第１１回国土審議会土地政策分科会議事概要

平成１９年５月１１日

＜連絡先＞

土地・水資源局土地政策課

（内線30635)

電話：03-5253-8111（代表）

　５月１１日１０時００分より、国土交通省（３号館）４階特別会議室において、第１１回国土審議会土地政策分科会が開催された。議事の概要は以下のとおり。

　事務局より、国土交通大臣から付議のあった「平成１８年度土地に関する動向（案）」及び「平成１９年度土地に関する基本的施策（案）」について説明を行い、これをもとに議論が行われ、分科会として了承がなされた。
　この議論の中で各委員から出された主な意見は以下のとおり。
- 取引価格情報の提供については画期的で積極的に評価する。ただ、地価公示との関係で、建物を含んだ不動産取引価格と土地だけの公示価格という性格の異なる価格を同時に公開することで誤解を生じないか、また、地価公示における評価の仕方などにどのように影響するかについて懸念。
- 地価公示において、平均だけでなく標準偏差を分析すべきではないか。
- 不動産証券化市場の拡大が地価に与える影響について分析すべきではないか。
- 外国の投資家にとっては日本の不動産市場は情報不足とのことだが、今回挙げている施策で取組は充分か。
- 国際的な資金の移動が活発になり、不動産価格の海外との連動が強くなってくる中で、日本の不動産業界も世界の動きをみていくべき。
- 長期的に日本の地価が上昇していくかは疑問。今後人口が減少していくと土地は余ってくるのではないか。２０年、３０年先の日本の地価は、どうなるかという長期的な視点で考えていくことが必要。
- 最近、ミニバブル的な動きになっており、土地神話の崩壊と言っているが本当にそうなのか。引き続き、地価高騰の監視を続けていってもらいたい。
- まちづくりでは、地域住民自らが立ち上がり、行政が支援していくのがよい。コーディネイトを行える人材の育成が必要。
- 税制についても、グローバルの視点から見直していく必要があるのではないか。
- 不動産については税負担が多いので、将来の抜本的な税制の見直しに備えて検討を進めておくべき。
- 投資ファンドは、短期的な利回りを求めがちで、長期的視点でのまちづくりや不動産の運用などを進めることが難しい。今後、都市計画のあり方や不正対策などについても並行して検討していくべき。
- 地価上昇しているところについて、収益が見込めるのか、将来に対する期待なのか、など原因を分析するべき。
- 不動産鑑定評価について、地価の変動期には評価は遅れがちになる。上昇地点について注意深くみていくべき。
- 住宅市場について、単純に好調なわけではなく、地方と大都市の差が激しくなってきている。長期的な人口減少により住宅については需要圧力は減少していくことに着目するべき。
- 良好な居住環境の創出だけで郊外の問題が解決するわけではない。
- 取引価格情報と地価情報を同じ画面で提供する際に、両者で誤解のないように丁寧に説明を加えていくべきである。また、取引価格情報の提供は、地価公示制度の一環として行っているものであり、地価公示制度において適切に活用していく必要がある。
- エリアマネジメントについて、マニュアル作成の検討会の後はどうするのか。
- 今住んでいるところに満足しているかなどを調べた調査で、都市部では便利で住み心地がよいと満足しているが、定住志向は低いという結果が出ているものがある。リタイアや子供の独立を機に住居を変える可能性がある。住宅需要については、個人のライフスタイルやプレファレンスにより影響されるのでこれらを踏まえておく必要がある。
- 地域性を重視して、地域の意見を取り上げ、これに対して国が支援する形を取れるとよい。
- 地価の個別化には２つの側面がある。１つは、利便性・収益性の高い所で地価が上昇するということと、もう１つは、利便性などが高くなくても、エリアマネジメントといった地域の方々の取組みを通じた居住環境の改善に対応した、適切な地価水準になるということであり、こうした点を評価することも重要である。
事務局より、地籍調査促進検討小委員会の設置について報告された。