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 国土審議会計画部会第6回持続可能な国土管理専門委員会
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  1. 日時
     平成18年2月17日(金) 14:30〜17:30

  2. 場所
     サーラ・デ・うすき(大分県臼杵市)

  3. 出席者(12名)

     小林委員長、遠藤委員、沖委員、後藤委員、谷口委員、千田委員、根本委員、速水委員、星野委員、牧委員、鷲谷委員、亘理委員

  4. 概要
    (1)開会
    (2)委員長挨拶
    (3)臼杵市長挨拶
    (4)出席者紹介
    (5)議事
     持続可能な国土管理専門委員会の審議状況と現地調査について
     持続可能な国土管理に関する地域での取組の説明
     意見交換

  5. 主な発言内容

    ●豊後高田市市長 永松氏

    • 田染荘の棚田は美しさ、歴史的重要性から有識者を中心に評価が高まったが、耕作者がいないため水田として利用できず、現在ではその大半が荒地となった。市はグリーンツーリズムと農業の両立を図る仕組みを模索している。当初は住民との温度差もあったが、グリーンツーリズムの先進事例の視察をきっかけに住民の考え方が前向きになった。中山間地域の原風景は、手を加えないと守ることができない。
    ●田島山業 田島氏
    • 林業の利益は昭和55年の20%に減少し、台風の度に山の片付けも必要。林業をやめると、山の手入れができなくなり、山が荒れる。商売を続けているのは、維持管理して美しい山にしていきたいという「林業スピリッツ」である。この状況でも、林業を通じて山を守ることについて諦めていない。森林教室や自然観察を手がけている。
    ●前宇目町町長 小平氏
    • 町長時代に地域の農業を守るため、集落全体にシカ、イノシシ対策の「有害鳥獣防止柵」を設けた。景観を損なう面はあるが、そこまでしなければ地域の農業は守れない。
    ●竹田市九重野地区担い手育成推進協議会会長 後藤氏
    • 九重野地区の高齢化率は52%で、集落の崩壊が囁かれた。谷間に広がる農地を地区内の7つの集落間の連携を図って土地を維持している。年寄りも働く場所がなければいけないし、年寄りの知恵も必要。お互いが協調しあって、地域を支えていくことが必要。「むらづくりはひとづくり」である。それを前提とした上で、国は支援をしてほしい。
    ●後藤委員
    • 担い手が疲弊し、林業を中断する人が増えたせいで森林が密閉し、最終的には針葉樹の放置密林か全伐改植をとるかの選択肢しかなくなる。これ以外の第3の道として、針葉樹と広葉樹が共生できる密度管理を行うことが必要。
    ●意見交換
    【林業について】
    • 杉の立木価格が異常に低くなったことで、林業がビジネスとして成り立たなくなった。今は中国・インドの需要増の影響で、丸太材の国際価格が上がり気味であるにも関わらず、日本の杉は国際価格に連動しきれず価格が下がっている。 一方で川下では大きなビジネスチャンスが生まれている。川上と川下の需給調整機能を作っていく必要がある。
    • マーケットに間伐材が出回ることで、必要以上に安い市場価格が形成されているのではないか。
    • 木材価格が安くなったことが国産材のシェア獲得に結びついていない。需給調整機能を発揮するためには、供給者同盟を作り安定的に木材を供給することが木材の価格を形成する力になるだろう。
    • 間伐等の費用は補助金があるので、木材価格を上げる努力をしなくてもいい状況であり、日本は、世界の木材価格を引き下げる要因を作っているのではないか。
    • 今は間伐の補助金がなくなったら、大半の森林は経営が厳しくなる。その森林を最低限維持するために、ある程度、結果平等のような仕組みが必要。隣の山が崩れると、自分の山にも影響が及ぶため、競争原理を過度に追求されるのは困る。
    • かつては農業や林業の、「業としての持続」が問題であったが、今はそれが転換しつつあり、健全な森林や中山間地域を持続させるためには何をすべきなのか、ということが重要になってきているのではないか。
    【担い手について】
    • 中山間地域では、今の担い手に後継者がいないのが現状である。中心的な人に外から来てもらったり、グリーンツーリズムで次世代の人たちに少しでも永住してもらえるように取り組んでいる。
    • 健全な森林や中山間地域を守るためには、そこで生活し林業や農業に携わる人たちを守っていかなければならないのではないか。人と森林や中山間地域をいかに関係づけて、守るための仕組みを作っていくのかが論点。
    【資金について】
    • 小さな町村で若い世代が土地を持って家を建てる時、固定資産税の免除分を交付税に算入することで、子育てを市町村ではなく国が支援をすることができないか。
    • 農産物価格の下落が続くことが予想される中で、中山間地域直接支払制度の補助金は、地域単位に交付をしても人々は生活ができない。大規模な農家に直接補助し、農地の集約化を促進することで、価格の下落に耐えうる農業にできるのではないか。
    • 30年前、1本の杉の収益を個人に帰属させずに、まとめて集落単位で分配して公民館の維持・補修に充てたことが「集落営農」の考え方にもつながった。直接支払い制度の集落の共益費も通常より率の高い3分の2としている。
    • 補助金政策に頼りきりではダメだが、今の実状では補助金がなければやっていけない。金を使い捨てないため、産学官連携によるマーケティング等を行っている。
    【その他】
    • グリーンツーリズム、景観維持のために、どういう農業をやっていくかという目標を明確に定める必要がある。
    • 山林体験は一種の「メディア」。山の手入れをすることによって人と自然、都市の人と山の人が交流するきっかけを作っている。そこに森林の新たな価値があるのではないか。
    • 台風の被害後の山を見て、国土に目が行き届いていないことを痛感した。実際にこのような風景を見て、国土の隅々まで神経がいくような機会をもっと作るべき。

(速報のため、修正があり得ます。)

(以上)


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