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第12回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会議事概要

 

 

 

 


 第12回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会議事概要
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日時 : 平成19年2月23日(金) 10時00分〜12時00分
場所 : 国土交通省中央合同庁舎3号館11階特別会議室
出席者(敬称略): ※五十音順
〈委員〉
岩沙弘道、金本良嗣、平井宜雄
〈臨時委員〉
石澤卓志、伊藤和博、岩原紳作、櫻川昌哉、杉本茂、田村幸太郎、土田あつ子、濱口大輔、福士正
                       
議事概要: (1) 投資家支援サービスのあり方・プロパティマネジメントのあり方について
(2) その他

配布資料【PDF形式】:
第12回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会論点メモ
第12回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会資料

主な発言内容:

1、投資家に有用な情報を集約したデータシステムについて
 (1)更に情報開示すべき項目に関する論点について

  • (@キャップレートの変遷について)最近、不動産の価格が上昇しているが、その要因として@収入の増加と、Aキャップレートの低下が考えられる。キャップレートの測定の仕方がリートによってバラバラであるため、@とAのどちらが大きく影響しているか分からない状態にある。したがって、キャップレートの変遷を把握して影響の度合いが分かるようにすべきである。
  • (ANOIの定義について)具体的には、NOI算出に必要な賃貸事業収支項目(維持管理費など)の定義がバラバラである。
    また、現在は修繕費やマネジメントフィーの内容もバラバラであるため、利回りの相 違が物件に起因するのか、マネジメントに起因するのか比較分析できないことから、 この点についても検討すべきである。
  • (BERの調査手法について)一昨年アスベストが問題となった際に、各リートが実地調査を行ったところ、ERの内容と異なる結果を出した。もともとERでは図面調査しかしていなかったものと思われる。したがって、図面調査をしたのか、実地調査をしたのか、さらには、実地でサンプル調査・破壊探査までやったのか、など調査手法のレベルについて開示する必要があるのではないか。
  • (C実質的売買の履歴について)最近は売買の売主がSPCであることが増えている。利益相反を判断しようとしても開示されている資料だけからは判断できなくなっている。したがって、実質的な売主を開示して、買主との関係など把握できるようにすべきである。
  • NOIやFFOの定義、計算根拠をある程度はっきりさせる必要がある。ただし、会計程度にはっきりさせるとかえって使いづらくなるため、業界の自主ルールで決める必要がある。米国のナリートでは、FFOペーパーを出している。
  • キャップレートの算出式・根拠の開示が重要である。

 (2)私募ファンドの情報開示に関する論点について
  • 私募ファンドの購入者には、例えば地銀などリートを購入する者が多いため、私募ファンドの開示内容についてもリートの開示内容が基本となってきている。また、今年は新BIS規制が導入されるため、この動向を踏まえて開示レベルについて検討していくことが必要である。
  • 私募ファンドといっても、適格機関投資家を対象として広く募集するような類型以外に、クラブディール的な類型もある。こちらの類型は、開示しなくてもいいため、私募ファンドを利用している。どちらの類型の話をしているのか分けて議論する必要がある。
  • 私募ファンドとリートとの間の取引が盛んになっているが、今回、ダヴィンチの行政処分があったことからも分かるように、リートと利害関係人の監視が必要である。しかし、監視の基盤となる情報開示の整備ができていない。例えば、不動産取引の適正価額には幅があるはずなのに、1円単位で鑑定価額が決まり、この評価額と同額で取引が行われるという不自然な状況にある。今後の不動産投資市場の発展のために、利益相反については現時点で根本的に手当てしないといけないと思われ、極端にいえば、「利益相反が明確な取引は禁止する」などの手当ても必要ではないか。
  • リートが物件を買う場合は、アセット価値と収益見積もり計算の開示があれば投資家にとって十分であり、利益相反であるかどうかは問題とはなりにくい。問題となるのは、関係者に売却する場面である。利益相反であるか否かの分析ができる情報が確保されているか問題となるが、公的機関が決めるのはうまくいかないため、市場プレーヤーに議論させる必要がある。行政はその仕掛けを行うことが必要である。
  • リートのように永続性のある法人は、資産価値を維持できるかが重要である。したがって、資産価値を維持できるかの見込みに関するデータを開示することが必要であり、逆に資産価値を維持できる物件を取引しているのであれば利益相反の可能性があっても投資家の利益には反しない。
  • 新BIS規制では、貸出ごとにリスクウェイトが変わる。BIS基準は自己資本÷貸出額であるが、分母の貸出額についてはファンドへの警戒感から100億の実際の貸出額が1250億の貸出と評価されると聞いている。不動産ファンドについてはケースバイケースと言っているが、運用者の側で情報開示を行い、リスクが高くないということを積極的に表していかないといけないのではないか。
  • 私募ファンドは投資家の属性によって扱いが異なってくる。プロ間の取引は当事者同士理解した上で取引を行っている。一方、不動産に詳しくない年金などでは、事情は異なる。ただし、匿名性を重視してあえて私募ファンドを利用しているから、仮にすべて開示しなくてはならないとされると成り立たなくなってしまう。Jリートは厳しい情報開示を行っており、過度にならないように情報開示を進める必要があるが、さらにどこまで必要か建設的な議論の余地はある。NOIについても、どこまで分析するか実務家の観点を交えて議論する必要がある。
  • 利益相反の問題はどのようにファイヤーウォールを立てるか、情報開示やアカウンタビリティを果たすかの話である。関係会社から物件を買うという外形にのみ着目して利益相反とすべきではない。
  • 不動産関連業は、他人のお金で不動産に投資する資産運用業と他人のお金を借りて行う不動産業に分かれるが資産運用業は厳しい透明性が求められる。Jリートは透明度が確保されているが、制度設計されていない資産運用業についてもあるべき姿があって良い。
  • 投資家が運用者を訴えた場合の疎明責任が投資家側にあるのか、運用者側にあるのかによって透明性の担保の仕方が異なる。日本では疎明責任が投資家側にあるから、それを踏まえて検討すべきである。

 (3)ERの作成に関する論点について
  • 最近、PML値を算出する調査会社がPML値の算出基準を改正したため、リート物件のPML値が一斉に下がったということがある。PML値はハードウェア専門の方でないと分からない専門領域で、ブラックボックスのようなところがある。物件を購入する際には個別の物件についてPML値を算出するが、その後はポートフォリオ全体でPML値を算出する。ポートフォリオ全体でPML値を出すと、物件の分散の度合いも反映されるため、分散の度合いがどれだけ影響しているか把握する必要がある。さらに、そもそもPML値の算出の方法が調査会社ごとに異なるため、一定程度の基準によってならす必要がある。
  • オリックスAMの処分の件については、オリックスAMは処分の対象となった容積率違反の状態はもともと認識していて目論見書等で開示を行っていた。したがって、開示の問題ではなく、そのまま放置していたことが問題とされたという経緯がある。したがって、ERで指摘された問題のある項目に対して、現在、どのような改善策をとっており、また、どのような形で改善がなされたかについても開示が求められるのではないか。

2、不動産投資インデックスの整備について
  • リートはグレードのばらつきが少ないことから、エリアの状況を知るにはリートのインデックスが有用であり、かつ、十分である。あえてリート以外の物件の情報を入れるとすると、物件の精緻なクラス分けが必要となり、むしろインデックスを作成することが困難ではないか。

3、プロパティマネジメントのあり方について
 (1)プロパティマネジメントの資質・能力向上に関する論点について
  • PMフィーは一時下がったが、現在は回復している。
  • AM業者がPM業を評価する際の項目について情報提供を求めて類型化する必要がある。
  • PM業には、不動産所有者であったもの、ビルメンテナンスをやっていたものなど様々な業種から参入している。それぞれの特徴を生かして売り込んで成長していっている。時間はかかるが、レベルは上がっている。

 (2)AM業・PM業における電子化・情報化の促進のための環境整備に関する論点
  • アットプロパティは20社以上のリートが用いているが、独自のシステムを使っているところもある。これはフォームの統一性がないからということもあるようである。したがって、電子化・情報化の促進のためにはフォームの統一化が必要ではないか。
  • プロパティデータバンク社のようなシステム提供者には、システム提供に止まらず、データの蓄積を一般に提供し、データベースに生かせないか。「電子化・情報化を促進」するのみならず、「その成果を不動産投資に生かす」という筋書が必要である。
  • システム提供者には守秘義務があるから、システム提供者にデータの提供を求めるのは難しい。AM業者などもともとのデータ提供主体に情報提供を求めるべきである。
  • システム開発は大変なスピードで進んでいる。世界中で有力なシステムの絞込みがM&Aなどで進んでいる。背景としては日本のお金で世界の不動産を買い、世界のお金で日本の不動産を買うというクロスオーバー化が進んでおり、システムの統一化が必要となっていることがある。日本でも数年以内にシステムの競争が絞り込まれるのではないか。
  • 金融商品取引法施行により、ますます資産運用業者の責任が重要になってくる。資産運用会社の新しいモデルを考えないといけない。現在、内部管理体制について全く基準がないが、不動産投資顧問業という切り口でモデルを作っていくことが必要である。

 (3)PM業の能力評価に関する論点
  • 市場競争の中で、AM業者自身の能力で選定していくことが基本であり、それができない部分についてはマーケットの実務家レベルで検討していくべきである。

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