メニューを飛ばしてコンテンツへ進む
サイト内検索

 国土審議会計画部会第8回持続可能な国土管理専門委員会議事概要
ラインBack to Home

 

  1. 日時
     平成18年6月1日(木)、18:00〜20:00

  2. 場所
     虎ノ門パストラル、新館6階、アジュール

  3. 出席委員
     小林委員長、麻生委員、有田委員、磯部委員、沖委員、後藤委員、谷口委員、千田委員、辻本委員、根本委員、速水委員、星野委員、牧委員、三好委員、鷲谷委員、亘理委員

  4. 概要
    (1)開会
    (2)議事
     1持続可能な国土管理専門委員会中間とりまとめについて
     2その他(今後の検討の進め方など)

  5. 主な発言内容

    (1)持続可能な国土管理専門委員会中間とりまとめについて

    • 3頁のバーチャル・ウォーターは食料以外もあるので「食料輸入等」として欲しい。
    • 9頁以降の「流域における水循環との調和」では、何が水循環と調和したのかが分からないので、例えば、「流域の水循環と調和した国土管理」ということではないか。
    • 12頁で、流域についてだけ「できる問題から挑戦する姿勢」が出てくるのは唐突である。できる問題から挑戦するのは、国の計画として基本であり全体を通して言えること。敢えて流域で記載した理由は何か。
    • 12頁の(2)2の2ポツ目で、「流域の土地利用の視点から災害リスクを前提とした国土づくり」ではなく、「災害リスクを考慮した流域の土地利用による国土づくり」が適正ではないのか。検討願いたい。
    • 13頁の(2)5の3ポツ目で「人の支援」とは具体的にどういうことか。
    • 流域を巡っては、課題ごとに対象とする流域の規模が異なるので、課題に応じて対応すべきとの問題意識。
    • 「人の支援」とは、「(内部での)人材育成」と「外部から人材を入れて協力体制を築く」という2つの意味を持っている。
    • 「国土の国民的経営」について、国土管理を日本人だけでできるのか。特に地方では疑問に感じる。NPO等人的支援があるとしているが、将来も継続して都市部から応援が続くのか保証がないし、リタイヤした人の趣味で行っている面もある。
    • 全体的な議論でも落ちていたが、我々の世代だけではなく、以前の世代がもっていた志を次世代に継承するという部分がないと、持続的な国土管理はできないのではないか。尽力するということをどうやって作っていくかについても触れてもらいたい。
    • 「国土の国民的経営」は、本来の営みを通じたという部分がベースにあり、国民の協同と参画があるというふうに整理している。地域への愛着や関心などの新たな動きを捕まえてやっていこうとしている。
    • 「国土の国民的経営」について、都市部はよいが、現地、農山村では農地と山林の保全が必要だが、業を営める状況ではない。ボランティアだけに頼るわけにもいかないので、これをどう続けていくかということで悩んでいる実態があるということを理解していただきたい。
    • 18頁 1.(1)現状認識の4ポツ目について、最近は、古くからの所有者が維持できなくなった森林が大きな単位で動く場合があるが、そうすると大きな企業でないと難しい。不在所有者の増加を前提とした仕組みがないことが問題ではないか。
    • 19頁(4)の1ポツ目について、地域によっても状況は異なるし、日本はかなりの量の木材を輸入しているが地球環境に配慮しているとするため、「多様な樹種からなる森林の整備」ではなく「環境から配慮された森林の整備」とすべきではないか。
    • 「国土の国民的経営」について、都市のお金や企業のお金が森林に入る仕組みが必要。企業が環境目的に森林を所有することがあっても良いのではないか。
    • 企業が大規模な森林を購入する場合、それがCSR(企業の社会的責任)によるものかは分からないが、環境報告書に企業として価値のある数字を載せることができるのであれば、企業としてもメリットがあるのではないか。企業が価値を持つ数字を与えられる、企業の背中を押すようなものがあれば良いのではないか。
    • 企業が大面積の森林を購入する動きがあり、その目的がCSRであるか、環境報告書に掲載するかはっきりしないところはあるが、大きな資金が動く。そのような動きを後押しするようにしてもらえれば、企業も森林管理に参加しやすくなるのではないか。
    • 国土管理と社会システムの管理を切り離すことはできない。横断的な5つの視点を利用区分別の土地利用に並べてみて、もう少し上手く反映させる必要があるのではないか。
    • 地目別の管理を国民的経営で行いたいという話があったが、できない部分もある。強制力を排除し自由使用の中でバランスを取ろうとしたためボランティアしか書けなかったという感じがする。自由使用の中から生まれ出る流れは、横断的な視点を持ち込んだためできているが、もう少し練る必要がある。それを具体的にするにはどうすればいいのか、中間報告以降で議論する必要がある。
    • 土地利用ですら自由使用に任せると、ボランティア的な土地のやりとりでなければ土地利用のバランスが取れない。ましてや経営にかける資源投入を考える場合には、自由使用とかボランティアの意識だけではできない部分があるのではないか。
    • 5つの横断的な理念を押し進めれば、ボランティアや自由使用の中に持続可能な方向性への移行はあるかも知れないが、どこまで5つの横断的理念から推していくのか、ボランティア的なものがあるのか、そのバランスについて、今後議論する必要があるのではないか。
    • 一方、流域の分類は、上流、中流、下流に分けられ、また他方、林業地、農地、工業地、沿岸という区分をしたが、その際抜けるのが自然域である。使い方だけで土地を区分するのではなく、全体バランスのためにも、環境的生態的保全の面から自然域の確保は必要ではないか。
    • 今後の森林管理のあり方(19頁)の一番下のパラグラフについて、森林管理の省力化が、環境に役立つ点を強調すべき。
    • また、今後の農用地等の管理のあり方(21頁)の一番下のパラグラフについて、農地も管理投入量を少なくすることによって、エコロジカル・ネットワーク形成の評価につながる等積極的な面も書き込むべき。
    • 林業地域であっても捨て去られた部分について生態系サービスというところはあるという点、国土のバランスとしては自然域を残すべきと考える。生態系サービスというふうにとらえ、とりもどすというふうなところはある。省力化は逆に業の方からすると生産力が低下するというところもあり、目的とはずれていくのでは。農地も集中的にはモノカルチャーなので多様化は問題の部分もある。ポイントを絞って、何が業で何が自然かは分けた方が良いのでは。
    • 農業と森林管理は違う。一定面積あったら、どこか環境配慮しようとする動きある。所有している1,000haの森林の一部を環境生態系保護区としている。人工林と比較して、植物の種類の観点から乖離しない管理を目指している。森林認証をとっているが、枯れ木を何本残すかという観点も入ってきている。生態的な面もあるし、自然環境維持の林分も林業経営の中に入ってきている。
    • 持続可能な経営ができるようにという提言をして、荒廃農地をみんなで助けていこうということは嬉しい提案であるが、理想に終わる心配がある。
    • 具体的な運動にしていく必要がある。様々なメニューがあり、環境税も1つのツール。さらにいろんなツールを考えていこうというのが国民的経営。
    • 資料2−1の「人間活動と調和した物質循環の構築」の(2)1の標題「持続的な国土利用により循環を狙う産業の方向」では施策の方向性が表現できていない。農林水産業を自然の物質循環の点から再評価して再構築するということを明確にすべきでは。同じ文章のランドスケープの部分(17頁)について、帰属意識をいかに醸成するかという方向性は必要。1から3は担い手の形成や仕組みづくりについてはふれられていないので、4で地域社会のコミュニティ形成の仕組みづくりといったことも打ち出すべきではないか。
    • 都市的土地利用の最後の黒丸(24頁)について、公益と私益は一致する。十何年前の土地基本法の公共利用の促進ということでも述べており、当然こういうことになる。委員会の議論の新しい要素は、持続可能な国土管理を持ち出したこと。括弧内の記述も土地の価値が減じるというのが新しい見方であり、言葉を換えれば、土地の有効利用の中に持続可能な国土利用を組み込むということではないか。持続可能な国土利用がなされなければ有効利用とは言えないという発想と捉えた。
    • 最後の御意見は、難しい部分。表現について違和感はないか。
    • 違和感はあった。公益の中に、有効利用がある。持続可能な有効利用を打ち出し、それを図ることにより、財産権の更新も自分自身にとっても利益になる。その意味で自由な土地利用と持続可能な土地利用は両立するということではないか。
    • 社会的な意識が醸成されると動くのだが、簡単なことではない。表現を工夫した方が良いのではないか。
    • 今後の都市的土地利用のあり方(23頁)の7つ目の段落の「これまでと逆方向の土地利用転換を図ることが重要」は疑いがないが、これ以降の書きぶりが「多自然居住的なライフスタイルの場の提供、クラインガルテンなどに対する要請の高まり」と控えめで弱い。都市計画による規制を強化するというやり方もあり、多様なメニューがあることを示してはどうか。
    • 2点目として、国土利用計画の計画期間を何年にするのかという問題。内容により、短期的なものと、長期的なものに分かれる。例えば、減災については、短期的な観点は書き込まれているが、長期的な観点からは無防備な計画になっている。その辺りは今後ご議論頂ければと思う。
    • 計画期間はさまざま、現行の21世紀の国土のグランドデザインは10〜15年、4つの全総は10年のものもあれば20年のものもある。計画部会でも議論をして頂いているが、どこをみこして計画を書くかというのもテーマの1つ。
    • 中間取りまとめ(案)では、現状を踏まえていかに持続可能性を確保していくかという視点が強いが、実際には、今後も開発や利用は進められると思われる。この場合、このような国土利用が進んでいくことと持続可能性をどう調和させるかについての視点が現中間取りまとめ(案)では弱い。例えば、集約型都市構造の記述に「省資源型」などの表現を追加したらよいのではないか。
    • (1頁)都市、森林、農用地、沿岸域、海洋、水とあるが、水だけ扱いが異質に見える。「単体」ではなく「別個」として、「水循環を通じた…」としてはどうか。(4頁(3))管理水準の低下にあたるものにそれとは違うものがあるので、「社会変化に管理が適合できていない」という趣旨にしたらどうか。(12頁(2)A)流域における安全・安心の確保…は「防災と持続可能性をどのように調和させていくのかが重要」のような趣旨にしたらどうか。
    • (25頁(4))海洋、沿岸域の将来像をまず示すべき。その将来像を踏まえて、できることを具体的に進めるべきという仕切りで良いと思う
    • (国民的経営の資料)防災で避難するということ、市民一人一人が参加しないと実現しない事柄がたくさんある。全体とすればマイナーかも知れないが、こういうところに、国土の国民的経営をしなければならないという必然性のあるものが隠れているのではないか。
    • 地域管理は重要で、これがどう有機的関連をもって国土管理につながっているのか整理が必要ではないか。課題の有機的関連性については整理されているが、空間構造をどうとらえるのかということを整理することが必要ではないか。今後の計画の議論の中でのことかも知れないが。
    • 地域管理については、他の専門委員会(自立地域)で議論している。そこは、他の専門委員会との中で整理していく。
    • ランドスケープのとらえ方や定義についてはまとまっていると思う。循環と共生や安心安全も含まれるが、元々ランドスケープはトータルの概念。抽象的との意見もあるが、トータルの側面を持つもの。
    • 「美(うるわ)しさ」は、うるおいに通じるもの。いろんなシステムを包含するので良いのではないか。元々、いろんなシステムを含んだ用語だということを言いたい。
    • 16頁下(5.(1)1ポツ)のところで、ランドスケープを構成する要素が、自然のもの、人工のものといった形で分けられて書かれているが、表現を工夫してもらえないか。例えば、都市と(人工)森林の中間に田園の風景があるが、こうしたものこそ国土の美しい景観・空間として重要なので、自然と人工で分けるのではなくて、関わりの中でいろんなグラデーションがあるという書き方はどうか。
    • 17頁上の黒丸で指摘している問題点にプラスして、「ランドスケープと人々をつなぐ仕組みが出来ていない。一般の方がアクセスできる仕組みが整っていない」ということを明らかにする必要がある。そうすることにより次に(2)1の黒丸に続くことができる。
    • 21頁の農用地の管理のあり方については、多面的機能に入っているのかも知れないが、ランドスケープに配慮した農用地の管理といったことを書くべきではないか。
    • 「(1頁)防災意識が低下する」と「(5頁(2))国民の防災意識の高まりを見せている」の統一をとること。私見として、防災意識は高まっているというのがあるが、安全に関する意識が高まっていると考える。
    • 全体のトーンとして、持続可能性と防災との関連について、小さなリスクと、大きなリスクがあり、持続可能性で失敗すると誰が損をするのか。8頁の「地域における自律的な管理」のように、防災について、自分の問題としての意識を持って取り組むことが重要ではないか。
    • それを裏返しとして、失敗した責任は我々が受けるという責任論。だめだったら私たちが負の面を享受してしまうことと、担い手についても、もう少し、誰が責任をもってやるのか、山が荒れると困るのは都市の人たちかもしれないし、どういう責任があって誰がその被害をうけるのか、ということについて、文間を読めばわかるが、もう少し明確に書くべき。
    • 自然域に関する記載が少ないのではないか。また、健全な生態系の維持ということで、エコネットが主体的に書かれているが、つながっているばかりでなく、隔離されている奥山の自然性の高いところにも存在価値があるので、そうした箇所の保全といった観点を入れるべき。
    • 23頁の今後の都市的土地利用の管理のあり方について、郊外部について自然的土地利用に戻すとのことであるが、多自然居住的なライフスタイルの提供や、クラインガルテンの事例が出てくるのは違和感がある。
    • 開発について、保全のための条令などは整備されているが、開発は先に進んでおり、私権の制限は出来ず、環境の公共性は重要視されない。また、開発優先ということが目につくことからも、私有地であっても環境の公共性が高いものについては規制をかけてしかるべきということが入れられないか。
    • 国民的経営について、事務局からは、ボランティアに頼ろうということで考えているわけではないという点は良いと思う。NPOについては制限があり仕組みが厳しい。NPOという形をとった方が有利ということもある。会社法もできたので、民間の仕組みも活用する余地があるのではないか。
    • 国民的経営の具体的な中身を書くことが必要。誘導するための方策としての税制、規制など。ビジネスとボランティアの極端な話ではなく、その中間を何にするのか、一般的に考えられているのはPPPのようなもの。PFIや指定管理者などの仕組みもふれると良いのではないか。国土管理サービス自体が公共サービスであるとして、官が委託料なりを払って民にやってもらう。PFIだと2割ぐらいコストダウンされるので、具体的な試算をもって議論するだけでリアリティがあり、方向が見えるのではないか。
    • 今までの仕組みを代えた場合に、どのように代わるか議論するというもの。
    • 都市部の不動産の世界では、所有と管理は分離していく方向にある。特に、今回の森林の話を考えると、経済的価値の変化のスピードに森林の成長が追いついていないということかと思うが、お金を出して、森林を保有した人が固定資産税と管理責任も負うことになるため、保有したいという人が見つからないこともあるのではないか。
    • 産業再生機構が取り上げた案件で、炭坑の坑道の梁に使用するために山林を保有していた会社が、その山林の買い手が見つからず困ったことがあった。どこかに所有と管理を分離し、所有者に対し何らかのインセンティブをつけるものがないだろうか。資料の 19頁のナショナルトラストで多少触れられているが、こうしたものも方法として本文に書けると良いのでは。

(速報のため、事後修正の可能性があります。)

(以上)


戻る
ライン
All Rights Reserved, Copyright (C) 2006, Ministry of Land, Infrastructure and Transport