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 第5回国土審議会議事概要
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  1. 日時
     平成16年4月8日(木)10:30〜12:00

  2. 場所
     ホテルニューオータニ 鳳凰の間

  3. 出席委員(敬称略)
     秋山会長、亀井、高木、鉢呂、藤井、柳澤、久世、西田、植本、大西、川勝、小澤、潮谷、生源寺、榛村、丹保、千速、中村(英)、藤原、森地、矢田

  4. 議事
    (1)会長の互選
    • 秋山喜久委員が会長に選出され、中村英夫委員が会長代理に指名された。
    (2)国土計画の改革についての調査審議状況報告
    • 事務局より資料説明後、質疑応答。
    (3)その他

  5. 主な発言内容(順不同)
    • 「二層の広域圏」の考えは正しく、これを進めていくと全総で示した広域国際交流圏の形成にもつながる。
    • 今の市町村合併は各都道府県がその枠内で進めているが、現実の経済交流、物流、人的交流は府県の垣根を越えている。生活圏域と地域ブロックとしてのより大きな広域圏を考えていけば、府県という垣根は意味がなくなってくるのではないか。
    • 近年の市町村合併の進展により、概ね人口30万人の都市圏の形成が進んでいる。合併特例法の期限が切れる来年3月を目途に全国的に相当の合併が進められており、このまま上手くいくと市町村数は少なくとも2000を切るだろう。こういう現実を前提として生活圏域を考えていただきたい。
    • 現在国会に提出されている市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案や地方自治法の一部を改正する法律案では、合併市町村内部を地域的組織として「合併特例区」の設置、また、合併に関係なくても市町村の中に「地域自治区」が設置できることとなる予定。これは住民に身近な行政を行うことができる体制を整備するものであり、こうしたことも念頭においていただきたい。
    • 資料3の6ページに「生活圏域の形成が困難な地域では、高次情報インフラを整備し」とあるが、こういった地域は高齢者、障害者が多い地域である。現実論から言うと、理念はわかるが、高齢者、障害者が高度情報化社会を手に入れていくためのツールをどのように考えるのかが重要。
    • 地域ブロックについては、最近道州制の論議が活発になっており、第28次地方制度調査会では、今後の都道府県に関する問題として道州制を第1の問題として諮問している。小泉総理もこれを受けて、道州制をはじめ大都市問題等について本格的な審議を行うよう述べられている。
    • 北海道において特区の先行的実施が決定されており、平成16年度予算では、北海道の道州制特区に100億円の事業費と調査費1,000万円が計上されている。北海道だけでなく、四国各県や北東北3県でも一体となって都道府県合併ないしは道州制を目指した検討を進めている。また、国会や県議会でも議論が活発化するなど、全国各地で道州制や都道府県合併に関する狼煙が上がっており、こうしたことも念頭においてほしい。
    • 資料3の8ページの2.に「世界で競争する」とあるが、まさにそのとおり。現在の日本経済は全体としては回復しつつある一方、地方と中小企業は回復が遅れていると言われている。これは端的に言えば、中国との競争に敗れているということであり、かつてコストの低い所を求めて工場立地を地方に拡散してきたことの延長線上で中国などを見るようになっており、そういう中で地方は競争力に敗れ、日本企業の投資が流出したのが要因。
    • 注意してほしいのは大学の動き。国立大学の独立行政法人化により、大学は変わってきており、私も移動政調会で全国を回っているが、大学と地域の経済人が密接に結びついて地域の産業興しを進めており、国土政策においてもこれを取り上げて、整理していただきたいと思う。
    • 地域ブロックの概念について、普通に考えられるのは北海道、九州、中国、四国といった概念だが、これからの時代は線引が大きく変わっていく可能性があり、境というものをもう少ししっかり考えるべき。
    • 地域の特性や文化を考慮することは当然だが、若い世代の価値観が多様化する中、10年後、50年後を担う世代の視点も考慮に入れるべきではないか。
    • 地域ブロックでは、拠点都市圏、産業集積、国際交流・交通拠点といった所に資源が集中され、ブロック全体を牽引するという方向性が述べられているが、集中によりブロックの中で新たな不均衡が生じる懸念がある点については十分配慮願いたい。
    • 生活圏域は目安が明確にされているが、地域ブロックについては明確でなく、地域ブロックの目安をもう少し数量化すべきではないか。
    • 前回の審議会では、北海道を欧州の小国と比較していたが、広域ブロックに関しては東京を目安とすると同時に、先進国並み、アジアの地域間競争を勝ち抜くだけの単位でないといけないという目安を入れると、全体として筋が通るのではないか。
    • 地域ブロックを経営するということになると、国土交通省で国づくりができることになり、国づくりのノウハウを発揮できる。これは今の都道府県の官僚機構にはなく、国土交通省他、都市と農山漁村の交流に関わる省庁は地域ブロックに自己解体していくという大きな見通しを持っていかざるを得ないのではないか。
    • ブロック圏とか生活圏域という考え方は、国が圏域を設定するという論理構成よりも、事実上経済的に出来上がった圏域について、地方分権の考え方でボトムアップ型で形成されるというのが基本戦略。地方ブロックごとに知事会議や経済連合会が意思形成のポイントとなっており、一定の指標によって交流の弱い地域を結びつけるよりも、こちらの方が策定の主体となり得るのではないか。
    • 欧州の人口10万以上の都市間では、ほとんどが日帰りが可能なのに対して、日本では北京、ソウルくらい。空港問題というより、アクセスがより重要。個別の社会資本ではなく、地域の課題に見合うターゲットに絞って重点投資することが重要。
    • 道州制においては、「自立」ということが一番問題になる。資料3の参考1にも、地域ブロックで「富を生み出す何らかの源泉を有し、雇用機会を生み出すのが鍵」と書かれているが、所得のないところを道州制でまとめても意味がない。そのブロックでの経済、製造業、流通機能を整えて、自立できる経済ブロックをつくっていかなければならず、それが特色ある文化を生み出すものと思う。
    • 国立大学の独立行政法人化により地域立脚でシンクタンクになろうとしている。日本最高のシンクタンクである霞が関がその役割を地域単位に委ねるという時代が来ているのではないか。
    • 地方を活性化するには、新しいプロジェクトよりも既存の競争力を有する集積に対して大学の知をどう流し込むかがポイント。しかし、現状は大学や文部省のベクトルが地域の活性化という方向を向いているわけではない。大学の知の役割を国土政策の中に取り入れるなど、大学制度の改革についても触れなければならない。
    • 国土計画は政策の指針としては最早神棚に上がっており、現実の政策決定には何の影響をもたらしていないと極言したいくらいの状況。かつての国土庁が行っていたように、あらゆる政策を国土政策の観点から総合調整する権限がなければ、現実の政策に反映しない。今年度提出している景観法案など国土計画と関係のある多くの法案が何の関係もなく審議されている。国土政策絡みの総合調整はいかにあるべきか、計画が政策の指針になるためにはどうしたらいいのかを検討していただければありがたい。
    • 国土計画制度の改革については、国、広域ブロック、都道府県、市町村の各レベルで国土の利用、開発、保全を一体として進めていくという考え方の延長線上で、都道府県計画の策定の義務付けが予想されるが、分権の流れに逆行して地方に対する国の関与が強化されることがあってはならない。予定されている都道府県計画が求められてくると、既に策定している総合計画に屋上屋を重ねることとなり、これを国土計画の中に新たに組み込んでいくということについてはいかがなものか。
    • 生活においても生産においても、もっと高い効率を必要とすること、美しく、快適である文化に溢れた国土であること、などの目標を立て、次世代に国土を引き継ぎたい。それにより、明るい未来像をつくるのにも役立ち、世界の国々からも賞賛され、国民も国土に愛着や誇りを持てる、というようなものにしたいと考えている。
    • 北海道と東北は歴史的にも文化的にも全く違った空間で人口規模だけでは処理できない。そういう個々の問題を抱えているので、全体の力を上げるのは重要なことだが、かなり無理なプランをやっていると思う。
    • シンガポールほどの小さなところであれだけのことをやっているのに、東京はもっと大きな力を持っているにもかかわらずこれを発揮できないのは、東京でつくられたアイデアが日本全国に散らばっていったために、日本の人々の考え方がガタガタになってしまったから。
    • 国民に共感できる理念として「テーマのある街づくり」が重要。テーマとはその地域の特色、魅力であり、地域づくりの理念となる。活性化もそれぞれテーマごとに違う。頭脳の活性化や自然の活性化などわかりやすく概念整理すべき。それを「均衡ある発展」に対して、「特色ある発展」というのかそれとも別の言葉で表すかは、これからの問題。
    • 「均衡ある国土の発展」というのはこれまでそうではないと思っていたし、国土軸についてもひどいことと思っていた。人口が減少していく時期に、東京以外の地域が自分達の文化を持ち得ないのであれば、日本はなくなり、グローバル化した世界の中で一部の衰弱した地域として残るのではないか。
    • 「多軸型の国土構造」や「国土の均衡ある発展」については転換していただかざるを得ないと思う。急激な時代の変化に対応していこうという時に、これまでの国土審議会の打ち出した理念というものに引っ張られ過ぎているのではないか。これは間違うことになる、間違いを引き起こすことではないかと思う。したがって、新しい会長の下で、思い切って転換されることを期待している。「均衡ある発展が本来の趣旨である、地域の特性を生かした」などということを今更言っても「均衡から」そんなことは読み取れず、屁理屈の世界だと思う。このことがこれからも本当に追求すべき理念であるかどうかということを吟味をしていただいて、転換すべきであれば転換し、新しい理念を持つなら新しい言葉にしなければいけない。
    • 「均衡ある国土の発展」については、その意味を取り違えている人が多い。全国どこでも同じ地域をつくってしまおう、均衡ある発展を目指したために、全国どこに行っても同じ街ができたと言われる方が多いが、我々が均衡ある国づくりと言ってるのは、そういう意味ではなく、広い国土をもっと伸びやかに広々と使おうということを言っている。一都三県が国土面積からすればわずか3.6%に過ぎないが、ここに26%以上もの人口が集中している。一方で、国土の半分は過疎地であり、そこに住んでいる人は全体の7%にも満たないということをアンバランスと言っているのである。せっかく広い国土であり、元元そこには人が満遍なく定住しており、自然環境と共生して、独自の個性的な文化を創り上げていたのであり、そういうことを考えながら、美しい国土を再構築していこうというのが全総の理念であり、そうした意味で均衡ある国づくりというものを受け止めていただければと思う。
    • これまで部会や企画運営委員会、各小委員会今後の方向も含めて議論してきたが、そこでの方向は、多軸型国土や均衡ある発展といった従来型の見方から思い切って脱却することが求められているという考え方。日本経済は多少良くなってきているが、まだまだ将来に対して悲観的な見通しを持っている人が多い中で、明るい未来の国のかたちが出せるようなものを、今後もっと明確にしたい。
    • 地籍調査の重要性は、総理の施政方針演説にも盛り込まれており、最近重要視されている。モータリゼーションの行き着く先としてITSの進捗が際立っており、自動車がロボット化するほどの勢いだが、このためには地籍が絶対に正しいというのが前提であり、現在の日本はこれには程遠い状況。また、地籍調査に加えて、地質などについても併せてデータベース化することが重要。
    • 耕作放棄地への対応については、市街地と市街化調整区域など法律問題が出てくるが、言い換えれば省庁間の縦割りを廃して交流を進める必要があるのではないか。
    • 区画整理法も再開発法も制度疲労を起こしている。人口が減少している地域と物販が低迷している地域は、歩くことを中心とした公園のような中心市街地の形成を考えるべき。
    • 耕作放棄地、施業放棄地について、かつて「鉄は国家なり」と言ったように「木は国家なり」と私は言っている。かつて日本の山村が成り立っていたのは、低賃金と木材価格が高かったことによるが、最近では木材価格は大幅に下落している。これについてのビジョンを作成しなければならない。森林組合を蘇生させて、森林に関心を持つ都市の人を惹きつけるような政策を位置付けるべき。また、森林についても地籍調査を実施することにより境界を明らかにすべき。
    • 土地改良事業について、戦後行われた大型の水路や広域利水など米の増産のためにつくった施設が更新期にあるが、これらをきちんと更新していく必要があり、ビジョンを作成しないと本当の国土づくりはできないのではないか。
    • 「交流が必要」と文章で述べられているが、現実問題として絵に描いた餅にならないためには、交流を深めるための基盤をどう捉えるかという視点も重要ではないか。
    • 「東アジアにおける我が国の相対的な地位が低下する中」とあるが、東アジアの諸国が戦略的な公共投資を行っていることが要因であろう。現在の財政状況の下で、公共投資にはなかなか触れにくいが、自立広域圏というものを形成して、それぞれが国際交流ができるような環境を整備するためには戦略的な公共投資が行われなければならない。これについてはどういった議論があったのか。
    • 人口減少は日本だけでなく、アジアの諸国も減少を迎える。日本だけでなく海外も含めて時間制約が明確になってきており、戦略的な投資が重要となってくる。
    • 社会資本整備重点計画と国土計画をどういう格好でとらえるか。こちら側(国土計画)は、地図の上でどういう地域を目指すかについて、整合が取れた形で戦略を練ることが重要。両計画はいわば縦糸と横糸の関係であり、その二つを合わせたときに、その地域にとって一番良い解が出てくるものと思う。

      (速報のため、事後修正の可能性があります。)


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