メニューを飛ばしてコンテンツへ進む
サイト内検索

 国土審議会第2回調査改革部会議事概要
ラインBack to Home

 

  1. 日時
     平成15年9月1日(月) 12:00〜14:00 

  2. 場所
     三田共用会議所

  3. 出席委員(敬称略)
     中村(英)部会長、池谷、井上、大西、奥野、清原、小早川、齋藤、佐和、島田、生源寺、新宮、杉岡、須田、高木、高橋、田中、堤、寺澤、中井、中川、中村(徹)、早瀬、平野、森地、八島、矢田、山田、亘理

  4. 議事(概要)
     (1)開会
     (2)議事(1)「国土計画制度の改革」の検討状況について
      事務局より資料説明後、質疑応答。
     (3)議事(2)「国土の総合的点検」の検討状況について
      事務局より資料説明後、質疑応答。
     (4)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
    (1)議事(1)「国土計画制度の改革」の検討状況について
    (全国計画について)
    • 全国計画とブロック計画は国の計画で、都道府県と市町村の計画は自治体の計画である。全国計画でいかに指針性を重んずるかという話と、地方分権の流れのもとでどう地方自治体の意見を反映するかということについていろいろ委員会で議論がある。
    • 個性、自立、住民の意志等地方分権的にやったほうがいいことと、整合性、効率性の調整、国家戦略性といった話を、どこまで具体の項目として法律の中に書き込めるかというと難しい問題。今後たたき台をつくって議論したい。
    • 国の計画としての指針性と都道府県計画、市町村計画がもつ自治体の計画としての分権性の保障の兼ね合いに最大の問題があるとのことだが、自治体の仕事に臨むと、そこのところがまさに重要な制度上の内容だと思う。
    • 全国計画の役割がはっきりとわかるような形、フレームを作ると書いてあったが、どういうフレームで何を目的として全国計画が作られるのか。全国計画はフレームだけなのか、それとも他に何が加わるのか。特に、フレームとして、人口が重要だと思うのだが、外国人をどう受け入れていくのか、人口の予測をどのように考えるのか、そのときの社会をどう考えるのか。たとえば、人口減少が続くということであれば、社会資本なんて更新しなくていいということになるのではないかという気もする。ハードが必要なくなってくる社会になる可能性もある。その辺も含めて、どういうフレームでやっていったらいいか、全国計画で議論して、目標を定めるべき。

    (ブロック計画、協議会、圏域について)

    • ブロック計画については、もし道州制に相当する議会、行政主体があればそこで色がクリアーになり、そこで計画をたてればその中のゾーニング等は計画内容の問題として扱えるが、今のところ都道府県という単位で意思決定主体があるので、ブロック計画については可能な限り自治体の意見を反映するような格好で、しかも国としての戦略性をどう反映できるような制度設計ができるかということについて委員会で諸々の議論がある。
    • ブロック計画についても、これを法律、制度的に書くのは非常に困難であり、法律にする過程で苦労すると思う。
    • 広域ブロック計画を国がつくるのはもっともだが、原案をつくる地域の協議会はどんな性格でどんなものをイメージしているのか。明確に議論される必要がある。
    • 協議会を先に詰めたほうがいい。関係都道府県の協議という話と、関係都道府県の知事を含む協議ではだいぶ違う。経済団体連合会や学識経験者と知事が対等な形で(協議会に)入って案を作成するのか、都道府県の組織の調整でつくるのかで役割が違う。
    • 計画圏域をどう割るかについても難しい。道州制があれば、日本海と太平洋両方に面したほうがいいとか、これぐらい規模があったほうがいいとかいろいろな議論がでるが、そういうことではなくて、計画としてやっていこうとすると諸々の議論がでて、特に北陸についていろいろ委員会で議論がでている。
    • ブロック計画については、完全重複は問題かもしれないが、一部の県が複数のブロックに入ってもいいのではないか。県が主体性を持って考えるということであれば、そういったことを柔軟に考えてもいいのではないか。
    • 包含重複の解消という観点が書かれているが、北陸地方は、北陸地方開発促進法と中部圏整備法の2つの法律のもとに、ある意味で包含であり重複であるということになるが、北陸三県は一つのブロックとしていろいろな計画を作成しているので、ぜひ一つの独立したブロックとして考えて欲しい。
    • ブロック間の交流、連携については、それぞれのブロックごとに考えていくべき。

    (都道府県計画について)

    • 都道府県については、事務局原案では義務付けとなっているが、その可否についての意見が自治体のヒアリングで出ている。知事が変わるごとに変わる構想計画、違う法律に基づく計画とピリオディカルにどう整合させていくのかという具体的な問題がでてくる。義務付けて、なおかつブロック計画に意見を十分反映できるよう委員会で議論を進めている。

    (市町村計画について)

    • 市町村計画については、義務付けでなく、インセンティブを与えて、整合性がとれるような計画を作ってもらうというようなソフトな対応をしていくのがいいのではないか。都道府県とブロック、全国それぞれについて対流原理で意見を相互に言い合い、短い時間で回答できる制度を想定しているが、それを都道府県と市町村の間でもやるかについて、自治体の間から諸々の議論がある。
    • 市町村は土地利用計画をつくることができるが、細かい用途地域は都道府県に主体性があるので、市町村が国土計画に盛られているたとえば都市の再生といったビジョンを踏まえて市町村なりの土地利用計画をたてようとしても、都道府県計画の中での整合性の中で、実現できないし、今後もそうであるようである。国土計画で指針性を提示してもらって、それを市町村で実現しようとすると、土地利用においても主体的な計画をつくれる仕組みがないと、計画はつくれても、実現において支障があるという現状がある。
    • したがって、国土計画制度の改革の主眼は、全総と国土利用計画の体系の統合、つまりビジョンとしての国土計画と実際の土地利用計画と、整合性、一体性をもって、美しい国土づくりに向けてそれぞれの主体が実現するための制度改革にあるとするならば、これからの市町村計画のあり方について検討を深めて欲しい。
    • ブロック計画の下に、市町村で人口30万人のところで計画を練ってみたらという提案があったが、東京都だと区長会や市長会といったエリアの中で共通認識をもって頻繁に議論がなされるが、身近な自治体では、一部事務組合等で廃棄物等の問題があって一緒に運営している場合以外、自治の考え方が強いので、よほど共通の課題がないかぎり、なかなかいっしょにやることは難しい。国土計画の中で望ましい国土づくりのために連携すべきということであれば、インセンティブがなければ、日常の重要課題が先行するので難しいと思う。
    • 用途地域の確定の主体性を市町村がもつということも視野にいれて検討していただければ、実効性が担保される。
    • 当面の問題として、基礎的自治体である市町村を大事にしなければいけない。市町村が計画の基礎だと思うので、できるだけ多くの市町村が策定する方向へもっていくということを大事にすべき。
    • 市町村のところに書いてあったが、インセンティブを与えるという考えはいいアイデア。
    • インセンティブというが、どうやってインセンティブを与えるのか?経済的ベネフィットを与えるような仕組みをつくるのか?インセンティブについて、具体的にしてほしい。

    (その他)

    • 全体として法律の内部で規定することと、計画内容で規定することと、予算等関連制度で規定することと、いろいろなレベルがあるし、自治体の条例をどこまで活用するかといったことについても事務局で整理してもらう。
    • 今までは理念論をやってきたが、これから制度論、法律論に入ってくるので、胸突き八丁に達したと思っている。理念をどう法制に落とせるか。たとえば、開発計画と利用計画の統合、利用・開発・保全の統合ということに、理念的に誰も異論はないだろうが、法律的に考えると、開発計画というビジョン型と利用計画・保全計画という調整、規制型なものを統合するということで、理念をどう法律として落とせるか。
    • 一体化するというのは単なる目的ではなく、一体化して何をするかという法目的があるはず。一体化することを目的とする法律はないので苦労しそう。また、制度間の関係も大変。
    • 私達が理想論として言ったことが法律・制度としてみたときに、非常に厳しい形で事務局に落ちるのではないか。理念的に良くて、制度的に難しい問題をどうするか。
    • 構造をあまりリジッドにするのではなく、地方分権の中、おそらくソフトにつくっていくしかない。
    • 国、ブロック、都道府県、市町村の4段階より、3段階の方がいい。ブロック計画が大きな意味をもつことになると、都道府県計画はその焼き直しになって意味がない色あせたものになる。私が市町村を中心にといっていることは、今の市町村ということではなく、人口30万人を行政区域として考えていこうという議論もあるので、30万人を中心とした市町村なりブロックを作る。計画というのは同じようなまとまった地域を一つまとめてやるので、ブロックを作るということを徹底的に議論してもらい、30万の人口を持ったいくつかのブロックをつくる。国の計画、ブロック計画、30万人を念頭においた地域ブロックという三段階が一番いい。ただ、問題があるのは、ブロックには自治体がない。市町村をまとめる場合にも一つの自治体がない。参考になるのは、昭和19年から20年頃、地方行政協議会という制度が法律的にできたと聞いている。当時、国土が分断されるかもしれないということを念頭において、国の権限をブロックへ下げ、地方各県の権限をそこへ集約し、県知事が議員になって議論をし、議長は大きな県の知事という進んだ制度。地方協議会的なものをブロックでつくる。市町村が30万人でやるときに、市町村のブロック的なものを県が中心になってつくる。新しい発想で、国、ブロック、30万人の市町村ブロックをつくるという計画をやったほうが整合性が取れる。現時点では、ブロック計画に重点をおく、市町村の計画をなるべくまとめるといったことが現実的かもしれないが。
    • 地方を地域ブロック、都道府県、市町村という3段階に分けてあるが、国にとっては小さすぎ、下方拡散していくべき話を3つの段階にある自治体にどう割り付けていくか、明確な具体性をもったビジョンをだすことが望ましい。
    • 大都市圏整備法は、計画のみならず、近郊緑地制度や最近なくなった既成市街地における工場等制限など行為規制、あるいは開発を促進するための援助が含まれる。そういう意味で、全国総合開発計画や国土利用計画とは体系が違っており、整理が必要。ブロック計画として地方公共団体が集まってやっており、ある程度の成果もある。ただ、ブロック計画に国土利用計画のような土地利用まで必要かどうか議論があろう。
    • 首都圏整備法等の体系は、若干時代にずれている制度もあると思うので、この際必要最小限の制度の見直しも同時にやるべき。
    • 長期を目指した計画ということであれば、不断の見直しや改定を予想しておかなければいけない。その用途は、環境の変化といったことだけではなくて、たとえば都道府県や市町村のリーダーやそれを支える住民の考え方なり発想が変化する。考え方の変化は数字で表せないし予測するのも困難だが、それを上手く取り入れる仕組みを考えておいたほうがいい。
    • 都市計画との関連で、景観や「美しい」という観点からの制度を考えると聞いているが、そのへんの関係をどうするか整理してほしい。
    • 土地利用については、土地政策分科会の議論もあり、また、分科会の国土法ワーキンググループ座長にも委員会の議論に入ってもらっており、連携をとっているつもりであるが、個別の問題については大変大きな議論であり、まだ結論にはいたっていない。
    • 一連の計画とは別に、特定計画ということで、それぞれの時間、場所で必要な問題について広域的な計画を作ることもできるような格好で制度化したらどうかという議論も委員会である。

    (2)議事(2)「国土の総合的点検」の検討状況について
    1地域の自立・安定小委員会の検討状況について

    • これから計画課題について議論を深めていく。問題意識としては、日本の地方圏は公共事業、農業補助金といった公的資金で支えられてきた面が強いのだが、それが転換期を迎えて削減の方向にある。加えて、地方圏も大都市圏も、人口減少社会が到来し、高齢化かつ人口減少という厳しい状態を迎えている。そういう中で、自立と安定というのは目指すべきゴールを示した言葉。
    • 自立については、広域化、交通や通信の発達を踏まえ、どういう単位で地域が自立できるかが一つのテーマ。もう一つのテーマは、どういう産業、雇用機会によって自立と安定が図られるのか。製造業の海外流出というなかで、新産業創出、知的財産を活用した産業振興、雇用機会の増大といったテーマに、各地域が取り組む必要がある。その延長に、年齢のバランスがとれた、それぞれの人が自己実現できるような多様な雇用機会が確保される安定自立への道があるのではないか。内容についてはこれからつめて議論していくが、議論の材料、方向を委員会の結論として出して、それをこの場にフィードバックしたい。
    • これから人口等変化がでてくるわけだが、過疎地のようなところを元気をもたせるような計画を考える必要がある。そういう地域も努力をすればそれなりの活力ある社会が維持できるというような、むしろ市町村の計画かもしれないが、そんな発想を取り入れるような仕組みが必要ではないか。
    • 「女性の労働力率を上げることが家事労働を市場に出すこととなり地域の豊かさになるかどうか」という意見(資料3−1、p.2)は、今の時代にあわないのではないか。女性が家事労働を担うべきであり、それが社会にとっていいという発想が後ろにあるとすれば、それは違うのではないか。
    • 10万人規模の「ほどよいまち」とあるが、この場合の10万人規模というのは、一つの都市だけでなくて周辺地域も含めた広域的な都市と理解するのが自然と考える。そういうなかで、「ほどよいまち」というと「ほどほど」につながるやや文学的な表現である。地方の感覚でいうと、10万人まとめたくてもまとめられないところがたくさんあり、人口規模が小さくても小粒でもキラリと光る、がんばって個性的なまちづくりに取り組んでいるところがたくさんある。そういう立場からいうと「ほどほど」などといわれると自分達がやってきたことはなんだったのかととられかねず、霞ヶ関から全国を見渡した場合の都市の配置を考えた場合にこういう感覚がでてくるのかもしれないが、変に勘ぐられるおそれもある感じがする。広域的に考えること自体には異論はないが、ネーミングについて十分検討して欲しい。
    • 「ほどよいまち」については、いい言葉を考えて欲しい。
    • 国民の価値観の変化として、モノの豊かさから心の豊かさへとよく言われるが、事態はそれほど単純ではない。「国民の意識調査」といった資料をチェックすると、欧米諸国では、20代〜30代という若い時にはモノや金より自然、環境といったポストマテリアリズム的な考え方をする人が多く、ある種理想主義である一方、40代〜50代になってやはり金が大切だとなる。日本人の意識調査では、バブル時に10代だった20歳までの世代が最もマテリアリスティックで金が大切。
    • 新産業創出のためには、地方の公教育による人材養成が一番重要。今のように公教育がだんだん衰退していくなかで、新産業創出といっても、きれいごとにすぎない。
    • 全体的に、我々が何で食っていくのか見えない。産業立地論というか、国際競争が厳しくなっていくときに、アジアと連携してどういう形で生き残るのか、競争の中で捨て去られつつある地域がどういう方向で生き残るのか、自立だけではなかなかできない。そのためにどういうサポートが必要なのかみえないと、食えないのにQuality of Lifeだけが前面にでてもわかりにくい。
    • 国土計画の中身の裏打ちとして、地域産業について議論しているのはいい。東北地方で、非鉄金属とセメントが協力してゼロエミッション廃棄物処理をやっているという例もあるし、仙台経済界とフィンランドで福祉産業を立ち上げたり、既存の技術を良く見ると、芽を育てることがいろいろな地域で試みられている。地域ごとの個性があると思うが、議論の中で深めて欲しい。
    • 高等教育、大学の人材育成と地域金融機関が新しい事業創造にどう取り組むかという課題もあろうかと思う。
    • 地方それぞれ取り組みをやっているが、経済界の基本的認識は、頭脳がないと地域経済発展はない。地方が国際競争力をもち、企業や人材の集積を図っていくには産学連携を含めて、既存の行政枠組みを越えて魅力あるようにしないといけない。そういう意味でブロックごとに広域的な視点から施策の選択と集中が図られるような状況について、具体的な提言をしてほしい。
    • 次回の委員会で「ほどよいまちづくり」を議論し、計画課題については今後論じるので、御意見を参考にして議論していきたい。「ほどよいまち」はこれからの議論であるが、これからの地域はバラ色だけではない、過疎地域が都市部にまで広がっている状態になり、そういう意味で新しい課題がいろいろな地域で起きる。そのことに正面から答える計画にならないといけない。10万人くらいの地域に分けるとどういう問題が起こるのか掘り下げて、そこに対する提案をしたい。ネーミングを含めて検討したい。

    2国際連携・持続的発展基盤小委員会の検討状況について

    • かつては労働力異存が高い、付加価値の低い、技術レベルの低い産業から順次海外に移転していくと専ら言われていたが、水平分業が起こっている。かつて重厚長大産業が日本からなくなるという識者も多かったが、現実にはそこに海外からの投資が起きている。こういった状況をどう見るか。
    • アジアが栄えると日本の相対的地位が低くなり大変という議論があるが、アジアの成長が止まったときの問題をどう考えるのか。具体的には、アジア諸国で生産年齢人口比率がまもなく下がる。そういう国が産業・社会基盤を整備していく時間はそれほど長くないといったことをどう考えていくのか。日本の各地域はそういう時代を見据えたときに、アジアから見た地域の価値をどう見定めてどういう戦略をとればいいのかといった議論を委員会でつめていきたい。
    • 東アジア地域内でのいろいろな分業のあり方や、流通、観光の域内移動といった視点がもっと必要。特に観光という面からいうと、外国人観光客というと、アジア人を受け入れるしか増える方向はありえない。日本人の意識自体もアジア人に対してオープン・マインドにならないと日本という国は成り立たないといった共生の視点が重要。
    • 空港、港湾、特に空港については、経済のグローバル化のなかで、また、全国的な整備が遅れているというなかで、限られた資源を適切に配分してスピードアップして、整備していかなければならない。物流ということでいえば、特にアジアとの間で垂直・水平分業が進んでいく。最近ではハイテク関係の垂直・水平分業ということでいうと、従来の港湾よりも空港整備の重要性が高まっている。
    • 日本の経済全体がソフト化、サービス化しており、高付加価値産業を充実していかないといけないとすると、物流、人流を県単位で論じられたり、それによって投資が行われたりすることが多いのだが、日本のような狭い国土でそれは非常に非効率であり、空港、港湾の整備については広域ブロック的な対応が非常に重要。
    • 東アジアの急激な工業化の結果として、工業製品の生産能力が世界的に過剰状態。97年の東アジア通貨危機の一番の深因はovercapacity、つまり生産能力の過剰状態に入っていたということ。そういう意味で、東アジアの経済は前途多難。
    • 中国との関係は競争相手ということと、マーケットが大きいということと両方ある。明暗をバランスよく両方書いて欲しい。特に重厚長大産業については、私は構造不況業種と呼んでいたが、中国の発展状況を見ると、撤回したい。中国では高速道路がカナダを抜いて2番になったが、その上に何を使うかと考えると、鉄、アルミ、化学といったものが、日本でかなり栄えるのではないか。あの構造不況業種の収益もどんどん上昇している。紙くず、鉄くずの値段の上がり方は決して日本国内事情でない。そういう目で最近の重厚長大産業を見直して頂いて結論をだしてもらうと間違いがないと思う。
    • 重厚長大の話と過剰生産力の話はつながっている。各国が、既存資源をどう使っていくかという意味で、海外資本の国内投資の話ともつながってくる話。
    • 空港は、欧米では何便も飛ぶようなところが日本では週1〜2日便だけといったように、ソフトの問題でもある。
    • 各国がどうなっていくかということに対して、日本国としてどこまで各国にタッチできるのか。ソフトについてもどこまで国土計画の範囲なのかということは、常に議論としてある。

    3持続可能な国土の創造小委員会の検討状況について

    • 自然災害であったり多自然居住であったりそれぞれが非常に大きいテーマであり、情報整理で手一杯といった状況も若干みられる。
    • その中で、今後の国土計画の新しい方向ということで、3つ大事と思われるところを紹介したい。第1点は国土計画全体を循環型という視点からどう導いていったらいいかという方向性を出したい。たとえば土地利用だと用途別に計画の内容がつくられているが、そうではなくて、都市、農村、山林を含めた循環型国土計画という観点の構成をしっかり出したい。
    • 第2点は、農山村の振興。特に山村として維持していくのが難しいというような限界集落が多々現れてきている、あるいはこれから現れるなかで、農山村は居住の豊かさを表す地域として再定義し、いろいろな人の生活の質の中で、農山村の問題をきっちり考えていきたい。
    • 第3点は、美しい国土ということを国土計画の中でしっかり考えていきたい。国交省が「美しい国づくり政策大綱」を出したし、美しいということが主観的な内容でなく、まさに国土が適切に管理されていることの現れとして、美しい国土をつくっていくための具体的な指標の設定といったことも含めて、美しい国土づくりを国土計画の一つの大きなテーマとして検討していきたい。
    • 農山村の価値の再点検ということを言われていたが、全く同感。そういうなかで、今年も水俣市等を中心にして大きな土砂災害があり貴重な人命が失われた。自然災害に強い国土づくりということがでているなかで、安全な国土づくりをこれからも進めてほしい。たとえば砂防ダム等災害を食い止めるための投資について、そこに人が住んでいるから被害がでるのであり、安全という視点を重視するならば、集落の集団移転ということも十分ありえる。土地への執着は強いと思うが、人命は何よりも重い。人口の減少に伴う集落の崩壊という話もあったが、人口が減少していてもそこが安全な土地であるならいろいろな方法により住み続けられると思うが、多少の発想の転換が必要になってくるのではないか。国民の生命を守るのが政治や行政にとって優先度の高い課題。
    • 1970年代より持続的発展ということが言われているが、日本の場合、実態は逆の方向を向いてきており、この辺を次の国土計画でどう考えるか。一つは土地利用について、なぜ多くの自然がこれまで失われてきたのか分析してほしい。これがないと次の計画を出しようがない。自然と共同したまち、農村、山とはどうあるべきか、現代世代の利益だけで使っているところが非常に多いがそれをどう改善するか。あと一つの要素は産業であり、第一次産業(特に農林漁業)、第二次産業(製造業、建設業)、第三次産業(輸入等を含めた流通)、どれをとっても持続性のない動きをしているが、それぞれなぜそうなってきたのか、二酸化炭素や膨大なゴミを出して環境問題になっていることを改善できないでいるのはどこに問題があるのか、わかりやすく国民に出してもらわないと次の議論にいけない。それぞれ産業ごとに持続的発展が出来なかった理由について突っ込んだ議論をしてほしい。エコロジカルフットプリントをもっと突っ込んで国民にわかりやすく説明してほしい。
    • 海洋、沿岸域を検討していただいているのはありがたい。現在、国交省で大陸棚調査に多額の予算を要求するということで結構なのだが、資源を有効活用するために制度的・技術的な問題がある。一つは海底の利用について誰が責任を持ってきちんとするのか議論してほしい。メタンハイドレードは先の話だが、たとえばヨーロッパで風力発電の海上展開という状況がでてきているが、日本でそれをやる場合、誰が利害調整を責任もってやるのか。ぜひ大きな方向性を出してもらって、制度の改善をしてほしい。そうしないと大陸棚で縄張り争いが起きるのではないか。
    • これからの持続可能な国土を創造する上で、どういうレベルで政策の基本方向を考えているのか。
    • 森林経営について、京都議定書にも森林経営によるCO2削減分をカウントすると書かれているので、そういうことも言及したほうがいいのではないか。
    • 持続可能といったとき、必ず生態系の話で有機物循環の話になるが、自動車、家電等鉱物性資源循環の話がもう一つの柱として循環型国土の軸になると思うので、明確に出してほしい。
    • 印象としてやや弱い。出揃っている論点が繰り返されているという感じがする。農山村の今後のあり方を考える、あるいは制度、施策を組み替えるとすれば、国民の理解と共感がぜひ必要であり、重い問題を投げかけるような発想の整理をしてほしい。農山村がいるのかいらないのか、農山村は誰のものかといった基本的な問いかけが必要とされている。
    • 農山村振興は水循環にとって重要。たとえば、現在の用排水施設の改良が水環境について問題を起こしているかもしれない。
    • 都市化による水需要の増大あるいは保水能力の減少、広域的な水源から水を取水することに伴う問題点を書いたらどうか。
    • 水については、ためる、ゆっくり流す、また使うといった展開が望ましいのではないか。これはエネルギーその他にも適用できるのではないか。
    • 集落の集団移転にしても、物質循環にしても議論していないわけではない。今回の資料は総花的な内容となっている。今後の検討の中で総花的なことを全部検討して新しい方向を出すということは現実的でないし求められてもいないと思うので、今日のご意見を参考にしながら、委員長とも相談の上議論をすすめていきたい。

    4我が国の人口規模等について

    • これから1番大きな問題は日本の人口をどうするか。今度の国土計画ができたときに、付属資料でもいいので、2050年の望ましい日本の人口をシミュレーションして書いて、それについて国民的議論を喚起して欲しい。
    • 外国人人口を増やすことで人口規模を維持するのはそう簡単なものでないという資料があるが、外国人の構成を考えないとミスリードするのではないか。たとえば、大阪には在日コリアンが多い。外国人は異質な存在という前提をすると、在日コリアンはそれとはかなり違う。2025年に(外国人労働者比率が)3.6%という中に在日コリアンもたくさん含まれるということを見ないとややミスリードとなってしまうのではないか。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)


戻る
ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport