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 第3回基本政策部会・議事概要
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1.日時 平成13年10月29日(月) 15:00〜17:00
2.会場 三田共用会議所 講堂
3.出席委員
  (敬称略)
中村(英)部会長、池谷、井上、岩崎、奥野、香西、斎藤、柴田、生源寺、須田、高橋、武内、丹保、鎮西、堤、寺澤、中井、中村、西垣、端、平田、藤田、森地、矢田、渡辺
4.議事
(1) 中間報告(素案)について
「国土の将来展望と新たな国土計画制度のあり方」の素案について事務局から説明。
第4回部会に案を諮るに先立ち、各委員から素案に対して意見等を求めた。
(2) その他
5.主な発言内容
「中間報告素案」全体に関する発言
14ページの「二層の『広域圏』」の議論が、23ページ以降の広域ブロック計画のあり方とうまく結びついていないなど、第T部の課題に対して第U部で対応していないところがある。
国の戦略が非常に抽象的で、地方の計画が具体的であると、地方分権の時代においては全総の意義が薄れていくので、国の役割を明確にする必要がある。
国際的な観点から国土計画を制度化することは非常に難しく、海外と連携した協議会を設けて、相互の国土計画の関連性を見出していくくらいが限界と考えられる。
中間報告で期待するのは、「国土の均衡ある発展」という考え方がどうなるのかということ。これまでの過疎化、高齢化、経済的な疲弊と今後10年のそれとはかなり様相が異なるにもかかわらず、インフラの作り方に違いはないのか。
国民がこの審議会に期待する最大のものは重点化・絞込みの哲学であるが、それは何か。
海への視点が全くないのではないか。国際的な連携も考えているのではあれば、海の扱いを考えたほうがいい。
20ページで沿岸域について書かれているが、これは様々な問題が発生している地域であり、もっと積極的な取り組みが望まれる。
国土計画体系からはずれる議論かもしれないが、ハンディキャップエリアについての制度がばらばらである。この体系を組替えないと新たな計画を作ったときに持たなくなる。
「第1部 国土の将来展望と国土計画の新たな課題」に関する発言
「1.国土の将来展望」に関して
(「(1)人口減少、少子・高齢化の下での地域人口の展望と活力ある地域社会の形成」に関して)
今後、労働力人口の減少を補う高い労働生産性の上昇を維持していくためには、各地域の特性に応じた、労働力人口の適正規模を実現することが必要ではないか。
2ページでは、「将来の高齢者比率は地方圏における主要都市1時間圏外や大都市都心部で高く」となっているが、常識とかけ離れていないか。私の推定では、大都市圏の都心部と地方圏における主要都市1時間圏内は有意な違いはないように思える。
(「(2)投資制約と社会資本の整備・管理」について)
更新投資を行うことが、社会資本の有効活用の観点から如何なる役割を占めているのかが不明確である。
(「(3)経済社会の新たな潮流と地域発展の展望」に関して)
将来展望の中の地域の扱いが主役になっていない。地域が展望の柱になってくることを書けないのか。
「地域資源」という用語は、産業振興的な使い方をしているが、これはもっと長期的、総合的なものであるはず。日本社会の長期的発展のためには、地域資源の文化的・社会的開発などdevelopmentの意味を広義に捉える必要があるのではないか。
ITについては、経済、社会、雇用にどう影響するかまだわからないことがある上、負の側面もあり得る。
(「(4)循環型・環境共生型の国土形成」に関して)
新しい国土計画は、持続可能な社会を実現し、恵み豊かな環境を継承していくための基盤であり、国土づくりのあらゆる側面で環境配慮を織り込んでいく必要がある。
今回の課題は計画制度をどう変えていくかであり、これから作ろうとしている制度に環境等の視点がどう収まっていくのかが重要である。
環境は人類の生存基盤であって、危機的な状態にあるという認識で書くべきではないか。また、現在の国土利用計画を見ると、自然を守るとの文章はでてくるが、土地利用の段階では成果は得られていないが、今後どう改善していくのか。
日本には渡り鳥もおり、国際的な観点からその保全を考える必要がある。
国土づくり、地域づくりにおいては、個別事業の環境アセスにとどまらず、施策や計画段階での環境配慮など、あらゆる側面での環境配慮が必要と考える。
里地、里山等の身近な自然について、地域の特性に応じた保護策が講じられなければならないと考える。
環境基準や排出基準で規制をかけることによる環境保全に加え、海底や沼の底という見えにくいところの環境の回復策が必要ではないか。
環境問題で一番重要なところは都市の扱い方ではないか。都市の異常さとも言い得ることをどう国土計画の中に織り込むかが重要ではないか。
「2.国土計画の新たな課題」に関して
今回の新たな課題の内容は、人口問題、グローバル化、高度情報化等と従来のものとあまり変わっていないのではないか。例えば鉄道、道路等ネットワークそれぞれの整備にやや整合性がないので、インフラを直すことによって相互連携性を高めるといったように、21世紀の骨格を作るという前向きな発想で捉えられる新たな課題があるのではないか。
計画制度の改革は新しいことを書いてあるが、新たな課題について踏み込んで書いているところが無いように思う。
「第2部 国土計画体系の改革」に関する発言
「1.国土計画の改革のねらい」に関して
新しい国土計画のあり方として、指針性を高めるという点と評価、マネジメントの問題を取り扱うという点は、賛成である。
現在の国土計画の体系は地方分権一括法の施行前の体系であって、施行後は国と地方は上下主従関係ではなくて役割・機能が違うこと、また対等であることをもう少し鮮明に出したほうがいい。
「3.広域計画のあり方」に関して
広域圏の意思決定の仕組みをどうしていくかは今後の課題であるが、素案の内容は、国の関わり方について抽象的記述と具体的記述が混在しているので、少し整理したほうがいい。
地域ブロックとしての施策が非常に重要になるが、大規模な港湾や空港の整備が複数の地域ブロックにまたがって行われることは、国の戦略として考慮されるべき。
計画圏域によって計画制度そのものを選択できるようにしてもいいのではないか。圏域によっては国の関与度合いは違ってよく、運用においてもバリエーションがあっていい。また、広域ブロックの重複はあってもいいと思う。
素案では、広域計画についてのスタンスにばらつきがある。14ページでは「二層の『広域圏』」の議論がされているが、25ページでは「都道府県を越える広域圏を単位とする政府が存在せず、‥計画の指針性も発揮できない」となっており、両者の中間部分が議論されていない。この点、広域連合は、国の施策の広域的な受け皿として重要な役割を果たしうる制度であるが、今回の報告書では一言も触れられていない。
国土計画はそれ自身のスタンスが必要。都道府県計画を組み合わせれば国土計画になるとは認識していない。国土計画における基本的な指針性及び実効性を維持するシステムを研究会において提案したが、今回は広域ブロックを目玉として提案しており、それを詰めていくことが今後の検討課題である。
地域ブロックの広域計画を実施する方策として、例えば、イギリスでは現行の国と地方政府の枠組みを維持しながら、省庁横断的な地域の自発的プログラムについて補助金を出す組織があり、アメリカやイタリアでも同様の枠組みが出来ている。
ブロック計画を作る場合、関係地域の意思疎通が十分円滑になされるよう、例えば県の代表やブロックの経済団体を入れたワーキンググループを活用する方策も考えてはどうか。
「4.土地利用に関する計画制度」に関して
(「(1)基本認識」に関して)
「4.土地利用に関する計画制度」の中に「土地の所有から利用へ」という土地基本法の精神は入っているが、土地基本法という言葉が一度も出てこない。土地利用に関する計画制度の一番の基本理念は土地基本法であることを明確にすべきである。
農地と都市との中間地帯などにおいては、「土地利用のあるべき姿」そのものが描けないことが問題である。あるべき姿を描くプロセスの検討が必要である。
27ページに「土地利用については、私有制に基づき土地所有者の財産権が保障され、自由な経済活動が行われている市場経済の枠組みの下で、」とあるが、土地の自分勝手な利用を奨励しているような誤解を与えかねないのではないか。
27〜28ページの「今後とも、土地利用をめぐる課題の発生が見込まれる中で、的確に対応していくためには、その発生は制度に問題があるのか、あるいは制度は存在するものの、運用に問題があるのかを見極める必要がある。後者の場合は‥、前者の場合には‥。」という記述は、悪く言えば評論家的書き方であり、事務局としてどういう現状認識をお持ちなのか。
今後は、定期的に土地利用を評価する仕組みを導入すべきである。その際、市町村レベルでは即地的な土地利用を図面を用いて監視し、計画上の土地利用との乖離度を評価するような仕組みを作り、一般に公開していくべきである。
合理的な土地利用を実現するためには、計画制度だけでは如何ともしがたい側面があり、税制も重要である。無秩序な土地利用に対しては厳しい税制を適用するようなことも検討すべき。
(「(3)地方公共団体の土地利用に関する計画」に関して)
31ページには、国土利用計画と土地利用基本計画の連携を強化とあるが、都道府県段階では一緒にすべきである。分かれていると市町村や一般の国民には分かりにくくなる。
国土利用計画と土地利用基本計画を統合することは、形式上はいいが運用上は難しい。前者は抽象的かつ長期的な構想を描くものであるのに対し、後者は具体的かつ短期的な見直しが必要な土地利用調整の実務的性格を持つものであり、これを各都道府県及び市町村レベルで統合していいのか検討が必要である。
環境等の問題については、個別規制法に基づく計画で対応すればよいとの考え方もあるが、国土計画で強く言及し、国土計画から他計画に要求していくことも考えられる。
土地取引の規制は、私人に対する直接的な規制であり、今後とも制度として維持するのであれば、その説明が必要である。
33ページに改正地方自治法により独自条例の制定が行えることが明確となったと書いてあるが、憲法第29条第2項との関連からこのように言い切れるのか。
土地利用計画のIT化に関連しては、どのような内容の地図情報を提供するかが重要となる。
 
(以上)



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