- 日時
平成19年5月24日(木)13:30〜15:30
- 場所
国土交通省 船員中央労働委員会特別会議室
- 出席者
<委員、臨時委員>(敬称略)
杉山雅洋、赤塚宏一、今津隼馬、大日向正文、越智忍、藤澤洋二、真木克朗、松尾正洋、宮下國生、村木文郎
<国土交通省>
冨士原康一海事局長ほか
- 主な議題
議題1.海への関心を高めるための施策の方向性の概観について
議題2.海事産業・文化を活かした「海のまち」づくりの推進について
議題3.今後の施策・取り組みのイメージについて
議題4.今後のスケジュールについて
- 議事概要
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事務局から議事等について説明がなされた。
これに対する意見交換、委員からの要望等は次のとおり。 |
- 帆船を活用した海のPRについて
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先日、帆船の公開に参加したが、多くの人が来ていた。PRの方法としては、一回限りでなく、継続して行うことができないのか。すそのを広げるなら年配者を乗せるよりは青少年やその親を乗せて海に興味をもたせるべきである。
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また、一過性でなく連続した事業とすべきである。例えば船の科学館で親子連れ等の来客に継続してPRしたり、体験航海も抽選の上で乗せるようにする等工夫が必要。さもないと、一定の年齢に達したとき船員になろうという人は出てこないのではないか。
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鉄道ファンにはリニア新幹線試乗会の乗車券が抽選制で入手しにくくプレミアになっている。帆船の乗船についてもどういうアプローチをすれば順番待ちができるほど人気が出るか検討すべきである。
- 修学旅行に乗船体験を組み入れてはどうか。東京湾を一周させるだけでも、港湾や工業地帯など一通り見ることができ関心の醸成になるのではないか。
- 「海のまち」づくりについて
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海のイベントに限らず、他の様々なイベントとの連携を考えるべきである。例えば、川崎でシンポジウムが行われた際、竹芝から水上バスでシンポジウム会場へ行くことができた。イベントと海を結びつけるなど、工夫次第で様々な取組ができるのではないか。
- 海事思想の普及について
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海事思想の普及については、現在、官民及び地域等で、様々な取組みを行っているが、イギリスのように、官民挙げて海事思想の普及活動を積極的に行っていることを社会に対しより強くPRすることが必要である。例えば、船員になるためにはどのようにすればよいかについて、広く国民にPRする必要がある。官民挙げた全国キャンペーンをやっているという「イメージ」が現状では不十分なので、今後海事思想の普及をより積極的に打ち上げていってほしい。
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一般には、個人的に海に恐怖感を持っている人も多い。海は怖いとなどのマイナスイメージを払拭させることが大切である。製造業においても、汚い・暑いと思われると若年者が集まらないので気をつけている。
- 青少年に対する広報活動の強化
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若年者の海への興味・関心の育成については、長期にならざるをえないので数値化しにくい面がある
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広報活動はやればいいというものではなく、費用対効果を考えるべきである。
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若年者の海の興味・関心の育成については、専門教育の充実・強化・効率化とも同時にみるべきものであり、専門教育が国民にどのように受け取られているのかを冷静に考えてみるべきではないか。
- 学校教育との連携について
- 現在、学校教育では職場体験(インターンシップ)に力を入れているが、船での体験学習を単位として認定するのもよい刺激になるのではないか。
- 大学でも実習以外に企業の新入社員の研修に使っていただいている等、練習船を使った取組みを行っている。但し、システムだったものではなくバラバラであり、中央のコーディネートが必要。また、海事思想の普及は数値目標化はできないが、神戸大学には附属の小・中学校がありこれから高校もできる。そして大学においても他学部の学生がおり、これらの一般の学生に乗船をさせたりしているので長期的にフォローアップ調査を行うことはできると思う。
- 海の日は祝日であるが、学校教育では祝日をいかに活用するかという観点は大きいので、祝日の意味を考える等様々な取組みが可能である。また、このような取組みは、単発ではなく連続でやっていくべきであろう。
- 視覚的な海への関心の醸成案
- 海や船員に興味をもってもらうために、海や船員をテーマにしたようなドラマ、映画があると志願者が増えるのではないか。例えば、海猿のように映画・ドラマ化により関心が高まったものもある。
- 海への関心を醸成するために、海や船員を対象とするドラマや映画のシナリオ、小説を募集することや、低年齢層を対象に紙芝居、絵本、童話を募集することも一案である。
- 今治市では、しまなみ海道や海を題材として材料をNHKに提案する等、朝の連続テレビ小説の舞台に応募している。
- 「海の男のギャラリートーク」については、ビデオ化やDVD化したり、ネット配信するとよい。いずれにしても目に訴えるような取組みが大切である。
- 人材の確保・育成策との一体性に係るシステム作りについて
- 海洋基本法でも国家戦略の中に人材育成が位置づけられているが、現在「システム性」が欠けている。システム作りをする上で、ターゲットとして何を達成すればよいのかがわからなければ、どのようなシステムをつくらなければならないかも見えてこない。構築したシステムの結果が目標に達しているのか、達していなければどう改善するのかを考えていくことが大切である。これは、企業もそうであるし、新しい政策を考える際もそうであろうと思う。例えば、韓国は物流を国家プロジェクトとして重視していると聞いているが、COE(センターオブエクセレンス)については目標値を定め、70%を業界へ就職させるという数値目標がある。施策の目標が数値化されていないと、どこまでやれば十分なのか見えない。何らかのターゲットを設定すべきではないか。
- 報道の影響について
- 新聞等での報道は、若年層に大きな影響を与える。例えば、大学での入試前に、日本人船員はいらないという報道がなされ、応募が激減したことがあった。しかし、実際は、経済的な理由(外国人船員との比較)の問題で、正しい情報とはいえないものだった。間違ったPRをすると小規模な業界であるだけに、大変な影響があるので、正しい情報を流してほしい。
- その他
- 若い人が船に乗るとき、船長・機関長に近い将来なることができるという思いが若い人の意欲につながるので、海技資格については安全性は確保しなければならないが、容易に海技資格がとれ、若い間に船機長になれるような抜本的な見直しも必要である。一般大学・高校の卒業生を対象に、ドラスティックな見通しとして早いうちに船長・機関長になれるよう、環境整備として資格制度、乗船履歴等の見直しに取り組むべきである。
- 海技資格の取得の容易化は結構なことだが、この他にも講習の無料化、奨学金等、卒業したあとの経済的フォローも大切。また、資格試験の回数の増加など、質を下げずに資格がとりやすいスキーム作りも大切である。
- 国として5500人という目標を示しているが、どうやって実現していくのか。例えば、イギリスには船員の所得税の減免措置がある。若い人を誘導するには、船員優遇税制の検討も必要である。
- 海洋基本法が制定されたことを受け、内航船員の育成についても支援策を充実してほしい。
- 上級者が外国人の場合、技術の伝承がうまくいかず、船員のキャリアアップに支障をきたし、若手日本人船員の離職を早めている要因になっている。一度入れた船員を確実にキャリアアップさせる仕組みが重要である。
- 航海の安全、船内職場環境等様々なメリットがあるため、海上ブロードバンドの環境整備も若者を海へ引きつける上で重要。
- 今回、事務局より提示された施策の方向性には概ね賛成である。多くの一般の国民にも理解いただきながら、船員の確保を進めていくことが大切である。
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ヒューマンインフラ部会の今後のスケジュールが決定された。 |
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委員からの主な意見、要望、意見交換は、現時点において事務局の責任においてとりまとめたものであり、今後発表される議事録等と異なる可能性があります。 |
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正式な議事録については、後日HP上に公開しますので、そちらをご参照下さい。 |
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交通政策審議会海事分科会第2回ヒューマンインフラ部会 資料【PDF形式】
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