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 第6回国土審議会議事概要
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  1. 日時
     平成16年5月25日(火)14:00〜16:00

  2. 場所
     赤坂プリンスホテル 五色1F 赤瑛

  3. 出席委員(敬称略)
     秋山会長、久世委員、柳澤委員、藤井委員、一川委員、岩崎委員、植本委員、川勝委員、小早川委員、潮谷委員、榛村委員、千野委員、藤原委員、虫明委員、森地委員、矢田委員

  4. 議事(概要)
    (1)開会
    (2)議事 「国土の総合的点検」とりまとめについて(調査改革部会からの報告)
    • 矢田委員及び事務局より資料説明後、質疑応答
    (3)議事 今後の進め方について
    • 事務局より資料説明、質疑応答の後、了承
    (4)閉会

  5. 主な発言内容
    • 「二層の広域圏」や「ランドスケープ」など国土計画にとっての新しい視点が提示されているが、特に「ランドスケープ」は歴史・伝統・文化を表現する名文句である。
    • 今後の国土の将来像を描くことが最も重要である。その際、地域が多様な個性のもとで自立しながら国土の一体感を醸成することが重要であり、それは国土計画の責務であると考える。
    • これまでの全総にはそれぞれキーワードがあり、それぞれ時代の象徴となっていた。全総は「拠点開発」、新全総は「大規模プロジェクト」、三全総は「定住圏構想」、四全総は「多極分散型国土」、21世紀GDは「多軸型国土」。今回の「自立圏連帯型国土」は耳慣れないところがあるが、今後議論を深めるとともに、実現する方策を検討してほしい。
    • 今後の政策は投資制約型の傾向が強まっていくように感じられる。事業ごとの分野を超えたメリハリが必要であり、「誰が」「どのように」という点を詰めていくことが重要である。また、国の独善に終わらせないためにも、マネジメントサイクルやアウトカム指標を明示していくことが必要である。
    • 21世紀GDに示された4戦略について、今回の総合的点検では章を分けて記述されているが、そもそもそれらは一体のはずである。21世紀GDでは、多軸型を指向する中で居住空間をどうするかという議論から多自然居住を推進する。すると大都市への集中が緩和されるので大都市のリノベーションを行いやすくなる。一方で都市と都市を地域連携軸でつなぎ、この連なりが国際競争力を有した広域国際交流圏になる、という物語があった。今回はご担当の先生方がそれぞれ得意分野を扱われたためかこの報告には物語性が見えない。そのために全体的な説得力に乏しく、一般の方に理解してもらえるか疑問がある。
    • 今回の国土の総合的点検では自立圏について示しているが、今の10のブロックが自立し、国際競争力を持ち得ているかどうか疑問がある。ブロック間の格差は歴然としており、国内の基準、国外の基準を意識してブロックの議論をしなければならない。21世紀GDでは国土軸は4本だったが、ブロックも4つにすると、日本には2つのフランス、2つのカナダができる。この規模でないと自立は考えられない。
    • 国土の総合的点検ということであれば、国土計画のうまくいっていないところを分析すべきである。多軸型国土を追求しながら現実的にはなぜ東京に集中してしまったのか。多自然居住の話は初めて聞いたときから無理があると思った。人間は利便性を求めるものであり、都市的な生活に傾いてしまう。今となっては東京以外は競争力を失ってしまっているが、その理由をシビアに考えるべきである。
    • なぜ地域ブロックにしなければならないのか。国土政策が他の政策の追認になっていないか。道州制の議論に引っ張られたのではないか。東北と北海道でカナダ並みということであれば、なぜカナダのようになれないのか。それを分析すべきである。シンガポールのように、リーダーシップがあれば小国でも21世紀をリードする地域になるはずである。
    • 最近では、地方のどこに取材に行っても必ず地方経済の疲弊と東京一極集中が話題になり、またそれを実感する。今回の総点検の中には東京問題についての記述があるが、東京問題という言葉に違和感を感じる一方、東京から分散させても地方の問題は解決しないというのは私もそう思う。
    • 都市はイメージが大事であるが、地方は発信力が弱く、イメージが明確ではない。外国から帰ると日本の地域の多様性を感じるが、各々の地域住民はそれを自覚していない。外から見た比較を持って、一人一人が自分たちの地域の個性を実感できるようにしなければならない。
    • 東アジアの一員という点には大賛成である。しかし、そのことについて東アジアの人がどう思うかという視点も必要である。日本がリードする気を無くしたと受け取る向きもある。
    • 私も21世紀GDの策定に参画し、その4戦略の物語については自分なりの考えも持っている。今回部会で報告をまとめる上でも、それを十分に踏まえて点検したつもりである。
    • 地方は疲弊しているという指摘があったが、一方で中枢・中核都市は元気であり、これを生かした国土づくりを進めるために広域生活圏を打ち出している。
    • 市場メカニズムによりブロック圏が形成されつつあり、地方分権の流れ中での都道府県、市町村による地域づくりがブロック圏の自立において重要である。また、その圏域については、国による境界設定ではなく、地域主体のボトムアップ的な動きによるべきであろう。その上でブロック圏同士の連帯を考え、重層的に柔軟な組合せを考えて国土全体をとらえていかなければならない。
    • 「新しい国のかたちへ向けて」という方向性はすばらしいが、過去の国土計画は指針としての機能が低下しているとの指摘があり、その分析をすべきである。
    • 国と地方の関係が明記されているが、国における省庁間の連携についての方向付けがないのではないか。国土計画については、環境や経済など各種の政策に適用する概念としての意味を持つべきである。
    • 1時間・30万人圏というメルクマールは機械的に適用するのではなく、交流や現実の生活圏の状況を考慮すべきではないか。また、生活圏の構築が不可能な地域の対応も考えて欲しい。
    • 「世界に開かれた国土の形成」とあるが、国際交流のあり方についての戦略的な思考が必要である。21世紀の日本経済は内需だけでは維持できないのではないかと思うが、内需・外需の状況を踏まえた上で必要なものは何なのかを考えるべきである。また、相手先はどういう地域とすべきかを明確にすべきである。他の分野に比べてこの部分の戦略性が今ひとつ明確でない。
    • 世界に開かれた国際交流圏を目指しつつ選択と集中を今行っているのはどこかといえば、やはり中部圏である。来年日本で今世紀初の愛知万博を行うこと、中部国際空港(国内線・国際線両用の24時間空港)が開港すること、名古屋港が国際スーパー中枢港湾に指定されたこと、東海北陸自動車道等の道路アクセスの整備が進んでいることなどが理由にあげられる。また、東京への本社機能の集中が進む中で、トヨタ自動車は名古屋駅前に本社ビルを建設中である。中部圏では、ここに書かれたようなことがモデルケース的に進められている。
    • 審議会においてこの提言を受けたのであるから、今後は政治の世界において対応していくことが責務と考えている。
    • よく分析・点検されているが、うまく括られたという感もある。明治の大合併、昭和の大合併を経た旧15,000村が地域コミュニティーを作っており、2層ではなく3層目が国土を守る上で重要であることにも言及が必要である。
    • 持続可能性については需要の問題が重要である。「国土資源の国民的経営」とあるが、木、米、茶など、自分の国のものの消費も進めなければならない。
    • 地方では人材が東京や県庁所在地に出て行ってしまうために人材が疲弊しており、自らの地域に学ぶ人材育成システムが必要である。
    • 国土の管理を進めるためには土地の買い上げ制度が必要ではないか。
    • 報告では今日的な課題の制度的な分析がなされているが、過去の総括・検証が不足している。反省すべきところは反省し、その中で今後どうすべきか方向付けが必要である。
    • まもなく人口減少局面を迎える。地方では高齢化・過疎化が進んでいる。また、市町村合併は過渡期であり、落ち着くまで時間がかかる。このような時に、国土計画の有り様としては細かいことを指図すべきではなく、地域において潜在的な力を発揮し、創意・工夫への意欲が出るようにしなければならない。
    • 日本の国土には森林や農地が多いが、日本の国土の安全ということだけではなく、地球全体のモデルケースにするという気概を持ってほしい。
    • 過去の分析が不十分であるという指摘があるが、この報告とは別に「国土のモニタリング」というものを報告しており、それを受けて今回の報告をまとめている。人口の分析については本編の25ページの図表を参考にしてほしい。市町村単位でみたとき、消滅の危機にある集落もあることを理解して欲しい。
    • 98ページでは、1時間・30万人程度の規模があれば一定の都市的サービスを維持することができることを示している。それから外れる地域をどうするかは重い課題であるが、まとめる過程で議論はしている。
    • 国際交流圏に関しては、もし近隣に同じくらい豊かな国があれば国同士だけでなく地域間での競争が発生することはヨーロッパを見ても明らかである。現状では日帰り可能な都市ペアは少ないが、これは空港の整備不足の問題というより、航空会社の就航や機材の配備というマーケットメカニズムによる要因が大きい。今後アジアとの交流が盛んになれば変化すると考えられる。政策的なてこ入れが必要だと思われる。
    • この報告はあくまで点検であり計画そのものではないが、大きな方向を示すことができたと考えている。
    • 53ページの図表中、青の部分が1時間・30万人圏から外れる地域であるが、こういった地域をどうするのかという指摘があった。現在、九州地方整備局とともに九州の島嶼、山地部をどうするかという検討をしているが、その中で、新たなインフラ整備をしなくても、ホームページでの情報発信と宅配便があれば田舎でも特産品を販売できるというようなことも取り上げている。
    • インフラについては、縦割りの弊害があるため全省庁規模での点検が必要である。また、例えばヘリがあれば道路は不用だが、出動要請に2時間がかかるという面もある。国の出先機関のみに限らず、自治体へのヘリの配備等も必要である。
    • 当然なされると思うが、国土計画制度の改革に当たっては地方の意見を十分に聞いてほしい。国から地方への義務的な役割の要求も出てくるだろうが、財源的な連動等、地方分権の流れを汲んでほしい。
    • 国土計画を実効性あるものにしなければならない。三全総までは乗り遅れないようみんな目の色を変えて取り組んでいたが、定住圏構想の辺りから計画作成者の独り善がりと見られ始め、目の色を変えなくなった。国土計画が実効性を失ったのは、財政的政策との連動が欠けている点もあるが、国民のコンセンサスを得られていない点が大きい。実効性を持たせるためには、大騒動が起きるかもしれないが、どこがどう変わるのかということを明確にし、過去のものとは連動しない、飛躍した計画を策定することが必要である。
    • 公共事業の予算は減る傾向にあるが、国土計画のようなものからしっかりとしたコンセプトを出し、必要性を訴えていかなければならない。
    • 昭和48年に国総法を改正し、現実に合った計画体系の整備等をしようとした。あれから30年が経過したが、国土法という形で制度化された国土利用計画も色あせた。「ランドスケープ」という言葉には賛意を持っている。これからの国土づくりにそういうものがあるのはよいことだと思う。
    • 「ランドスケープ」については、この報告では流域圏と大陸棚の話くらいしか書かれていないように思える。日本の国土の特色を十分に考えていかなければならない。
    • 1時間・30万人で括れるエリアは現在300から400程度あり、ちょうど幕藩体制下の藩の数と同程度であるが、それなら生活圏になりうるとイメージできる。その圏域に収まるエリアは各地域が自立して支えていく、そこから外れるエリアについては幕府直轄領のように国が支える、というような整理が必要ではないか。

      (速報のため、事後修正の可能性があります。)


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