英国全体では220ヶ所で実施されている。利用目的は買い物の他、銀行、病院等利用時も可能であり、必要に応じてボランティアのエスコートがつく。
- 英国政府の環境・交通・地方省では、以下の4条件を満たすものをショップモビリティ施設として認定し、ショップモビリティの存在を示す標識の使用を認めている。
- @施設が居住地・障害の程度に関係なく、移動に支障のある人に開放されている。
- A手動・電動両方の車いすとスクーターを用意している。
- B身障者の申請に基づき交付されるオレンジ・バッジ保有者以外も利用できる駐車場を施設の40m以内に用意する。
- C日曜・休日以外は通常の買物時間帯に1日4時間以上運営し、利用時間を広報する。
- 自治体、商店街、慈善団体からの助成を受けて運営される例が約7割を占めるが、(2)に示すメイドンヘッドのように、会員制事業として民間企業が運営するものもある。
- 利用者はすべて何らかの移動制約のある人だが、特に車いす利用等の「重度」に分類される者が65%を占める。年齢別にみると、約半数が61歳以上であるが、必ずしも高齢者ばかりが利用しているわけではない。
- ショップモビリティ施設までの交通アクセス手段は、自分もしくは介護者等の運転する自動車の利用が多数を占めている。
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表2-2 利用者の障害のタイプ(複数回答)
| 重度(車いす利用等) |
歩行障害 |
手足の伸縮・器用さ |
調整機能 |
視覚障害 |
その他 |
| 65% |
29% |
16% |
6% |
3% |
8% |
資料)The Automobile Association「SHOPMOBILITY」1999年
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表2-3 ショップモビリティへの交通手段(複数回答)
| 自分で運転 |
友人・介護者が運転 |
タクシー |
公共交通機関 |
ダイアル・ア・ライド |
その他 |
| 37% |
35% |
21% |
5% |
4% |
10% |
| 注) |
ダイアル・ア・ライドとは、公共交通機関を利用できない、または利用に制約がある人向けのバン型車両等を使用したドア・ツー・ドア型の輸送サービスで、地方公共団体の助成を受けてボランティア団体が運営している場合が多い。
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| 資料) | The Automobile Association「SHOPMOBILITY」1999年
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(2)英国・メイドンヘッドの事例
@地域概要
- メイドンヘッドの人口は7万人、都市圏全体では14万人で、ロンドンから鉄道で約25分の距離にある。
- 都市中心部は1976年から歩行者空間化されており、メインストリートは道路だけでなく、商店・銀行等の建物の出入口の段差解消、スロープ化等の周辺環境整備も併せて行われている。
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Aサービスの概要
- 自治体所有の駐車場ビルにタウンモビリティ事務所を設置し、電動スクーター12台、車いす10台で提供している。サービス時間は月曜日から土曜日の10時〜17時である。
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【ショップモビリティの利用風景】
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【駐車場に隣接するショップモビリティ】
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B他の移動手段や建築物との連携
- 自家用車を利用できない商店街来訪者に対しては、STS(移送サービス)として自治体所有のリフト付きワゴン車がドア・ツー・ドアサービスを提供している。また、バス利用者に対しては、バス停まで職員が迎えに来るサービスもある。
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C運営体制
- 非営利企業が運営し、スタッフはフルタイム1人、パートタイム2人、ボランティア4人、年間予算は約2,300万円(1999年)である。
- 会員制で運営し、会員数は486人(1999年2月現在)、年会費は約3,000円、年間貸出数は2,772(1998年度)である。会員1人が年間平均6回程度利用していることになる。
- 会費収入が年間百数十万円であるのに対し、年間予算は約2,300万円であるため、差額は自治体や商店街などが負担していると推測される。
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D行政当局等との連携
- 街全体として高齢者や身障者などが利用しやすい環境整備を総合的に進めていくため、「アクセス・オフィサー」という役職が地方自治体に設置されており、アクセスに関する調査・提案・協議、広報活動等を行っている。また、調整組織として、「アクセスフォーラム」(ユーザーとショップモビリティ運営主体から構成)、「アクセスパネル」(アクセスに関する諸問題についてのアイディアを吸い上げ、実行する)が設置されている。
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【資料・写真提供:財団法人国土開発技術研究センター(http://www.jice.or.jp/) 】
【参考文献:タウンモビリティ推進研究会「タウンモビリティと賑わいまちづくり〜高齢社会のバリアフリー・ショッピング」】
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