U.小都市と周辺地域を結ぶ交通施策の先進事例 |
1.広域連携によるバス運行−群馬県多野藤岡地域− |
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(1)地域交通の状況と施策のねらい@地域概況・群馬県多野藤岡地域は、群馬県南西部に位置し、藤岡市を中心市とし、新町、鬼石町、万場町、中里村、上野村の1市3町2村からなる、人口89,488人(平成10年)の地域である。藤岡市東側の新町はJR高崎線に接続しているが、藤岡市以西は、狭隘な谷筋に沿って4町村が連なる。 | ||||||||||||||||||||||||||
A導入の経緯 ・利用者の減少により平成9年11月をもって路線バスを廃止すべく事業者から申し入れがあったことを受け、関係6市町村による代替バス運行検討のための多野藤岡地域代替バス対策協議会を設立し、平成9年12月より協議会が運営主体となってバス運行を開始した。
(2)施策内容@交通サービスの概要・路線延長が長いことから、全区間を直通する急行バス(トイレ付)と、各市町村において通学時間に合わせた時間調整を行う普通バスが運行されている。
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A広域運行における費用負担のしくみ ・多野藤岡地域代替バス対策協議会は、運営主体として、事業者と運行契約を結ぶ。 ・運営赤字補助分の負担については、普通バスは6市町村の実車走行距離比例、急行バスは直接的な受益者となる上流3町村により分担している。また、バス車両購入費は、普通バスは運営費用と同様に実走行距離比例、急行バスは上野村の単独負担となっている。 | ||||||||||||||||||||||||||
表2-1 代替バス赤字補助市町村負担割合
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(3)工夫した点・苦労した点●事業者選定における工夫・従前の事業者にそのまま代替バス運行を委託せず、複数の事業者から委託先を選定した。 ●協議会による事業者管理の徹底 ・協議会による主体的な事業者の収支内容管理によって、収支明細の把握や本当に必要な経費の見極めができるようになった。 ●関連市町村の取り組み温度差の解消 ・平野部と山間部ではバス路線の必要性の認識に温度差があったため、各市町村費用負担割合等の決定に際して多大な調整努力を要する要因となった。
(4)施策の実施効果・交通手段を確保したことに止まらず、急行バスの導入により乗り継ぎ無しで奥多野地域と藤岡・新町を接続した結果、奥多野から藤岡市への通学が可能となった。・普通バスは、小中学生の通学時間にあったダイヤ設定により、スクールバスとしての機能を強化できた。 ・従前より運賃を平均15%値下げしたが、利用者の増加により運賃収入も増収となった。 ・収支明細の把握により、経費削減に対する提案等を行うことも可能となった。 ・経費の削減、利用者増加による増収等によって、従前より市町村負担が軽減された。
(5)今後の展望と課題・運行ルートや頻度等地域住民の意向にきめ細かく対応しながら、関係6市町村とバス事業者が協力して、利便性の高いバス運行に努めることとしている。・利用者を増やすために、鬼石町、万場町、上野村の商店で利用できる共通パスポートを検討している。 |