本書の概要

T.小都市と周辺地域を結ぶ交通施策の必要性

 まず、「小都市と周辺地域」の概念を整理した上で、高齢化の進展や自家用車の一層の普及等を踏まえ、交通サービスの充実と自家用車対策の両面から、高齢者等の移動機会の確保等を主眼とした小都市と周辺地域を結ぶ交通施策の必要性を述べています。また、検討の前提として、バス・タクシー等の交通サービスに関連する規制・制度の現状、需給調整規制の廃止や交通バリアフリー法制定等の動向について整理しています。

U.小都市と周辺地域を結ぶ交通施策の先進事例
 ここでは、小都市と周辺地域を結ぶ交通施策の先進事例を紹介しています。まず、交通サービスの提供に関する事例として、広域連携、住民参加、NPOの活用等に着目し、バス2事例、乗合タクシー1事例、移送サービス2事例の5事例を紹介しています。また、自家用車に関する事例として、開発中の高齢者向け自動車の実験事例、小都市地域内での事例として、電動スクーターによる歩行補助手段の提供をまちづくりと連携して進めている2事例(うち海外1事例)の計8事例を紹介しています。

V.高齢者等の交通ニーズ〜住民アンケート調査結果〜
 ここでは、岐阜県高山市を中心とする飛騨地域15市町村を対象として実施した住民アンケート調査の結果を紹介しています。調査対象は、高齢者・身障者に着目して抽出し、主な調査内容は、自動車運転免許の保有状況・自家用車運転の状況、近所の人の運転する自家用車への相乗りの状況、外出行動における外出頻度・移動手段・目的先、小都市(高山市)と周辺地域を結ぶ交通サービスの導入に関する利用意向・利用条件等です。

W.小都市と周辺地域を結ぶ交通施策
 先進事例や住民アンケート調査結果を踏まえ、小都市と周辺地域を結ぶ交通施策について提案しています。まず、移動手段(交通サービス利用/自家用車利用)、移動区間(小都市と周辺地域間の移動/小都市地域内の移動)の観点から分類した分野ごとに、交通施策の方向性と具体的な施策の提案を行っています。このうち、主要な施策については、導入のねらい、具体的な実施形態、実施時の留意点等についてやや詳しく述べています。また、交通施策の関連の深い各分野における地域づくりとの連携の方向性や、交通施策の実施に向けた推進体制と関係主体に求められる役割についても整理しています。

X.シンポジウム「中山間地域の高齢者等の交通を考える」開催報告
 本書の検討内容に関連して平成12年3月22日に東京にて開催されたシンポジウムにおける、有識者等によるパネルディスカッションの討論結果の概要を紹介しています。


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