- 日時
平成15年7月28日(月)18:00〜20:00
- 場所
中央合同庁舎3号館11階特別会議室
- 出席委員(50音順)
池上委員、江崎委員、大西委員長、岡部委員、菅沼委員、セーラ委員、古川委員、山岸委員
- 議事概要
(1)開会
(2)成熟する経済社会のトレンドについて
世界と日本の成長トレンド
地域経済の自立性・地域間格差
ライフスタイルの変化
事務局より資料説明後、質疑応答。
(3)閉会
- 主な発言内容(順不同)
世界と日本の成長トレンドについて
- ヨーロッパは合計特殊出生率が以前から2.1を下回っていたが、移民によって人口減少がそれほど進まなかった面もある。
- 今後の外国人の受入次第で日本の総人口は変わってくる。
- ヨーロッパでも、スウェーデンは女性の労働力率が高いが、イタリアなどは低い。最近の若者は仕事と家事・育児の両立に厳しさを感じている向きもあり、女性の労働力率が上がるという仮定は疑問を感じる。
- 北欧型の成熟社会への方向性を探っている感じがするが、イタリア型の成熟社会の方向を考える価値もあるのではないか。
- 教育・保育・雇用などの現状の規定のもとに女性は自らの仕事をどうするかを考えており、北欧型かラテン型かというようなことはあまり意識していないのではないか。50年先、100年先の男性・女性の役割などを考えてはじめて女性の労働力についての政策が考えられるべきで、ここでは女性の労働力率についてあまり予見を持たない方がよい。
- 女性の労働力率を積極的にあげていくことは、結局は家事労働を市場に出すこととなり、果たして地域の豊かさにつながるかどうかは疑問。
- テレワークの面からみると、日本は北欧と似ている。
- 21世紀は、自然環境条件との調和を具体的に実践できるナショナリティーが必要。
- 文化を保全しながら他民族と交流するためにも教育が重要であり、また、良い高度教育によって、知識社会においてイノベーションを勝ち取ることができるようになる。
- 予測値は相当に振れるものであり、数字を過信してはならない。数字の幅の中で良い方を達成するためには何が必要かなどといった観点が重要。
- 欧米では非営利セクターが重要視されており、成熟した市民社会を形成するためには、NPOを社会的に支援していくことが必要。また、現状のNPOは女性の労働が7,8割を占めており、NPOの発展は女性や高齢者の労働力率を高めることにもなる。
地域経済の自立性・地域間格差について
- 産業誘致などで地方圏の総所得を増やす政策を取ってきたが、実際には、地方圏の人口が減少することによって一人当たり県民所得格差がなくなってきたと思われる。総所得の増加と人口減少のどちらが寄与しているのか整理してみると面白い。
- 地域に活力を与えるためには交流人口を増加させることが必要。そのためには交通機関の整備が重要となる。
- どのような枠組みの下で地域経済を考えていくのか。市場経済主義の下で考えると、経済活動については、人口規模で数百万人から千万人ぐらいを1つの単位として考え、ハードやソフトの整備を考えることになるのではないか。
- 経済活動はかなり広域化しており、経済を考える単位と生活を考える単位は違う。
- 所得格差がなくなることはありえない。生活の質の評価の仕方を国民のコンセンサスとしていくことが必要。
- 市場経済主義の下でも市場経済の欠陥を補完していくことが必要。生活、自然環境、経済を統合した計画によって生活の質が追求できるのではないか。
- 地域における生活権を保障することが必要。
- 自立していく上では地域自身がそれぞれの地域についての決定権を持てることが必要だが、そのような権利が地域住民にないのが日本の特徴である。
- 日本は資源がないと言われるが、存在する資源が使える状況にないという一面もある。
- 不便であることが人を惹きつけるという面もあるのではないか。
- 便利になることで壊れてしまうものもある。
- 守るべきものは守りながら生活圏を便利にしていかなければ、若者は地方には残らない。
- 地域経済は自由に人やモノの行き来ができるため、受益と負担のバランスは時々で変わる。
- 国土計画は、これまで掲げてきた均衡ある発展論をどうするかという議論に直面している。今は所得格差が縮小している一方で、東京一極集中が言われている。
ライフスタイルの変化について
- 国土計画に対して、「歴史・伝統、自然、文化・芸術」など今までの国土整備とは違う要求が強くなっていることは確かである。インフラ整備より指針の提示が重要ではないか。
- 人間界、自然界、人工界のバランスを地域自らが考え、それを国土計画が支援するという考えが必要。そうでなければ、国土計画と歴史、自然などを結びつけることは難しい。
- ほどよいまちづくりが重要。市町村合併が進む中、峠をいくつも越えないとまちに辿り着けないようでは、ほどよいまちは成り立たず、市町村の中で一極集中が起こるだけである。
- 効率化努力をしながら自主自立を目指している地域には支援を行い、歴史・文化を守っていく必要がある。
- 自立のために地域が頑張ることが可能となる仕組みやルールづくりが必要。
- 労働時間や社会活動時間を増やすためには、在宅型余暇活動時間と移動時間を減らすこととなる。個人の可処分時間の配分を考えるとよい。
- ほどよい配分がなされれば豊かな生活となり、そういう人たちが集まることでよいまちになるという方向が見えてくるのではないか。
- 行動的な高齢者もいるので、世代交代も加味し、現在の40代、50代の時間の使い方をもとにした推計があってもよい。
- 人口減少により住宅ストックが余家や土地の値が下がるとすれば、所得が減っても労働時間を減らすという方向もありえるのではないか。
- 高齢者ほど地方圏に居住したいと思っており、地方圏への居住志向の強まりは高齢化の影響が強いのではないか。
- 居住地については、意向と実態は全く違っている。
- 高齢者は、医療・福祉サービスがないと、地方圏への居住選好があっても実際は動きにくいであろう。
- 地方から都会に出た人は高齢者になると生まれ故郷に帰りたいという気持ちもあるが、2世、3世になると親の故郷に戻ろうという感覚はないだろう。また、若者は故郷には戻らない。
- 働き甲斐のある職場を提供できれば若者も戻ってくる。地域の頑張り次第である。
(速報のため事後修正の可能性あり)
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