日時:平成18年6月23日(金) 16時00分〜18時00分
場所:国土交通省中央合同庁舎第2号館11階 土地・水資源局会議室
出席者:別添名簿参照
議案:
(1) |
不動産投資市場検討小委員会最終報告(案)について |
(2) |
その他(「今後について」等) |
配布資料:
資料1 |
国土審議会土地政策分科会企画部会不動産投資市場検討小委員会 最終報告(案) |
資料2 |
国土審議会土地政策分科会企画部会不動産投資市場検討小委員会 最終報告(案)概要 |
資料3 |
不動産投資市場の検討を行うに当たっての基本スタンス |
資料4 |
参考資料 |
<議案(1)について、藤井土地・水資源局土地政策課土地市場企画室長から、資料1〜4を用いて説明後、ディスカッション。> |
(国際的地位の確立)
- 日本は世界的にみて有数の不動産資産を抱えているので、今後、日本の不動産投資市場の健全な発展を図ることが重要である。
- 国際的に見て日本の不動産市場は単価が高く、割高と言われがちだが、例えば、ニューヨークやロンドン等と比較すると現在の東京はまだ割安とみる動きもある。
- 不動産証券化の場合、原材料としての不動産があって、生産品としての証券化不動産ができるので、対GDP比等の関係で市場規模を捉えることも大切だが、投資家にとっては各国の絶対的な市場規模が重要となる。
- 国際的地位の確立のためには、国際的な視点も考慮に入れながらトランスペアレンシーの向上を図ることにより、国際的スタンダードとの整合性を図ることが重要である。
- 日本はそもそも国際的に見て不動産に係る行政法規の規定が多く、既存不的確物件が多い、賃貸借契約の習慣の違いある等から、海外投資家から見るとリスク要因となる事項が多いが、証券化のスキームを通じて改善の余地のある物件も多いということでもあるため、責任ある主体がそこにビジネスチャンスを感じて資金流入が進むことが望ましい。
(不動産投資市場の健全な発展)
- プライベートファンドとJリートでは、投資家の不動産への思い入れが異なることから、リート成りの際には、 不動産としての質を維持を図っていくことが重要。また、(Jリートの)公開情報における項目の統一を図っていくことも重要である。
- 金融商品として不動産を考えると、その品質は、利回り等数字的品質であり、また、誤発注等金融商品に特有な事態が起こりうる懸念があることは留意しなければならず、これまで以上に高いスキル・倫理観の向上が重要である。
- 例えば、信託受益権を用いる証券化手法における信託銀行等は受託者として不動産をチェックするという責務をまっとうすることが重要であり、信託銀行や不動産鑑定士は、違法建築物等の流通の歯止めとしての役割が求められる。
- これまでは、「不動産業は勘と度胸と小金があればできる」と言われていたが、不動産投資市場を論理的な(リーズナブルな)市場にしていくことは、不動産業界がステップアップしていくことにもなり、良いことだと思う。その意味で、今後トランスペアレンシーの向上を図り、不動産業界と不動産鑑定業界が共に成長してゆければよい。
- 不動産鑑定士のみならず、証券化関係者全体の専門性・倫理観の向上が重要である。
(トランスペアレンシーの向上について)
- 今後、個人・年金資金が不動産投資市場に流入するためには、不動産投資市場のトランスペアレンシーの向上が必要であり、そのニーズは確実に高まっている。
- 不動産証券化は、新産業から成熟産業へと移行しており、業者の選別が厳しく行われることにより、プレーヤの資質の向上が図られればよい。
- 特に、鑑定評価の質の向上のためにも情報データベースの整備が重要であり、その際には、データベースが中途半端なものにならないよう、しっかりとした制度設計をすることが重要である。
- 市場への資金流入を促進させていくためには、インデックスの整備が重要であり、その際には、グローバル基準に対応したインデックス整備が重要である。
- あるべき不動産の情報開示は、不動産の価格、品質、正確性を併せ持つ開示である。
(鑑定評価について)
- 不動産鑑定をクローズアップしており、業界内部からは提言されにくい内容が多く、有意義な最終報告となっている。
- 不動産鑑定士が高度な市場分析をできるようにしていくことは重要なことだが、そのためには、不動産鑑定士の能力向上が急務である。
- 鑑定基準に「街づくり貢献費(仮称)」の項目を創設することは、投資家の社会的責任を説明する際の指標となり、また、中長期的なリターンを図る際にも重要な指標となるのではないか。
- 「街づくり貢献費(仮称)」は、その効果が期待される。
(その他)
- 不動産証券化に係る税制は、水平的な公平性に留意して検討すべきである。
- リート等不動産証券化が住宅政策に及ぼす影響について考えていくのおもしろいと思う。
- 今後、本最終報告に係る施策の優先順位付けをした上で、着実に実現していくことが重要である。
なお、最終報告(案)については、大枠において異論なしとなり、とりまとめは委員長に一任された。
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