- 日時
17年10月31日(月)10:00〜12:00
- 場所
三田共用会議所 大会議室
- 出席委員
麻生委員、有田委員、磯部委員、沖委員、後藤委員、武内委員、谷口委員、小林座長、千田委員、辻本委員、根本委員、速水委員、星野委員、牧委員、鷲谷委員、亘理委員
- 概要
武内委員に委員長代理指名
- (1)都市的土地利用の整序・集約と自然環境の保全・再生
【新たな国土計画の概念】
- 持続可能な観点からは、都市と農村が、並存ではなく、手を携えてパートナーとして共存するという、循環・共生の観点からのスローガンを打ち出していくことが新たな国土計画の概念となるのではないか。市町村合併が進み、自治体の中に都市と農村が含まれるようになっており、都市と農村を一体として考える契機になるのではないか。
【都市的土地利用を巡る現在の課題】
- 土地利用が持続可能でなくなっている原因は都市化が進んだこと、と考えられるのではないか。例えば地方は自然の宝庫であるが、その保全に必要な人が都市に集中している。更に都市の利便性向上等を中心に考えようとしているが、地方にも目を向ける必要があるのではないか。
- 岡山の都市郊外では、都市的土地利用が撤退している所が多いが、自然に自然的土地利用に変わっている所は一つもなく荒れたまま。空間も意図的にリサイクルできる仕組みを作らないとどうしようもない土地がいっぱい出てくる。
- 都市の拡大という圧力があって土地用途が転用されるというだけでなく、生産(第1次産業)に経済的な魅力がないことも転用の引き金になることも考慮すべき。
- 生物系資源の循環という観点では、生産の場(農地)よりも都市における消費の方がしっかりした意識を持ってないと実現しない。
- 都市の劣化や自然減少という捉え方だけではなく、流域や国土全体の質的な減退があり、それが都市の拡散・拡大に起因しているという、双方向の捉え方が重要。
【国土を巡る諸状況が今後の都市的土地利用に及ぼす影響】
- 美しい土地利用の考え方に世代間のギャップがある。国土計画が、将来長期にわたるものであるからには、若年層にも魅力のあるものにしないといけない。
- ライフスタイルの変化をどのように考えるのかが重要。
【今後の都市的土地利用のあり方】
- 人口減少は、適切な土地利用実現の好機であることを明確にすべきではないか。
- 国土計画にも、経済の実態を踏まえたビジョンと実現施策の構築が必要。
- 欧州のように、中心部には車を入れず、公共交通機関が重要な役割を果たすといった交通機関のあり方を考える必要もあるのではないか。
【今後の都市的土地利用のあり方を実現に向けて促進させる基本的考え方】
- マクロ的な観点からの望ましい土地利用の実現のためには、適正な情報提供により行われる地域間調整が必要ではないか。しっかりした情報提供をした上で地域間競争には意味がある。
- 流域の観点では、上流(農山村部)と下流(都市部)で情報や意識の交流を図ることが重要で、行政はそういうものをバックアップしていく必要がある。
(2)減災に向けた国土利用への転換と防災意識の醸成
【減災に対する国土計画おける考え方】
- 新たな国土計画はISDR(国際防災戦略)を見据えつつ、東・東南アジアの視点を広く持ち、環太平洋の特徴である地震とデルタ都市に繋がる災害的風土の共通性について考え、海外に発信していくことが必要。
- 東南海・南海地震に関して、孤立集落の発生が非常に多いという予測がある。巨大災害をカテゴリーレベルで分類し、どこまでを守るべきシビルミニマム、ナショナルミニマムとして考えるかが重要。
- 海面上昇に対応した防波堤の建設など、地球温暖化に伴う被害の軽減や防止を行う「適応策」について、国全体で考える必要がある。
- 自然現象のモニタリングは重要。例えば、地震は必ずしも予知できないが、検知・情報伝達・避難のためにモニタリングの体制を整える必要がある。
【防災意識の醸成】
- 安全はただという意識では防災意識はなかなか高まらない。防災意識を醸成するためにどれだけ費用がかかっているか明確にする必要がある。
- コミュニティーについては、日本では地区や字の場合があり曖昧であり、国土計画で意思決定の単位について考えていくべき。
- 水害は毎年大きな被害をもたらしているが、地震と比べると防災意識が低い。
【減災と土地利用等】
- ハザードマップについて、バラバラに作成している地震、高潮、火事等を重ね合わせて議論する必要がある。
- 資産、人間が集中したことのよる防災面から規制の取組も必要ではないか。
欠席の三好委員より、都市農地の役割の重要性と制度面の課題等に関するご意見をいただいたことを事務局から報告した。
(速報版のため、修正があり得ます。)
(以上)
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