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 第10回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会議事概要
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日時 : 平成18年11月20日(月) 16時00分〜18時00分
場所 : 国土交通省中央合同庁舎3号館11階特別会議室
出席者(敬称略): ※五十音順
〈委員〉
井出多加子、平井宜雄 
〈臨時委員〉
石澤卓志、伊藤和博、岩原紳作、櫻川昌哉、渋谷正雄、杉本茂、田村幸太郎、土田あつ子、濱口大輔 
                       
議事概要: (1) 「不動産投資顧問業の充実に向けて」について
(2) その他

配布資料【PDF形式】:
  第10回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会資料
  不動産投資の一任サービスを巡る論点メモ
  年金に対する不動産投資一任サービスのあり方について
  不動産の投資運用者に求められるスキル・広域班・情報開示等について

主な発言内容:

  1. 濱口委員意見
    1. 投資一任サービスの枠組みについて
      • 不動産信託の検査が厳しくなっており、一部では証券化業務が滞っているとも聞く。このような状況の下ではマーケットが実物不動産へ動いていく可能性があるため、実物不動産を含めた全体をカバーする仕組みが必要である。
      • 現在、年金基金の5、6割がヘッジファンドへ投資しているが、ヘッジファンドについては、5、6年前までは商品知識が少なく、組入れ効果が良く分からなかった。その後、業界がさまざまな資料を作成するなど、営業努力を重ね、年金側の情報不足を改善して商品が普及した。
      • 一部の中小年金基金は顧問業者についてよく分かっていないので信託銀行をコンサルタントとして活用したいと言っているが、業界全体の枠組みとして信託銀行に一任業者を限る必要はない。
    2. 年金の不動産投資について
      • 年金基金による投資が急激に増大し、市場が混乱するという心配については、年金基金には受託者責任があることもあって、行動がゆっくりしているから心配の必要性がない。
      • 外国投資家の中には、世界中で割安な物件をおさえようとするファンドもある。彼らの中には日本の物件はまだ割安であると評価している。東京の優良物件が年金基金を含めた海外の投資家に買われているように、これから日本の優良物件が海外の投資家に買い占められるおそれすらある。
    3. 不動産投資顧問業登録規程を活用することについて
      • 不動産の投資・運用に関する能力については、従来の実物不動産に関する物理的、技術的な内容についての能力から金融、各種事業性全般についての能力が重要性が高まっている。
      • プロの投資家に関しては、事業者能力のチェックは投資家に委ねられていいのではないか。むしろ、ディスクロージャーの担保を中心とすべきである。
      • 登録規程を基準として使う場合には、例えば宅建業の免許が本当に必要なのかどうかなど、金商法との関係をよく整理して議論すべきである。
    4. 利益相反行為防止の方策について
      • 利益相反については、例えば、スポンサーから供給することが一定のディールソース(deal source)になっているというように逆に投資家に有利になる可能性もある。画一的な規制はかえって投資家の投資機会を逸失につながりかねない。
      • リートはスポンサーから物件を取得するというように利益相反の塊であるが、一般投資家を対象とするリートでも市場の判断に委ねられている。したがって、プロの投資家についても市場に判断を委ねるべきではないか。年金基金がプロであるかアマであるか一律の線引きは難しいが、基本はディスクロージャーを中心に対応していくべきである。
      • 市場が健全な競争状態にあれば、その中で、利益相反のリスクは軽減していくはずである。
      • ただし、登録規程には、悪質な行為に対する法的対抗措置の根拠規定を入れてほしい。
  2. 巻島専務意見
    1. 不動産の投資運用者に求められるスキルについて
      • 不動産ファンド運営に求められる能力は大きく分けて以下の4つに分けられる。不動産取得の能力、PMの選定・監督の能力、ローンのための金融機関と関係を構築できる能力、出資を募るためのパートナーとの関係を構築できる能力である。それぞれの業者によって強みは異なってくる。金融系からの参入であればに強みがある。不動産会社系はに強みがある。このように様々に異なる強みを持つプレイヤーが参入できる制度を構築することが重要である 。
      • 米国では不動産会社系が少ないかもしれないが、利回りは他の系列の会社より高いとの評価も聞く。
      • 不動産は資本集約的な財であり、ロットが大きく、流動性が低いため、一度、投資をすると簡単に足抜けできない。したがって、不動産そのものの運用についての経験・能力が必要である。
    2. 金融機関系列会社の不動産投資顧問業への参入について
      • 証券会社・生命保険も不動産投資顧問業を行えるようにしていただきたい。
    3. 利益相反について
      • 不動産の場合は、AM・PM・リーシングなどの各種業務の垂直統合が重要である。このような統合力を持った者に資金を委ねたい投資家は存在する。単に利害関係者であるというだけで取引が禁止されたり、これらの業務が分断されるということがないようにしなければならない。
      • 不動産については、安定した投資商品となるまで業者が保有して、その後投資家へ販売するということが行われているが、自己やファンド間取引の禁止規定の画一的適用により、このようなビジネスモデルが否定されないようにして頂たい。
    4. 不動産投資顧問業登録規程について
      • 登録規程には、プロ投資家向けの規定が存在しないが、金商法の特例業務届出者のように、メリハリのある規定の整備を検討して頂きたい。
    5. 実物不動産への手当てについて
      • 実物不動産の集団投資スキームはTMKを除いて、倒産隔離スキームは存在しない。倒産隔離性を備えた実物不動産集団投資スキームの整備が必要である。
  3. 各委員意見まとめ表(論点ごと)
    1. 投資家(年金)の能力について
      • 一任サービスでは、一任する側の知識・能力が必要である。バブル時の投資信託の失敗は、法律はしっかりしていたが、購買者の株式市場に対する知識がない結果、適切な運用がされなかったことが原因であった。株式市場については15年かけて投資家が知識をつけた。不動産についても商品に対する知識が一任側にないといけない。
      • 外資が日本の不動産を買い越している点を捉えて、国の政策が左右され、国内業者育成に話をつなげるのは問題である。市場を長期的に整備することが必要である。
      • 証券投資信託が果たしてうまくいっているのか。購入者がどの程度チェックできているのか疑問である。年金基金が不動産投資のチェックできてはじめて一任サービスが可能となる。
      • 年金基金が全ての市場の状態を把握することはありえないことからアウトソーシング活用することが前提となっている。一任するのは、世界の年金基金の例を見ても同様であり、米国でも運用業者を選定することが基本的責任となっている。
      • 日本の不動産が割安なため、外国の投資家が日本に入ってくるから、国内の不動産投資顧問業者を育成するというのではなく、日本の投資家が外国の投資家と同じ土俵に立つことが重要だということである。いずれにせよ、国交省の政策が外国の投資家の動向によって左右されるということはないと思う。
    2. 不動産投資顧問業者の能力について
      • 世界的に海外不動産に対する情報のニーズが高まっているが、各種インデックスの評価基準が異なるため比較できないことがある。今後は、情報にアクセスする能力よりも情報を加工してベンチマークとして仕立て上げる能力が必要である。一般事業法人の投資家・外国人投資家・個人投資家など投資家が置かれている状況によってニーズは異なるため、それぞれのニーズに応じて情報提供する能力が求められる。
      • 不動産会社は、内部監査・内部統制が金融機関に比べてきちんとなされていない。各部門で統一的に強い内部統制をしないと投資家の信頼を失う可能性がある。
    3. 情報開示
      • リート運用会社が外部に委託した内容についても当局が精査するようになっている。これに対しては、委託した業務内容の適正さを判断する基準を作成し、その開示を徹底することで対応すべきである。
      • 資格の意義には、人材の育成という点もある。不動産への関心が低い現状を考えると、GIPS基準準拠の促進により詳細な情報を投資家に提供することは、関心を喚起する契機ともなる。
    4. その他
      • 金商法の成立によりSPC自身が運用業者となる場合には、特例業務届出者となるために適格機関投資家が少なくとも1人いないといけなくなり、不動産投資市場がシュリンクする可能性がある。その場合には、現物で事業を行えないかという議論が出てくる。
      • YKTKスキーム商品では、投資家が9名以内でないと源泉徴収がかかるが、年金基金の場合は、法人課税が非課税となっているため、還付請求ができなくなってしまうという問題がある。9名以内となると中小規模の年金基金は参加できなくなってしまう。
      • ネガティブ情報公開はどんどん進めてもらいたい。

        (注)議事録については、後日、ホームページ上で公開されます。

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