• 「東アジアの交流・連携」追加資料　資料説明後、質疑応答
• 国土審議会調査改革部会第２回企画運営委員会の議事等について事務局より報告

• 阪神淡路大震災の経験で、道路が不通になり、情報も空白地帯になることを考えておく必要がある。線でつなぐことを考えるのではなく、ヘリポートや浮体式の拠点といった点をつなぐ感覚で考えていくべき。
• 災害時には通信の役割も大切。通信網の整備は民間で行うのが国の方針であるが、災害時の情報提供を考えると国もケアする必要がある。
• 先日の宮古島の台風で、交通、電気、電話が遮断されたが、その中で最も早く回復したのが携帯電話で、固定電話は最も遅かった。災害時の情報提供では携帯電話やインターネットの利用も考えていくべき。さらに、インターネットについては、一般的なC/S方式のみならずP2Pによる情報提供についても考えていくべき。
• 高速道路のネットワーク化については、大都市圏などの高速環状道路が防災の面からも大切であるが、整備が遅れている。環状道路ができれば、最適なパスを選べるのでCO2問題などにも有効である。
• リダンダンシーを確保するために高速道路網を整備することは重要だが、普段使われないのにリダンダンシーだけのために高速道路を作るということは、なかなか国民の理解が得られないと思う。また、高速道路だけで負担するのでなく様々な工夫が必要。
• 安全面からは一極集中のままでいいのか、分散型にすべきではないか。

（環境関連）

• 良好な環境が議題のテーマに含まれているが、資料に出てきてない。インフラがいかに環境と共生していくかについてもっと議論すべきである。
• 日本では自動車が都市の中心部まで入るのを拒むのは抵抗が大きいのでは。中心部の自動車をどうスムースに流していくか考える方がよい。
• 公共交通があまり使われていないのは、車を運転する人は車のコストを不当に低く見る一方、公共交通の運賃等を高く見ることに一因があると思う。地下鉄の乗継ぎやバスルートの複雑さなど、公共交通の利便性にも問題がある。
• 公共交通の利用について、運賃の面で、ICカードによるポストペイ方式の実験が札幌の地下鉄で行われたが、そこでは利用が増えた実績がある。ICカードでは運賃実験が簡単にできる。このようなIT技術もうまく活用して考えることが大切。
• モーダルシフトについては、ヨーロッパではTrans European Transportation Networkという考えで、大都市周辺でネックになっている所は増線すべきとしている。日本では大都市近郊では通勤電車との関係で貨物列車が使いやすい時間帯に増やせない、車両限界の関係で40ftのコンテナがつめないという問題がある。
• 2050年までに人口が3000万人減る、サービス経済化が進む、アジアからの輸入貨物のコンテナ化が進むということをふまえると、モーダルシフトについて、東京と北海道、九州というように国内だけで考えるだけではだめなのでは。アジアからの輸入が近くの港に入り、都市部にトラックで運ばれていくということを考えるべき。
• 静脈物流について、将来、動脈物流の２割程度の物流量になると思っており、もっと大きく取り上げるべき。静脈物流には、コスト負担力がない、季節変動など需給ギャップが大きい等により、ストックの発生、稼働率、地域ごとのインバランスなどの問題がある。
• 日本のアジアからの木材輸入が砂漠化に結びついているのではという見方がある。中国の自然林伐採禁止に伴い、九州から杉を試験的に輸出している例もある。持続的発展のためには環境の面も含めて総合的に国外との連携を考えていくべき。
• アジアとの環境協力という点では、ＣＤＭ（Clean Development Mechanism）についても考えるべき。例として、冷房付車両をジャカルタへ無償で供与したところ、運賃を７〜8倍に設定したにも関わらず満員乗車で、（この運賃を負担できるクラスは車も持っている層なので）その分車の使用量も減ったと考えられる。

（国際連携関連）

• アジアと同程度の距離の大都市間で日帰りのできるヨーロッパに対し、アジアでは不可能。ビジネス上のネックとなっている。
• 成田空港では航空トラブルの際も、深夜の空港から都心に行く手段がない。24時間空港であることが国際的な空港として重要である。
• 関空と成田の利便性について。航空自由化の影響もあり、伊丹、羽田の方が国内移動の利便性が高いので、どうしても国内線は関空、成田からシフトしていく。今後は、国内線・国際線の機能を棲み分けているようでは、国際競争に勝てない。
• 関空での乗り継ぎが悪化しているは、関西在住者の利便性を高めるような国内線のダイヤ設定がされてきている影響が現れているということだろうか。国際線としてのハブ機能が関空から成田に移ってきていることの影響も現れている。
• 航空分野についてもカボタージュを外して利便性を高めるべきである。このままでは、以前の海運分野と同じ轍をふむことになる。

（共通・その他）

• これからの国土計画は、どこに何をどれくらい作ろうということが中心ではないことから、2050年といった長期の課題にどう対応していくかに関心が高まってくる。
• 今回の資料は、今分かっているデータを集めるということに重心が置かれている。下記の視点から、次の国土計画で言及した方が良いと思うことを考え始めるべき。
  • 防災上必要な施設の耐震化など、今やっていないことの見直し、指摘。
  • 短期的には無理でも長期的にはこういうシステム設計をしたいと考えていること。
  • ロードプライシング等、国民の意識も変えないといけないこと。
    特に、今回のテーマの防災とか環境は、起こりうること、解決していかなければならないことが想定しやすく、長期的に考えていくべき。例えば、
  • 防災の面で、あるサイズの都市はどれくらいの空地を用意しておかないといけないか、タンク等危険物のある敷地の対策、災害時の帰宅不可能者への情報提供等。
  • 都市規模に応じてモーダルスプリットについて考えて行くべき。
• 環境や安全について考えるとき、最低限のニーズを満たすためのスタンダードは何かということをまず考え、次のステップでそれを支えるための戦略を考えるということをすべき。