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 第4回国土審議会議事概要
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  1. 日時
     平成15年12月10日(水)15:00〜17:00

  2. 場所
     赤坂プリンスホテル 五色「新緑の間」

  3. 出席者
    <委員>
     秋山会長、一川、亀井、高木、鉢呂、藤井、柳澤、草川、久世、西田、山本、井上、大西、川勝、生源寺、榛村、須田、中村(英)、根本、藤原、森地、矢田

  4. 議事
    (1)開会
    (2)齋藤大臣政務官挨拶
    (3)議事 調査改革部会における検討状況について
    (4)閉会

  5. 主な発言内容(順不同)
    • 全国総合開発計画がそのときどきの国土政策の方向性を定めるものとして果たしてきた役割は大きい。全総、新全総は、高度経済成長下における計画として、豊かな環境の創造に向けて、日本の国土に果たした役割は大きい。三全総、四全総は、低成長、安定成長のもとにおいて、人間居住の総合的な環境の整備、さらには多極分散型国土の形成を誘導した功績は大きい。現行の「21世紀の国土のグランドデザイン」では、参加と連携とう理念のもと、地域連携軸等の4つの戦略をたててその実施に努めていることも、方向性としてはうなずける。
    • 国土計画については、この国のかたちを示すという大きな使命がある。その場合、これまでの国土計画はそれぞれの時点における意味があった。最初の4つは、日本が欧米と国際競争するための国土計画。「21世紀の国土のグランドデザイン」はグローバル化時代、なかんずく東アジア地域との関わりのなかで日本の国はどうしていくかという国際的視点が入ったという点で非常に新しい。日本を一極集中から多極分散型に変えていくために、4つの国土軸を出した。そのための戦略として、多自然居住地域を居住空間に変えていくということを出した。この2つの大きな柱を踏まえて総点検してほしい。
    • 現在、国政は構造改革のさなかにある。国土政策も例外ではない。国民の声としてよく聞こえてくる話は、この改革の先にある国の姿はいかなるものかという問い。まさに、国家像、国土像の問題であろう。将来の国、国土の姿を示すことこそが国の役割であり、国土計画に求められていること。
    • 構造改革は、総論賛成各論反対で、全体としては総論としていいが、いざ現実になると、それぞれの現場から自分のところという声がでてくるだろう。全体感と地域に根ざした見方と整合性をもたせてやってほしい。交通情報通信と国土構造について、部会、専門委員会の意見はまさにそのとおりだが、公共交通やインフラの整備の必要性を誰もが現場では感じているが、それをどうするかという話になると、道路公団の話でもそうだが、現実とギャップがある。
    • 「21世紀の国土のグランドデザイン」策定のとき、国土庁長官だった。構造改革の中で欠落しているのが国土構造の改革という視点。国土構造を変えていくという中で、均衡ある国づくりがこれまでの全総の理念としてあったわけだが、小泉内閣になってから、骨太方針のなかで、均衡ある国土づくりはまちがいであったという指摘があり、反論して文章を変更してもらった。均衡ある国づくりの意味は、広い国土をのびのびとゆとりをもって使おうということ。竹中大臣あたりと議論をすると、均衡ある国づくりを目指したために、全国どこへいっても同じ、いわゆる金太郎飴の地域になってしまった、したがって、これからの国づくりの理念は、地域の個性を生かした地域間競争ということを言う。私は、それは手法の話であって、そういうことは全総をつくる際議論したこと。全国同じ地域をつくるために全総をつくったわけではなくて、広い美しい国土を広々と余裕を持って使おうという意味。藩政時代、人口は定住していたわけであるので、新しい世界に向かって、広域国際交流圏、多自然居住地域、複数の国土軸をもった国土形成といった目標、戦略に基づいて、日本国土にまんべんなく人口が定住できるような国づくりを考えようということだった。
    • 均衡のある国づくりについては、地方にも財源を落としていく、いろいろなものを全国につくっていくといったイメージがついている。言葉はここらで変えたほうがいい。
    • 東京一極集中をどう考えるかでてこない。人もモノも金も東京に集まっている一方、大阪は苦しんでいるところ。首都移転も国会の移転委員会がなくなり、羽田が再拡張されるなかで、東京一極集中は強まるのではないか、それをどう捉えるかということにコメントがほしい。
    • 今進んでいる市町村合併の動きであるが、県主導であり、全総と整合性がとれなくなってきているという危機感がある。広域国際交流圏や地域連携軸の展開と関係なく、市町村合併の枠組みが作られようとしていることを心配している。21世紀の国土のグランドデザイン」を進めていけば、自ら道州制にいかざるを得ない。市町村合併についても、全総の理念を政府内で調整してほしい。それを踏まえた合併でないと意味がない。たとえば過疎で苦しむ町村をたくさんくくっても自立する力はでてこない。拠点都市を含んだ合併でないと意味がない。政府内でしっかりした意志の統一をはかってほしい。
    • 行政という単位、市町村、都道府県の線引きは、価値観が多様化しているなかで、住民にとってどれだけメリット、デメリットがあるのかという視点も必要になってくる。税をとられる中にあって、それが地域で還元されているのか。もしくは、東京に人が増えて、その周辺にも人が多いなかで、住んではいるが生活の大半は東京という市町村では、線引きがあまり意味がないのではないだろうか。何が住民にとってプラスになるか。
    • これから策定される国土計画では、今までの長い国土計画の歴史のなかで、はじめて人口減少の計画が生まれる。それも高齢化と少子化を伴う人口減少となる計画を作らねばならない。国土は開発とともに利用、保全も重要と認識している。また、アウトプットからアウトカムへ、プロジェクトからプログラムへ、ハード重視からソフト重視へ、といった観点をぜひ考慮に入れてほしい。
    • Plan-Do-SeeのSeeの作業をやっているところだが、行政の無謬主義の性格があり、あまりチェックが機能しない。今日のレポートも五全総の意義と限界がきちんと整理されていない。五全総の整理と、これからの国土のあり方を考えるときに何が重要かということを導くといったメリハリのついた整理をしたい。
    • この国の形をどうするという根本問題。高度成長から低成長へ、また、人口動態も変わりつつある我が国をどういう形にするか。その場合、一つは、従来の効率、国際競争力を追求するエコノミック・デベロップメントの面。もう一つは、人々の生活、自然との共存、あるいは日本人がかつて伝統的に持っていたコミュニティ、地域社会をリバイブさせるためにはどうしたらいいのかという視点、ヒューマン・デベロップメントの面と2つある。私としては後者、ヒューマン・デベロップメントについて、今後の作業をしっかりやってほしい。いうなればソフトパワーの問題。
    • 4極の社会構成という指摘については、村や家族といったよい側面を、新しい現代的な形で再現し、地域のなかでコミュニティを構築しなければならない。ヒューマン・デベロップメントにアマルティア・セン等のヒューマン・セキュリティを足してもいい。産業構造の変動に適応できないと地域全域が衰退する。その中でヒューマン・セキュリティをどう担保するのか。1時間圏外の地域についても希望がもてるという議論を期待する。
    • これから人口減少する中において、地方における各種サービス提供という観点から、二層の広域圏は一つのアイデアと思う。これを机上の空論に終わらせないために、実現のための具体的な政策が必要。過去にも生活圏については、新全総で広域生活圏が提案され、これを受けて建設省では地方生活圏、自治省では広域市町村圏が設定された。三全総では、定住圏の構想が提唱され、これを受けて自治省では新広域市町村圏がより充実したものとして定着している。これまでの生活圏政策に対する評価もしなければならない。現在進捗している市町村合併の行く末も見据えながら、具体的検討が必要。同時に、広域ブロックについても、具体的にどう設定するのか。「21世紀の国土のグランドデザイン」で提案されている広域国際交流圏との関係はどうなのか。地方制度調査会では道州制についてかなりつめた議論がなされている、これも考慮して本審議会においてつめなければならない問題だと思う。ここでいうブロックについては、ブロック法に基づくブロック計画とどう関係するのか。同時に既定の制度としてあるべき計画が国土政策として、どのような意味があるのか。これらがより実効性があるものとなるように検討を加えてほしい。
    • 広域圏を2つに分けたのは卓見。この地域ブロックこそ新しい国の形。地域ブロックは10のブロック(関東、東北等)とあるように見受けられるが、果たしてそれでいいのか。
    • 北海道をオーストリア、中国をベルギーと比べたりしているが、こういう比べ方をして説得力があるのか。地域ブロックを考える場合は、東京と他の地域と均衡がとれるかどうか、国際競争力がとれるかどうか。東京圏、首都圏と比較となるとブロック間格差があるので、東京を基準にとるべき。国際競争力となると、先進国並の規模をもたないといけないので、最低でもカナダくらいの規模をもたないと地域ブロックはやっていけない。そういう観点から、10のブロックはブロック間の連携を高めるべき。そして、どういう単位までまとめるかというときに、「21世紀の国土のグランドデザイン」で出された4つの国土軸、すなわち4つくらいに国土を分けても十分にやっていけるという示唆が出されている。日本の国力はGDP500兆円なのでカナダの6倍、英仏の3倍。それを4つに分けても十分に先進7カ国サミットに出て行ける。中国地方がベルギーと一緒だから中国にがんばれといっても、関東と比べると雲底の差があるので、関東から支援を受けるということになりかねない。中国、四国、九州をまとめると東京と等しくなるとか、中国+近畿で首都圏と対等になるといった視点をもってほしい。その際、これからの国際競争は、欧米ではなく、アジア。観光の話があったが、中国への外客数の増加は著しい。中国では人集めが国家戦略になっている。東アジア間の連携を強めていこうといった甘いレベルではなく、世界GDPの1割を占めるのが観光産業に関わっているので、ここに関しては、もっと厳しいアジア地域間競争に耐えうるような地域ブロックを考えていくという姿勢をだしてほしい。
    • 21世紀は、一国(ネイション・ステイト)主義の中での国土形成の時代から、経済社会、情報、文化、技術を含めて、世界が一体でつながるという時代。加えて、人口も減少していく社会。この2つの全く違う意味の中で、国土の問題を考えざるをえない。中長期計画の意味が前よりハードに完結型で線をひけない。オープン・スタンス、オープン・システムとして考えなから、同時に、中で暮らす国民の生活の質を考えなければならないという難しいスタンスをとらなければならない。非常に苦しいけれども、21世紀は世界の構造は変わっている。東アジアコミュニティ形成という中長期の展望、変化に我々が適応していけるような国土形成という視点をもたざるをえない。変化に適応する力をどのようにたてていくのか。産業という視点からみると、1,000万人単位のメガロポリス、上海地域等との連携、しかも国境を越えて直につながっていくなかで産業が動いていく。その中で日本の生きる道も求めざるを得ない。メガロポリス間連携を考えながら、かつ、生活の質をどう担保するのか。
    • 生活圏はだいたい1時間圏というのはリーズナブル。広域ブロック間連携をつけながら、もっと大きな視点で、21世紀の世界で生き残っていくのが1,000万人単位で動くということを前提とすれば、これまで国交省の中にある地方整備局、運輸局間にどのような連携をとっていくか。国土計画という視点が地域ブロックの中でどのように制度的に実現されていくよう保障していくのか。つまり、人と金の配置をどのようにしていくのか。本来内閣府的なところで各省庁を貫いて、これだけの視野の議論をし、執行していく。変化に適応する体制に対応する力をもたなければならない。
    • 二層の広域圏については、個人はとっくに重層のネットワークに所属している。それを支える情報ネットワークの整備は大変重要。
    • 欧米については、経済圏のブロック化が進んできており、日本は欧米と親密な関係を保って経済成長をしてきた。ここへきてアジア経済圏との交流が急速に強まっているが、3つの地域をマーケットとして成長していくためにもネットワークの整備が重要。
    • 今後国内人口減少していくというなかで、一つ一つの産業の発展維持のためには、クリティカル・マスとしてのマーケットが必要。アジア、欧米の大きな経済動向のなかで、日本がどのように経済成長していくかというときに、どのようにクリティカル・マスを、地域の経済活動をいかにつなげていくか。観光、交流に加えて、アグレッシブな、高付加価値を生み出す産業基盤としても位置づけてほしい。
    • 二層の広域圏に入らない地域が非常に多い。この問題にもう少し焦点をあてるべき。九州で五島、椎葉など二層の広域圏に入らない地域の調査をしたが、何が問題かというと、あまり金をかけないでどうするかということ。一つは行政の壁、たとえば県境を越えたバス路線がない。それから、縦割りの壁。農道、林道、国交省の道路が複雑に走っており、立体的でない。医療についても、たとえば上五島ではヘリがくるのに手続きで2時間かかる。今は自衛隊のドクターヘリしかないが、いくつかのブロックでヘリをもつという代替案もあろう。椎葉村では集落から集落まで車で1時間かかる。ネットワークをどう作るかは集中投資する価値がある。条件不利地域については、単に自然保全でなく、クオリティ・オブ・ライフという視点でどうするか。
    • 少子化対策で問題になるのは、地方都市の産婦人科の先生がいなくなっていること。少子化でマーケットは小さくなるし、訴えられる可能性は上昇するし、大都会にしか先生がいない。若い女の人は不安がって余計少子化になっている。1時間圏外の地域は産婦人科医師のいない地域。
    • 過疎法、半島法、離島法等一体化できないが複雑怪奇になっている。ここを踏み込まないと、二層の広域圏戦略は相当こぼれた地域をつくっていく。条件不利地域戦略については国土戦略のもう一つの柱として検討してほしい、多自然居住の自然保全だけでは解決しない。つっこんだ検討をしてほしい。
    • 新しい時代に相応しい国土計画制度について、十分検討してほしい。その後には、ハンディ地域に対する諸制度もこのあたりで見直しに着手すべき。
    • 少子高齢化、人口減少を考えるほど、悩みは深刻。特に過疎化、高齢化が利便性の低いところで顕著に進んできている。計画的に歯止めをかけるか否かが非常に大事。国土の隅々まで人が住める状態にしておくことが大事。一時期、全国の住みやすさ指標のようなものを役所が出した時期があった。単なる所得だけでなく地域に生きがい、価値を感じるということがあるので、国土計画という分野が地域に生き甲斐を感じられるような計画として、地域の人に支援されることが重要。
    • 「ほどよいまち」という言葉が新たに提案されている。これからの地域のあり方にひとつとして、大変示唆に富む提案だが、これが地域の切り捨ての口実であってはならない。
    • 「ほどよい」という言葉が使われているが、二宮尊徳が「分度」という言葉を使っている。分を知るという関係性を指す。「ほどよい」を積極的な言葉として使ったらどうか。
    • 「ほどよい」という言葉について、適当、いい加減というやや悪いニュアンスもあるが、ほどよいという感じがこれからの少子化社会で雰囲気がわかる言葉だという意見もあった。ほどよいという言葉がもっている積極的意味を引き出していきたい。中核都市だけにメッセージを出していては日本全体で安定できない。もう少し小さい都市が一定の核となって活動できるような方向を、「ほどよいまち」を積極的に評価するなかに含めたい。
    • 地域の潜在能力を重視するというのは好感をもてる。弱肉強食の地域間競争ではなく、地域のなかにある歴史、自然、よいものを生かして地域間でせりあって個性をつくっていく。
    • 戦後、東京にグリーンベルト計画があったが諸般の事情で実現しなかった。しかし、宮城から国会議事堂、赤坂離宮、外苑、新宿御苑、明治神宮にいたるグリーンベルトは素晴らしい。幕藩体制のときには全国に200以上の藩があって、城下町中心のまちづくりが行われた。そういった歴史的・文化的なものを重視して今後開発を進めていくという視点も大事ではないか。ヨーロッパの「ほどよい都市」という言葉があったが、我が国にも、温故知新という面で参考になる点がある。3つの小委員会のほかに、文化・歴史委員会を設ける必要の有無。
    • 文化、歴史のみならず、自然、環境の活用。たとえば、北海道と東北の森、関東の平野、中部の山、近畿、中国、四国、九州の海といった環境を活用することが、地球環境問題にも資することになるし、世界に向けて魅力ある国づくりの重要なキーワードになっていく。鉢巻を締めなおしてやってほしい。ガッツがたりない。
    • 海外との国際連携については、これからの国土計画を国際的に捉えるという意味で重要。一方で、資源収支の不均衡や地球環境問題、外国人労働問題、外国人犯罪問題についても、国土計画上考えなければならない課題。
    • 観光という視点をもう少し柱にしてたてていく必要があるのではないか。観光立国の議論がされ、国内各地で観光振興が盛ん。観光は国づくりの根幹、国造りの非常に大きなパートと思う。これまでの観光資源は、景観観光、物見遊山的なものだが、新しい観光として、これまでになかった観光資源の開発をしようとする動きが地方で盛ん。産業遺産の産業観光、街道観光、都市の個性に着目した都市観光といった新しい動きを、国土計画の中にも位置付けてほしい。現在までの観光資源は保全、保護、日常との調和をどうするか。新しいものについては、そういうものを計画に位置づけてどのように調整を図りながら発展させていくか、あるいはそこにいたるインフラをどう考えていくか。観光という性格からまとめて、国づくりの柱として最終計画に位置づけてほしい。この中にも外客誘致や景観保全など、断片的にはあるが、観光という観点で総合することが必要ではないか。
    • 観光については、地域に根ざしたソフトをどう開発していくかがないと、地方からも海外からも人がこない。これからの日本が生きる道は、交流人口を増やしていくしかない。定住人口が少子高齢化で減るなかで、交流人口のあり方、その中での観光の位置づけをしっかりと視点としてもってほしい。
    • 特色あるまちづくりをそれぞれの地域が進めていくなかで、観光は日本の大きな産業でもあるし、心のふるさとでもある。モノ、経済から心、ソフトに回帰していく、そのときに何が必要かという視点が貫かれているように思えるのはよい。
    • 観光、歴史、文化については、総点検という実をきちっとおこなっていけば、先の全総にも書いてあるので、自ら出てくる。そういう方向で議論に含めたい。
    • たとえばインフラその他の整備において、これからは重点主義。その場合、地方の切り捨て、重点的でないところの表現をどうするか。特区を導入して重点的でないところにも地域の活力を生かしながら新しい地域づくりをする、そういうメニューを国土計画に入れる。重点的でない地区にも新しい発想で特区といった考え方などをいれると全体のバランスがとれるのではないか。
    • 社会資本については、これまでつくられた公共施設の維持管理、更新が大事な時代になる。一方、美しい国土、美しい環境という観点から見た場合、その地域で手に入りやすい木材、石材など地域資源を使って公共施設を補修していく。人工工作物の景観を考えるとなおさらそう。
    • 社会資本整備に対し風当たりが強いが、たとえば国際交流圏を構築するとなると、当然、情報通信・交通ネットワークの整備は不可欠。大きな計画の中での社会資本整備は当然やっていかなくてはならない。観光についても、日本から外へでかける人と外から日本へ入る人のギャップが非常に大きい。外客が増える美しい国土をつくっていく、それに社会資本整備を伴わせていくことが必要。特に、物流についても、日本はアジアの拠点国家でなくなっている。拠点空港、拠点港湾をしっかり整備しないとアジアの拠点たりえない。特に拠点空港、拠点港湾については、戦略的整備が必要。そのための集中投資は当然必要。拠点空港、拠点港湾を結ぶ交通ネットワークの整備も必要。
    • 経済成長から生活へフォーカスをシフトするのは納得。一方で、長期的に発展を持続できることが大変重要な部分で、今までは発展を支えるハードウェアの整備に資源を投入してきた。今後、我々が何を資源として長期的発展をとげるかというと、情報通信ネットワークを中心に据えた国土計画であることも重要ではないか。交流人口の話がでているが、そこへ来てしばらく滞在して帰って終わりという一過性のメリットではなく、常につながっていることの出来るインフラをベースにした交流でなければならない。情報通信ネットワークを今までの交通インフラ同様に重視した国土計画が必要ではないか。常につながっているから交流することが意味をもつ。
    • 持続可能な国土の創造については、人口減少が著しい森林、山村、農村における森林、農地という国土資源の管理についても掘り下げて具体的に方向性を出してほしい。恩恵に預かっているのは下流の都市部の人であるので、都市部の人の理解を深めるよう整理をしてほしい。
    • 日本の国土は、所有者責任と資源政策としての計画者の予定調和でやってきた。しかし、グローバル化、環境問題が入ってきて、計画をたてるときの予定調和がくずれた。所有者としての責任はJA、漁協、森林組合といった一次産業がやってきた。三全総以降、国の計画を見ても、一次産業の指導事業が書けなくなった。全総と国土利用計画を一緒にするということなので、環境、グローバリズムを入れた国の指針性が鮮明にでるようにしてほしい。
    • 農業、農村については、守る要素と変える要素が重なっている問題が非常に多い。守る政策と変える政策とそれぞれあるが、それをつなぐインターフェース機能を意識した制度づくりが非常に重要になっている。たとえば、農業生産でいうと、土地や水を守るのは、地域の住民総出で参加をするという共助システム、あるいはコモンズと表現していい。しかし、その上の農業生産としては、攻めの農業が必要で、新しい人を呼び寄せることができるような農業、企業の力を借りることも必要。守るべき地域資源と攻める農業をどう両立させていくかという問題意識が必要。
    • コミュニティの範囲について、農村の場合だと集落が基礎的単位だが、旧来の集落は狭すぎる。もう少し広い範囲で、学校区あるいは合併前の農協支所や寺社の範囲が現代のコミュニティの基礎的単位として比較的住民に実感できる範囲ではないか。農林統計の作成に携わっているが、市町村合併により市町村では統計が接続せず、市町村の大小にも差があり、統計ユニットとして使い物にならない。10〜20集落集まった旧村が最も信頼できる。集落を越えた新しいくくり、たとえば旧村にもっといい前向きな名前をつけてほしい。
    • 京都議定書を批准するときに議論したが、90年比温室ガスを6%削減しようということで、そのなかで森林吸収分が3.9%であるが、今の国土保全のやり方では無理。森林を保全し、国土を保全するというきちんとした国土計画に基づいてはじめて可能。日本の自然は、シベリアやアマゾンとちがい、人の立ち入ることを許さない自然ではない。古くから人と自然が調和しながらつくってきたもの。そこに人が定住することにより、自然が自ら守られるということであるので、国土計画が一番重要だと思う。
    • 自然災害の多い日本の国で、災害への対応は、私たちのライフスタイルを含め、必要。
    • 今1番元気な国はオランダと言われているが、オランダでは歩くことが盛ん。日本人は歩くことをやめて活力がなくなった。歩くことを国土計画に入れる。美しい国土をつくるというときに、歩行文化を提唱する必要があるのではないか。
    • 全国の市町村長が一番困っているのは、ゴミの不法投棄。国土計画で美しい国土を謳っても、しつけや基本的なモラルを論ぜずに、抽象概念では国民はついてこない。手島の問題はその典型。
    • 制度改革がやや予定より遅れているとのことだが、新計画の内容のみでなく、国土計画のシステムそのものの改善が課題となっている。それ自体「21世紀の国土のグランドデザイン」に書き込んだが、なかなか思うように進んでいないのは残念。国土法と国総法の両法の見直しという課題があり、国土法は国土利用計画、土地利用基本計画、土地取引規制という3つの内容からなっており、現代の必要からやや離れており改善すべき点が多い。臭いものに蓋ではなく、問題点を積極的に出して改善を施すいいチャンスにしていくことが必要。両法を改革すべき。

      (速報のため、事後修正の可能性があります。)


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