日時:平成18年4月27日(木) 15時00分〜17時00分
場所:中央合同庁舎第2号館低層棟共用会議室1
出席者:別添名簿参照
議案:
(1) |
今後のわが国不動産投資市場の成長戦略について |
(2) |
不動産投資市場におけるトランスペアレンシーの向上について |
(3) |
その他 |
配布資料:
資料1 |
これまでの議論の概要 |
資料2 |
今後の議論の進め方 |
資料3 |
今後の議論の進め方〜参考資料〜 |
資料4 |
不動産市場のトランスペアレンシーの現状 |
資料5 |
不動産市場のトランスペアレンシーの向上 |
資料6 |
オーストラリアNSW州における移転登記申請書類 |
資料7 |
RPDATAによる不動産取引価格情報の開示 |
資料8 |
RPDATAによる不動産取引価格情報の開示 |
資料9 |
Jリートにおける鑑定評価の情報開示 |
資料10 |
PIRの格付けレポート(原本) |
資料11 |
PIRの格付けレポート(日本語訳) |
資料12 |
政策体系図 |
資料13 |
今後の進め方について(案) |
<議案(1)について、藤井土地・水資源局土地政策課土地市場企画室長(以下「藤井室長」という。)から、資料1〜3を用いて説明後、ディスカッション。> |
(不動産投資市場への資金流入について)
- 今後の不動産投資市場の成長戦略において、資本市場との関係では、不動産の特性にふさわしい長期・安定的資金を流入させていくべきである。
- 金融市場と不動産市場ではマーケットのスピードが違うので、困難な面があるのではないか。
- 今後、不動産投資市場にどういう資金をどう流していくかが重要で、市場を分析し、制度的障壁があるならば除去していくべきである。
- 不動産投資の判断は、国際的には、
不動産に価値があるか、
取得の実現性があるか、
説明可能な情報があるか、の3点である。特に、絵に描いた餅にならないよう、
が重要となる。現在の市場を考えると、日本よりも香港やシンガポールの方が国際的に魅力的になりつつあり、今後は、日本も海外への情報発信が重要となる。
(地方における不動産投資市場について)
- 現在の不動産投資市場は、地方の資金が都心に集まっており、地方の資金が地方で環流していない。
- 地方においては、キャッシュフロー、それに対応した不動産価格、リスクの点で不確実性が高い面があるのではないか。例えば、1つの郊外型大型店舗が出現すれば、すぐにキャッシュフローが左右されるなど、不安定なところがある。
- 資金は、リスクが低くリターンが大きいという、わかりやすいところから流れるという特徴があるため、本当に地方に資金が必要であればPFI等のスキームを活用して「流していく」ということも必要ではないか。
<議案(2)について、藤井室長から、資料4〜12を用いて説明後、ディスカッション。>
(鑑定評価における収支項目の統一について)
- 鑑定評価における収支項目の不統一は、そもそも鑑定の依頼者側の提出した収支項目が不統一であることが原因となっているから、項目を統一しようとすれば、鑑定を依頼するAM業者の側にも項目を統一してもらう必要がある。
- 鑑定評価には、収益不動産評価だけでなく、地価公示や固定資産税評価など様々な分野があり、それが望ましい姿でもあるので、依頼者と鑑定士の情報・人材面での均衡関係が一概に崩れているとはいえないのではないか。
- 裁量が認められている積算等はよいが、そもそも収支項目が不統一であることは、不経済ではないか。
- 鑑定評価における項目の統一をきっかけにして全体の項目統一を進めていくという考え方もある。
- 不動産投資の最大のリスクは流動性リスクである。そして、投資の際は、「実物」を直接見るわけではなく、不動産の「情報」を見て投資をしているので、「鑑定評価」という情報が果たす役割は大きい。
- 従って、情報項目の統一化等により情報の精度・正確性を高めていくことは重要である。
- 鑑定評価は複数の物件を短期間で依頼することが多いため、やりやすいフォーマットで依頼する現状がある。このため、項目の統一による効率化は重要である。
- 項目の統一については、重要だと思うが、鑑定サイドだけでなく関係者全体で対応すべき問題である。
- 難しい問題だとは思うが、トランスペアレンシーを確保し、個人や年金資金を呼び込むためにも必要だと考えるべきである。
- 実際、項目の統一は難しい問題であり、米・英・日間でも収支項目は異なっているが、 項目の統一は重要であり、大きな項目からでもやっていくべきではないか。
- 収支項目の統一は、社会インフラとしての意義があり、公益性があるので、重要である。
- このような問題では、国交省などの公的機関が主体的に関与することは、市場介入と捉えられるべきではないし、鑑定協会や業界もこれに協力して推進すべき問題である。
(鑑定評価情報の収集について)
- 投資家保護などの公的な政策目標であれば、鑑定情報を収集する仕組みを作ることにより不動産鑑定士の自己抑制を図っていくのは一つの政策となるのではないか。
- 鑑定評価情報の収集にあたっては、民間が行うとすればコンフリクトが生じる上に破綻リスク等もあるため、市場の流れを円滑化する観点から、中立・公的な機関によって行われることは有効である。
- 投資用不動産関連業は情報集積産業であるため、鑑定情報の集積は鑑定士にとっても大きなビジネスチャンスではないか。
- リスク算定の精度を高めるためにもデータベースの作成が重要であり、各鑑定士がアクセスできるようなデータベースを構築してはどうか。
- 鑑定評価の情報については、守秘義務があるため、情報の提供については事前に 依頼者の同意が必要という問題がある。
- 不動産情報の収集においては、「市場の透明性を高め、不動産の流動性を高める」ということを常に念頭に置くべきで、ただ鑑定業のためだとか、インデックス作成のためというのではうまくいかないと思う。
- 不動産投資インデックスについては、今後、不動産価格の下落局面に入った時に資金が逃げていかないようにするためにもその整備が必要。
(不動産投資市場における鑑定評価のあり方について)
- 「シニアアプレイザー」という記載があるが、これが不動産鑑定士の資格を分けるというような考え方であれば問題ではないか。不動産鑑定の信頼を得るためには、制度的な措置ではなく、研修を受けるなどの方法でも十分ではないか。
- 様々な方法が考えられるが、その手法は今後の検討課題だと考える。
- 公認会計士がコンサルティング業務を行うようになったのと同様に、不動産鑑定士がコンサル的な能力を持てば、より幅を持った付加価値のある業務を行うことができるようになるのではないか。
- 資格としては「ARESマスター」みたいなことをイメージすれば良いのではないか。
- 投資用の不動産評価に限って新たに資格を設けるというのはいかがか。
- 不動産鑑定業界には、自らをアピールする者は少ないが、実際に能力がある者も多く、新たな資格を設けなくても、そうした実力が認められれば仕事は来るのではないか。
- 今後、不動産鑑定士の資質の向上が必要であるということは言えると思う。
- 適正な鑑定価格であることに疑念を持たれないためにも、国際的にも能力を評価された不動産鑑定士を育成していく取り組みが必要である。
- 現行の鑑定評価は、シナリオやリスク等は書けないのか。
- 法定の鑑定評価は「点」としての価格を出すものであるため、シナリオ等は法定の鑑定評価としてではなく、付記事項として添付するのみである。
- 今後、不動産の再生ビジネスなども増加してくると、なぜその価格なのかということがより重要になってくる。そのため、価格に一定の意味を持たせるためのシナリオや幅を持った鑑定評価も検討してもよいのではないか。
(投資家保護法制について)
- 不動産取引が今後ますます複雑化する中で、国際的な投資家保護の動きも踏まえたわかりやすい不動産投資法制の整備が必要ではないか。
- 国際的な投資家保護という観点から、投資法制についての議論はどう取り扱われているのか。
- 社会資本整備審議会産業分科会不動産部会において議論を行っているところである。
- 市場への資金流入促進のためには、資金循環の面と法制度の面と2つの側面からの議論が重要であるが、当委員会では資金循環(資金の流し方)の面を議論する場であると考える。
(土地取引価格情報の開示について)
- 土地取引価格情報の開示においてはどの程度詳細な情報開示を行っているのか。また、不動産鑑定士は登録物件の住所を把握しているのか。
- 土地取引価格情報は、登記簿を基に取引者にアンケートを行っているため、不動産鑑定士は住所等の情報は知っている。ただし、開示に際しては物件が容易に特定できないようにするなど個人情報保護に十分配慮して行っているところ。
(PMソフトについて)
- 資料4の16頁の@プロパティを利用している「行政」とは具体的にはどのようなものか。
- 例えば国土交通省営繕部などが利用している。
(その他)
- 透明性の確保の問題では公益性がどこにあるのかを考えることが必要で、個人情報保護・プライバシー権の問題も考える必要がある。
- 日本の商業用不動産の資産価値は、世界で第2位の規模を誇っており、日本にとっては数少ない「資源」を抱えた産業としてポテンシャルがあるのではないか。

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