メニューを飛ばしてコンテンツへ進む
サイト内検索

 国土審議会第4回調査改革部会議事概要
ラインBack to Home

 

  1. 日時
     平成15年12月25日(木)13:00〜15:00

  2. 場所
     虎の門パストラル「鳳凰の間」

  3. 出席委員(敬称略)
     須田部会長代理、池谷、岩崎、大西、奥野、清原、小早川、齋藤、佐和、島田、杉岡、高木、高橋、堤、寺澤、中川、中村(徹)、早瀬、平野、星野、森

  4. 議事(概要)
     (1)開会
     (2)議事 「国土の総合的点検」検討状況中間とりまとめについて
      事務局より資料説明後、質疑応答。
     (3)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
    【「国土の総合的点検」全体について】
    • 完成度の高い報告書であるので、早く政策にうつしてほしい。ただ、具体的に、法律という形は難しいということもあろう。イメージとしては、ODA大綱が政府全体の方針のように、必ずしも法律にならなくても、内閣全体あるいは国交省の基本的指針としてまずまとめて、世の中に訴えていくことが非常に重要。その後フォローアップして、アクション・プログラム的なものをつくるとか、次々に個別の政策を実現するということもあるかと思うが、この結論は良い結論だと思うので、早く世の中に出してあげたい。地元では大変苦しんでおり、なんとかしたいという気がある。時間をかければいいというわけではない。ぜひ施策として実施してほしい。
    • ガイドラインや大綱を出して欲しい。
    • 地域委員会、持続委員会ともに、担い手について多様な層を想定した提案をいただいている。国土の問題については、その景観、美しさを維持するだけでなく、環境、地域のまちづくりといった観点からも担い手の多様化が重要と思っている。行政主導であったような国土づくり、まちづくりについて、先に市民、住民ありきといった動きが全国で動きはじめている。そういう認識のもとでの提案を具体化していく際には、まずガイドライン的なもので結構なので、早くからはじめてくれれば有効ではないか。
    • 国民に提示するときにこのまま出してはよくわからない。国民としてどう受け止めればいいのかというグランドデザイン、つまり、首都圏では、地方圏では、中山間地域ではどうかというとりまとめたものが必要になるのではないか。
    • 国の施策としてやることは何か。国としての役割をどう考えるか。地域の発展については、各地域がそれぞれ考えてやるべきこと。地域に住む人たちが自分達の生活をどうするのか考えることが基本であり、それがまとまって大きくなるということだろう。これからの国の役割はほとんどなくなってきているし、国に期待すること自体がまちがい。そういう発想でなくて、自分達で地域を良くするということが基本でなければならない。そうすると、地域の住民がこれからのことを考えるときに、選択肢なりガイドラインなり、あるいは参考資料等の提示が国の役割か。
    • 行政改革の第二段階は、国がやるには小さすぎる問題は地方自治体、NGOに委ね、大きすぎる問題は国際機関に委ねる方向にもっていく。中央政府のやるべきこととやるべからざること、問題の仕分けが必要になってくる。権力の上方統合と下方拡散という言葉を私は使うが、少なくとも小さすぎるものは地方自治体、NGOに委ねていく方向が望ましいと考える。
    • 横串をさしてみた場合、地域をどうしっかりさせていくか。そのためには地域の人が地域に帰属意識をもつとあるが、そのためには愛着をもてるよう、美しいものにする。美しいといっても人により違うというのはそのとおりだが、歴史、文化を含めた生きた地域として美しい地域にしなければならない。どうすれば文化性を含めて美しくできるかというと、そこに住んでいる人に戻ってくる。つまり、自分の生活、文化を自分達でつくっていけるような意思決定プロセス、政治システムを地域ごとにつくることが必要ではないか。地方分権の方向をきちんと適切にコントロールしながら進めていくことが国土のあり方を考えるこの場でも強調されてしかるべき。地域文化国粋主義ということではなく、日本全体のカルチャーをどう外に開かせていくかというのはナショナルな問題であり、中央政府がきちんとした方針をもって閉じたタコツボ社会にならないようガバナンスしていくことが重要。
    • 人の暮らしという視点が弱い。国土に暮らす人を忘れてはならない。たとえば、国土利用を考えると、エネルギーの問題、食料の問題等、人が暮らしていくのに必要なモノをどう国土が提供するかという視点があれば国民にはよりわかりやすい。
    • 人口減少社会ということが共通の前提ではじまっているが、日本国土のなかで万遍なく人口が減少するのではなく、おそらく東京や都会には集中していくことだろう。東京集中は着々と進んでおり、今は中央と地方というよりは東京とそれ以外というところまで行きつつある。国土を考える場合に東京以外のところをどう維持していくかというポイントが重要だと思うのだが、そういうところにも人が住んで、自分達の地域に愛着をもって自分達の地域を自分達でつくるということができるようにする、地域の人が地域のことを決定できるようにするということも強調してほしい。自分達の地域に誇りを持ててこそ個性がでてきて、全体的に多様で持続可能な国土ができる。
    • 五全総後、地域政策の変更の一つとして、工場等制限法がなくなった。産業の空洞化を防ぐために産業や大学を既成市街地に持ってこようということであり、制度がなくなってから1年半しかたっていないのでどういう変化が起きたかわからないのかもしれないが、制度変更の効果をみてほしい。
    • 防犯、安全については、早速対応していただき、ありがたい。国民の視点にたち、安全、安心という観点から対応していくことがより重要な時期を迎えていると思うので、補強してほしい。

    【地域の自立・安定小委員会について】

    • 地域問題を考える一番大きなポイントは、人口減少社会を迎えるということ。少子高齢ということで、人口が量の上で減少するということに加えて、活力という点でもやや衰えていく、そのなかで地域の自立と安定をどう考えるか。そこで、必然的に広域的ネットワークが必要ということがでてきた。経済のような広域的連携が必要なものについては、「地域ブロック」という単位を想定。この地域ブロックは現在の国土計画のブロックと同じかもしれないし、場合によってはもっと広いかもしれないし、一部が都道府県を越えて連携しているのかもしれない。最大公約数なところで「地域ブロック」という用語で説明している。もう一つは、もう少し身近な生活レベルの連携で、「生活圏域」と表現している。人口減少のため、手を結ばないと一定の活力ある地域社会、経済活動が維持できないという捉え方も重要だし、他方で、情報通信、高速交通体系がそれなりに整備されてきたということを踏まえると、これまでよりも広域的ネットワークを十分活用していく基盤が与えられているという積極的な面もある。
    • 小委員会には、投資効率性から地域を捉えようという立場の委員も、過疎化する地域の中でどう活力を維持していくか日夜考えておられる立場の方もいる。地域を切り捨てるのではなく、地域のおかれている現実を見据えて将来像を描いていこうということが共通認識に自ずからなった。そうした中ででてきた言葉が「ほどよいまち」という表現。積極的な意味で捉えると、環境と経済活動のバランスした持続性のある地域単位、いろいろな営みがほどよいまちのなかで展開されるというある種の安定的な圏域というふうにも捉えられる。他方で、そんなにがんばってもそんなに発展しないという消極的なメッセージもあるいは含まれている。地域の基礎的な単位、生活圏域とオーバーラップするような単位でもあるが、そこを捉えていくのがいいのかどうか、議論を起こす意味で提起した面もある。
    • 地域社会の形成における国の役割については、地域問題は地方分権下でその地方に住む方々の問題になるが、地域ブロック、生活圏域という概念の中には、県境を越えた連携や、生活圏においても、県境をまたいだところに核になる都市がない、つまり生活圏域の形成に課題が残る地域が存在する。県境を越えた地域の形成のあり方が問われている。従来の自治体の枠の中でうまく政策が展開できない面があるということで、国が指針の提示や一定の役割を果たしていく必要があるのではないか。
    • 産業については、人口がある程度集積してはじめて、サービス産業の立地が可能となり、その結果として雇用が生み出される。地方に人口を分散させ、閾値を超える人口の都市の数を増やしてサービス産業を立地させて、雇用を増加させることが重要な政策の一つ。何十万人くらいがその目安となるのか。サービス産業の立地する規模はどれくらいか。
    • 「選択と集中」というのは、ブロックのとり方だと思うのだが、拠点は単数か複数か、どれくらいの地域にいくつくらいの拠点を選択して集中させるのか。
    • 地域を今後考えていく上で、少子高齢化や人口減少を考えると、地域の雇用を考えないとやっていけないということでこれまで意見をだしてきたが、取り入れて検討してくれてよかった。
    • コンパクトシティということが言われているが、特に規模の小さくなる都市であればなおのこと、効率的都市経営をやっていくために一つの有効な考え方と思う。
    • 地域自立のためには地域リーダーを育成することが大事なポイント。
    • 「ほどよいまち」という概念については、外国人を受け入れない考え方か。そうだとしたらきわめて問題。外国人、特にアジアの人を取り入れた形での日本の社会、国際化されたアメリカ型社会への転換がいいのか悪いのか。
    • 「ほどよい」という概念は日本人にあう。保全と開発の調和が必要であり、ほどよい生活の中で産業はどうあるのか、ほどよい生活の中で保全系、特に自然環境はどうなるのか。保全系をもうちょっと書いていいのではないか。

    【国際連携・持続的発展基盤小委員会について】

    • 国際連携については、第一に、グローバル化が進展して東アジア地域が急成長しているなかで、東アジアが国内と同じ次元になるというマインドをどういうメッセージで伝えていくか。第二に、企業の海外展開により空洞化が進んでいるが、その一方で、東アジアの発展を日本の中に取り込んで発展のエネルギーにしている状況がみられる。東アジア諸国も我が国も生産年齢人口比率は低下しているが、近々ピークアウトしていくという将来をにらんだ上で東アジアとの関係をどう構築していくか。第三に、国内交通と同じ利便性をもった国際交通ネットワークを東アジアの中にどう構築していくか。特に、日本の都市から日帰り可能な東アジア地域は非常に限られている。
    • 国内交流基盤については、第一に、二層の広域圏が自立的な単位としての圏域であるが、広域ブロック圏、生活圏の中のモビリティをどう向上させていくか。広域ブロック圏域間のモビリティをどう向上させるか。交通体系はどうあるべきか。特に、交通情報通信ネットワークをどう活用するか。特に生活圏で公共交通をどう活用していくか。第二に、東アジア全体を含む循環型社会を目指すという意味での国際連携の視点から静脈物流を議論。第三に、地域ブロックの範囲での国際交流が重要になってくるが、地域ブロックの単位をどう考えるか。
    • 環境、安全については、情報技術を活用した交通通信分野における環境保全、災害時における情報技術を活用した国土基盤づくり。
    • 投資制約下における国土基盤については、適正な維持管理、大胆な用途転換による効率的な国土基盤整備のあり方について議論を進めている。
    • グローバル化の進展、人口減少が続くが、そうした環境のなかで、国土形成にあたっては、東アジア諸国との国際連携、国内モビリティの確保、情報技術の活用が重要な課題。
    • 日本という国土の問題を考えることが、国内的なことでなく、グローバルな視野を必要としているということを多面的にまとめてもらった。特に、国際連携については、日本が国土づくりを通してもグローバルな視野から世界に貢献できるか、具体に示すことが重要。アジアにおける日本の役割に関して、さらに具体的な提案をしていくことが必要。
    • 「東アジアの一員としての国土形成」については、東アジアのFTAのようなものが近い将来作られるのは間違いないが、それは華人経済圏のような形になるだろう。東南アジア諸国には経済力をもち英語の堪能な華人がたくさんいる。そのとき、日本がいかにFTAの中にはいっていくかが問題。日本がどのようにリーダーシップをとっていくのか。
    • 日本語がアジアの標準語になる可能性はゼロと考えていい。日本がアジアの中でもっとも英語の弱い国であり、情報発信源たりうるのか。
    • WTOが上手くいかなくて個々のFTAという動きだが、なぜWTOは上手くいかないのかというと、アメリカ主導の自由貿易に問題があるのではないかと言われている。日本も20世紀的な考え方ではこのままいかない。持続的な日本の経済発展とは何か。持続的な発展とは、競争ではなく共存の時代であるという観点から、これからの中国、東南アジアを日本がリードすることができる。
    • 国際連携を大切に考え、東アジアの一員として東アジア経済をとりこんで将来の日本の経済を考えていくことはそのとおりだと思うが、それを日本人がどう受け止めるのか。つまり、外国人を取り込んだ形で将来の日本を成り立たせるのか、あくまでそれは外部の要因であり、日本人は日本人として固まるのか。国際化された日本社会をつくるのかどうか。
    • 国際観光を疎外している最大の問題はビザの問題。高い壁をつくっておいて観光客を増やそうというのは無理な話。外国人、特にアジアの人をを受け入れて仲良くしていこうという気持ちがあるのかないのか。総理府の調査でも半分以上の人がビザの容易化には反対という意識があるようだが、そういうなかで国際観光を増やす、国際連携を強めるといっても無理といった指摘をすべきではないか。
    • 人、モノの国際交流がアジアだけでなく、世界的に増えていくだろう。特に生産拠点が日本から外へでていくことが加速しており、航空物流もますます重要になってくる。その際に港湾物流の情報化が重要と触れられているが、航空物流についても同じように情報化を進めないと一部のアジア諸国に遅れをとり、ひいては空港の機能低下につながる。港湾物流の情報化に遅れたことが日本の各港湾の物流のハンドリングの量の減少につながったということが過去にあるが、航空についても同じことが起これば問題。
    • 現下の国際情勢を考えると、物流の拠点の総合的なセキュリティ対策についても、空港や港湾が機能を高めるために必須の条件になっていくだろう。
    • 静脈物流については、鉄くずや古紙等が東アジアへ輸出されているという図表があるが、今後産業廃棄物のリサイクル等を考えて行く場合、生活習慣を変えていくことや技術開発等により、国内処理をするという視点も重要。環境のコントロール技術はそれほど難しくなく、産業間連携を強めていけば、国内でも廃棄物処理可能になる。マーケットになるべくのせていくことだと思うので引き続き検討して欲しい。
    • 資料3−2の図表38。生産年齢人口の捉え方については、今は、たとえば5歳づつずらして20〜69歳にすると違う絵になる。同じ数字で生産年齢人口を見るのではなく、時代に応じ、実状に合わせていかないと、現実にずれた図表が出てしまう。
    • 既存の社会資本ストックを有効に活用していくという場合、コストダウンや耐用年数の延長だけでなく、新規投資に要求されている機能、ニーズをそこに生かしきれるような工夫をやっていくべき。単に施設のみの更新に目を向けずに周辺の環境整備により、地域の活性化を促す引き金にするような努力が必要。
    • 京都、大阪の間には最も早く国鉄ができ、その後、京阪、阪急ができた。京阪電車は人の住んでいるところをぬって走り、最初はある意味でよかった。阪急は国鉄とほぼ並行に、人の住んでいないところを走った。結果的に、周辺に住宅が開発され、各駅にバスターミナルの土地をもっていたりなどしたことにより、今や阪急沿線のほうが人口も多いし、住民の所得水準も高い。拠点の間に何もないところを、たとえば鉄道を結ぶことにより、沿線部が自ら発達するというふうに思う。鉄道が人口移動を促し、拠点AとBの間の過疎的なところに人が住まうようになるといったことについて、具体的なことをしていただければ。

    【持続可能な国土の創造小委員会について】

    • フォレスト・マネジメントは日本では非常に遅れている。京都議定書によると、フォレスト・マネジメントにより森林の吸収が増えた分については、削減分としてカウントすると明記されている。農水省と協力してフォレスト・マネジメントの督励措置を考えて欲しい。
    • 美しさは、国、時代等、空間、時間により違う。たとえば、日本では都市に緑がなくてもきれいなビルが林立していれば美しいと過去においては考えがちであった。一方、緑が絶対必要だというヨーロッパの都市観もある。美しさの定義をどう考えているのか。
    • 中間報告は実によく整理されている。また、流域圏単位で総合的に保全・管理をしていこうという話をきちっと出したのは大変意味があること。今後、制度化をきちっと考えていくことが良いのではないか。
    • 循環型、自然共生型の国土づくりの根幹となる水循環について、流域圏アプローチの提唱は健全化のために非常に立派な方針。水循環の健全化という観点から見ると、流域の保水といった機能の回復をするとともに、汚染源の抑制に重点をおくべきではないか。人間の活動はすべて関係してくるので、多岐にわたる分野の協働体制が必要。調整のための組織ということが謳われているが、一元的な管理を可能にするような体制に向けての努力を期待。
    • 海の視点について触れていただいてありがたい。国交省を中心に大陸棚調査で国全体で100億、数年間で1千億近くかけて調査をやるという方向がでている。計画的管理ということで、地方自治体の支援を意味するのだろうが、レクリエーションや沿岸での事業は当然だが、国家政策として国の責任でやる大きな問題が欠けている。
    • 農地法の下、農業は農民でないとできない。NPOが農業活動をしようとすると農地を買わないといけない。自作農主義から小作農を認める仕組みに変えないと、一般市民が農業に関わることは、ボランティアである以外は無理。
    • 中山間地域との関連で、多自然居住地域の定義がよくわからない。自然地域と人が暮らす地域の接点が中山間地域と考えており、中山間地域が減少していく、山がおりていくと、なかなか人にやさしくない国土になる。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)


戻る
ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2004, Ministry of Land, Infrastructure and Transport