- 日時
平成15年10月15日(水)10:00〜12:30
- 場所
中央合同庁舎3号館4階特別会議室
- 出席委員(50音順)
荒井委員、江崎委員、大西委員長、岡部委員、菅沼委員、古川委員、柳川委員、山岸委員
- 議事
(1)古川町出張報告
事務局より出張報告後、意見交換を行った。
(2)「21世紀の国土のグランドデザイン」戦略の推進状況
大都市のリノベーション
地域連携軸の展開
(3)二層の「広域圏」の検討
生活圏域
地域ブロック
(4)第2回企画運営委員会(9月26日)における地域の自立・安定小委員会関連の議論について(報告)
(5)その他
- 主な発言内容(順不同)
(1)古川町出張報告について
- 町民参加が非常に多彩であった。
- 古川町の町民は誇りを持って実際に活動を行っている。経済的に著しく繁栄しているというわけではないが、「ほどよいまち」のイメージに当てはまる。
- 町民が誇りを持って行う活動がある程度の成果をあげ、それがまた誇りと活動につながっているのではないか。
- 地域のアイデンティティをどのように作り出していくかを意識していかないといけない。
- ボランタリーな活動が流動性に対応できるかが若干危惧される。流動性は地域の活力にとって重要であり、流動性がある中で社会参加を促す仕組みが必要である。
(2)「21世紀の国土のグランドデザイン」戦略の推進状況
大都市のリノベーションについて
- リノベーションは今日の都市再生につながっている。
- 1995年から2000年にかけての都心回帰は事実であるが、25〜34歳が流入の主体であること、出生率が低い一方、高齢者が多いこと等から、この趨勢は長く続かないと予想されるため、注意が必要である。
- 人口減少下においては、不要となったインフラや建物についてどのように用途転換するか、これまでと違った戦略が必要である。作る最初の段階から将来の柔軟性を確保できるようにしておくことが重要である。
- 民間をコントロールできないため、民間の行動を前提に戦略を立てなければならない。今後は多様な主体によるまちづくりに重きを置くべきであり、そのためには、将来について不確実性が高いため、多様な機会や選択肢をできる限り確保するような基盤整備が重要である。
- NPO法成立はグランドデザインの後であり、市民参加の視点が弱かった。今後は、行政とNPOの協働を戦略的に位置づけ、多様な主体の参加の仕方を組み込んでいくべきである。
- これまでは過密の弊害の回避が課題であったが、今後は、生活の質の向上や競争力確保のための小さな集積のネットワーク形成という観点からリノベーションを考えていくことになると思われる。
- 大都市がどうやって我が国を牽引していくかについて明瞭な合意が得られていない。大都市がどのようにあるべきかについて初めて計画論としての議論が必要となっており、今までと質的に異なることが求められている。
- 国際競争に勝っていくため、東京、大阪、名古屋の経済規模を今ある強みとして活かし、これを日本全体に波及させていくことも1つの基軸となる考え方である。
地域連携軸の展開について
- 地域連携軸構想の目標が見えない。二層の広域圏をはじめとする国土全体の有機的な結合と地域連携軸構想とはどのように結びついているのか。
- このような広域的な交流に住民の意識が追いついているか疑問である。
- 相乗効果を期待した連携から人口減少など厳しい条件下での役割分担のための連携にいかにシフトさせていくかが問題となる。
- 連携という考え方はわかるが、なぜ「軸」なのかわからない。
(3)二層の「広域圏」について
生活圏域について
- 生活圏域という考え方そのものがまだ固まったものではないと感じる。
- 生活圏域レベルを想定して整備目標を作ることの意義がはっきりとしない。
- 3全総の定住圏では圏域における生活関連施設やその支持人口を整理するなどしたが、今回の生活圏域の検討にあたっては、モータリゼーションの深化と高齢者の自動車免許保有、情報通信革命によるインターネットショッピングの普及、人々の居住選好の変化など、これまでの30年間で変化したことを上手く織り込んで整理をしなければならない。
- まもなく市町村合併が一段落するが、全てが生活圏域を包摂するほどの市町村にはならず、合併後の広域行政をどのように考えるかという問題が出てくる。
- あげられている都市的サービスが充足していることと住民の生活実感とがどのように関係するのか。
- 都市的サービスについては、多くの住民から意見を聞いた方が良い。
- 民間サービスは今の需要に沿っているだけであり、国土計画自体が長期を見据えたものであるとすれば、現在の人口規模を前提に考えなければいけないかどうか疑問である。
- 大きな市と小さな町村では実情が全く異なっており、生活圏域を考える際には市町村の枠組みと切り離して考えなければならない。
地域ブロックについて
- 廃棄物、電力、食料などは地方がそれなりの役割を果たしている。一方、地方が経済的に弱いことは事実であり、自主自立のための支援は必要である。
- ここでいう圏域と実態が乖離している場合もあり、県を分断するという考え方も必要なのではないか。
- 流動性と自立との関係をどう考えるか。アウトカム目標の例としてあげられているものをみると、流動性が下がると良いという感じを受けるが、流動性がある程度高く地域に戻れることは歓迎すべきことではないか。
- 人材、情報、地域の集積という観点から、地域ブロック単位に配置されてきた旧帝国大学をどのように評価するか。上手くいっているとすれば、この時に前提とした地域ブロックも今後を考える際の1つの手がかりとなる。
- 行政や大企業は経済的な視点から考えてしまいがちだが、地域資源を発掘するための仕組みを徹底的に作り上げることと国全体としてのバランスとを考えなければならない。
- 一流企業が立地するような拠点都市が安定的に10ヶ所くらい存在するという構造を考え、それらが生活圏域とつながっているという構造がブロックレベルで必要なのではないか。
その他二層の「広域圏」全体について
- これまでの階層的な国土構造を自立分散的な構造に変えていくため、1つ1つの圏域の規模や備えるべき機能を考え、全体をどのように有機的に結合させるか、また、そこにどのように住民やNPOなどを組み込んでいくかを考えるということでよろしいか。
- ここでの圏域が、計画圏域なのか実態を把握するための切り口なのかが不明瞭である。計画圏域として考えた場合、生活圏域がこれで妥当なのか、地域ブロックが自立的に意思決定していくために国がブロックの計画圏域を定める必然性があるのか、という問題が出てくる。実態と乖離する場合もある。まずは、実態を把握するための圏域と捉えるべきではないか。
- 現状をみるための切り口であって、この圏域で本当に良いかどうかはこれから議論していくのではないかと理解している。
- 計画圏域を最終的に考えなければいけないことはわかるが、我々の考える地域構造のかつてのイメージに引きづられており、実態を謙虚にみる必要がある。
- 圏域をどのように決めるかは難しい問題である。徹底した地域主義を打ち出すことが基本であり、地域の可能性を如何に引き出せるかを中心とすべき。圏域設定は後の課題であり、地域主義を踏まえて圏域を考えることにより、多様な連携も生み出されてくる。
- ここでいう地域ブロックと各地方支分部局、さらには生活圏域とどのように組み合わさっていくのか。
- 最近は支店を集約したり遠隔で事業をコントロールすることが可能となってきており、人が拠点都市に集約され、各地域から撤収している。これをどうみるか。
- 生活への満足や地域への誇りの背景には雇用機会を提供している産業が町役場以外にあることも大きな要因なのではないか。生活面の充足だけでは地方に人は住まない。
(速報のため事後修正の可能性あり)
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