国土交通省
 国土審議会調査改革部会
 第3回地域の自立・安定小委員会・議事概要

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  1. 日時
     平成15年8月12日(月)12:30〜14:30

  2. 場所
     中央合同庁舎3号館11階特別会議室

  3. 出席委員(50音順)
     荒井委員、池上委員、江崎委員、大西委員長、岡部委員、菅沼委員、古川委員、柳川委員、山岸委員

  4. 議事
     (1)開会
     (2)地域産業の動向
       1地域産業の動向
        1地域経済の動向
        2個別産業の動向
        3新たな動向
       2地域産業の課題と国土計画の役割について(関満博一橋大学教授よりプレゼンテーション)
        <ポイント>
    • 産業振興に成功した島根県斐川町、岩手県北上市、花巻市を紹介
    • 地域における産業振興・成功のポイントは、キーパーソンとなる「人」の存在、自治体あげてのバックアップと地元の努力
      今後は、
    • アジアとの競争の中で工場誘致だけでは生き残れないことから、技術の地域化が重要
    • 地域経済を活性化させるには市町村の役割が大きいが、現状やっているところは少ない。全市町村のうち、300でも実行すれば地域は変わると思う。

      1について事務局より説明し、2について関教授よりプレゼンテーション後、
       (1)今後の地域を担うべき産業
       (2)産業集積拠点のあり方
       (3)地域労働市場の課題
       (4)国、自治体、国土計画の役割
       について、議論。
     (6)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
     (1)今後の地域を担うべき産業
    • 地域を担う産業について、製造業にしろ他の産業にしろ誘致をきっかけとして、技術の地域化を図り、地域の中で高めてくことにより、衰退しにくい地域形成ができる。
    • 第2次産業のサービス化(第2.5次産業)で付加価値を付け、雇用を生んでおり、製造業の2.5次産業化が次の段階での我が国が目指すべき方針。それを促すシナリオを作れないか。  
    • 日本の多くの地方では、地域のおかれている状況によって違うが、製造業に依存しており、それにかわるサービス業を育成するのは困難。ただし、都市部の自治体ではSOHO事業などの可能性があり、中山間地域の自治体ではコミュニティビジネスの可能性が非常に高い。我々自身の身の回りを見回した中での新しい産業の方向を考えることが必要。これはいづれも市町村レベルでの話であり、国が言うことでなく、現場で確認しながらやっていくものである。
    • 地域にとっては国内総生産に占める割合の高さよりも、実は雇用を抱えられることが重要ではないか。例えば、介護サービスは付加価値は低いが、地域にとっては非常に重要であり、サービス業も重要。
    • 経済効果、成長、雇用の面で頼りになるのは製造業であり、コミュニティビジネス等文化産業はまだ力が弱いのが現状。しかし、今後の日本の地域を考えると、沖縄のように、数値とは違う世界の数値では現せない豊かさを目指してはどうか。
    • どんなに田舎に行っても、基本的ストックは整備されているため、わずかなフローがあれば生きていける。
    • これからの産業として第1次産業も重要ではないか。経済的付加価値は低いが、雇用の総量では地域にとって、貢献できる上、右肩上がりの時代と違った発想が必要。今後、人口が減少し、土地があまるため、農業の可能性は広がっていく。
    • 1つの産業で地域全体を支えるのは困難。そこに参加している人々がいきいきしていることとそれにより地域が潤っていることは違うため、それらが複合する政策を考えなければならない。

     (2)産業集積拠点のあり方

    • 地域の産業振興において成功している自治体としては、成功要因は前に進もうとする「人」がいるかどうかにつきる。地域振興を成功させる鍵は高速道路のようなインフラではなく、地元の熱意。同じ条件での中で成功した自治体にはプラスアルファがある。
    • 安い労働力だけを求めて進出してきた工場はさらに安い労働力を求めて他に移ってしまうため、その産業を「技術の地域化」することが必要。また、規模が似ていて、性格が違う都市が隣接していると、激しいライバル意識が生まれ、相乗効果が生まれており、この要素は重要である。
    • 国内の製造業機能としては、新しい製品開発や付加価値の高い製品生産が重要で、試作品を一通り作れるサイクルをもった地域が生き残る。

     (3)地域労働市場の課題

    • 沖縄の労働市場は人の出入りが激しく、流動的であるが、他の地方の労働市場も、流動性が高くなり、固定的、安定的ではなくなってきている。よって、ハイテク産業だけでなく、雇用を生む産業を含め地方の労働市場を分けて、考えなくてはならない。
    • 現在は長男長女社会のため、家のある地元に戻る可能性があり、これが地域労働市場、地域経済に与える影響も大きい。
    • 地元の工業高校の生徒を優秀な中小企業に送り込み、大都市にあった会社ごと地元に呼び寄せる現象もおきている。

     (4)国、自治体、国土計画の役割

    • 例えば、GDP500兆円を維持することや、第2次産業の製造業の製品出荷額を20%維持する等の方針を国土計画等で打ち立てれば、地域も地域産業政策が取りやすくなるのではないか。
    • 我が国でも、これからは経済偏重から成熟した市民社会の中で、産官学民の4つのセクターが重なって、新しいつながりによる地域の基盤整備を作り、その基盤の上で、人材育成、市民の社会参画、コミュニティビジネスを行っていくことが重要。しかし、我が国では、起業や創業のシステムが弱く、国家的・地域的に整備をする必要。
    • 地域の自立にとって、手に職を持ったものづくりの人材を育成し、地域の文化を残していくことが必要である。地方でものづくりができる環境整備が重要。
    • 地域産業政策は社会資本、企業誘致、融資(資金)、人づくり、結婚問題等の課題をすべて考慮して、考えていかなければならない。国土計画として、トータルな体系として考える必要がある。

(速報のため事後修正の可能性あり)


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